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星の願い  作者: ミケ
第二章 新たな道標
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48.撃退

迷いの森付近にアルゲティとスピカの二人にバッタリと出会ってしまった。

ルークスと相手は様子を伺いにらみ合いが続いていた。

その中、先に動いたのはテーベからだった。

ぷるぷるッ!!

大きく全身を震わせ粘液をアルゲティに飛ばす。


「甘いよ!」

ポケットから何かの部品のような物を取り出し、素早く地面に落とし黄色い電磁波の障壁を展開させ、テーベの攻撃を防ぐ。

「はぁ!」

ルークスは剣を引き抜き、剣先に炎を纏わせ、その炎をアルゲティに向けて飛ばす。


しかし、飛ばされた炎は先程の電磁波の障壁によって防がれる。

見た目の割にかなり頑丈な障壁のようだ。

「これはどうかな?」

アルゲティはニヤニヤしながら電磁波の障壁からバチバチと音を鳴らし、針のような電撃を繰り出す。

「ぐっ!?」

剣を盾にしたが痺れまではどうにもできなかった。


「まずは邪魔な君から倒させてもらうよ!」

ルークスが一時的な麻痺を起こしている隙にポケットから、機械の塊の見た目をしたボールを投げつける。

ぷるぷるッ!ボンッ!

テーベは粘液を発射して、見事ボールに命中し撃ち落とす。


粘液まみれになった機械のボールはベチャッ!と音を立てて不発に終わる。

「器用な事をするね」

テーベに関心していると、少し離れた所から不満の声が聞こえてきた。

「なーにやってるんですかぁ〜?早く終わらせてくだいよ〜」

暇そうして石の上に、パタパタと足を動かしスピカが文句を言う。


「そんな所から見てないでスピカも手伝ってよ」

電磁波の障壁を出した機械を回収しながら援護をお願いする。

すると石から降りて、遊び半分のように攻撃を仕掛ける。

「しょうがないですね〜☆えいっ♪」


ルークスの体に見えない微弱な電気が走る。しかし…

「あ?何だ?」

特に何かが起こるわけでも無く少し痺れる程度で終わる。

少しだけ焦った表情を出し、気を取り直してもう一度試してみる。

「あ、あれあれ〜?効いてない…かな?もういっかっーい!スピカバインド!ビリビリビリビリ〜☆」

両手をワシャワシャしながら、もう一度魔術を仕掛ける。


すると、ルークスに反応が表れる。

「くッ!?体に痺れが……ん?そこまで痺れねえぞ?」

全身に痺れがあったが、リゲル尖塔でやられた時の痺れと比べると、かなり弱い痺れだった。

ぷるぷるッ! 

テーベは震え始めスピカの顔面に粘液を飛ばす。

ベチャッ!

「もごォ!?」


間抜けな声とバランスを崩し、尻もちをつく。

術の効力が切れたのか、ルークスの体から痺れがとれる。

「よく分かんねえーが今だッ!」

今の内に攻撃しようと動こうとするが、すぐさまアルゲティが対応する。


「させないよ!」

アルゲティがナイフを投げ、妨害する。

「ッ!あっぶねー…」

間一髪避け、間合いを取る。

片方が隙だらけでも、もう片方がそれを補強するように守りを固くする。

そのため迂闊に攻撃を許すことはできない。

この状況下において、ルークスは様子を伺うこと求められる。


「うぐぅ〜!私の顔に粘液を当ててくるなんて〜!」

イヤイヤに喋りながら顔にベッタリついた粘液を拭いとる。

アルゲティは、そんな彼女を近寄り呆れたふうに話し掛ける。

「あーもう、何やってるのさ〜。君の攻撃、あいつに全然効いてないじゃないか〜?え、何?この前の話は嘘だったの?」


「う〜…私もよく分かんないの〜。リゲルの時は確かにビリビリしたんだけど…?」

「迅速迅雷!」

二人が揉めている隙を狙い不意打ちを入れる。

「うわっ!?」

電気を纏わせた剣を振りかざし、突き抜けるように斬り込むがあっさりと避けられ、そのまま二人の間を通り抜けてしまう。


「おっとっと?!人が話してる途中攻撃してくるなんて…とんだ卑怯者ですね☆」

「戦いに手段を選んでるほど余裕がなくてね」

するとアルゲティはふところから赤い箱を取り出す。


「スピカ下がってて!」

その箱を投げ地面にぶつかり箱の中に入っていた赤い粉が分散し撒き散らす。

「なんだ…?これは?」

霧のように赤い粉がルークスの周りに漂い始めた。

アルゲティとスピカは、粉を吸い込まないように少し後退する。


「すぐにわかるよ」

ニヤニヤしながらアルゲティは待つ。

「ッ!?」

ルークスの体にピリついた異変が生じる。


「のわぁぁぁぁぁ!目がぁぁぁぁぁ!」

目に激痛が走り、痛みのあまり膝まついてしまう。

大声を上げた事により赤い粉を吸い込み、口に辛さが襲う。

「ふふふ…痛いよね。何故なら今投げた箱の中の粉は辛子を粉末状にした辛子粉末だからさ」

「うわぁ〜陰湿ぅ〜」

若干引きつつじーっと様子を見る。


「ぐうぅぅぅぅう!!」

全身に軽めの痛みに、目には激痛、口は辛さで満たされていた。

痛みに抵抗するが、しばらくは動けそうに無い。

ぷるぷるッ!

ルークスと反対側にいたテーベは粘液を飛ばし攻撃をする。


「おっと、残念☆」

余裕の表情で避け、後ろの木に粘液が当たる。

「さて、あいつが辛さにやられている間、033の回収をするよ」

アルゲティの目的は033を回収すること、ルークスを倒しに来た訳ではない。


「私に任せてくださ〜い♪すぐビリビリにしてあげるから☆」

「ちょっと待って!033に電気系の攻撃はまずいよ!」

「何がまずいんですかぁ〜?」

テーベの見た目からして電気がよく通りそうな感じはするが。


「033に電気系の攻撃を与えるのはちょっと都合が悪いから…と、とにかく電気系以外で捕まえよう」

「そういう事なら仕方ないですね☆グルグルグルグル〜☆」

オレンジ色の袖からロープ状の糸をグルグルと回し、不規則な動きでテーベをグルグル巻きに拘束する。

ぷるん!?

拘束されたテーベをアルゲティが両手で持ち回収する。


「お〜!相変わらずふざけた術だけど、なかなか汎用性の高い魔術だね」

「させるかッ!」

辛さから脱出したルークスは炎を飛ばす。

「甘い!」

片手でテーベを持ち替え、もう片方の手で回収した機械を再び使い電磁波の障壁を展開させ防ぐ。


「どぉりぃや!」

炎を防いだ際に出来た煙を使い接近し、障壁を叩き割る勢いで地面に剣を振り落とす。

地面に剣が触れた瞬間、触れた場所を中心に地面を盛り上げ、三角状の杭を下から発生させ、電磁波の障壁を作り出している小さな部品のような機械を突き刺し破壊する。

破壊された事により、電磁波の障壁は機能を無くし消えていった。


「なに!?」

「迅速迅雷!」

驚く間も与えず素早く跳ね飛ばすように攻撃に転じる。

「あぐッ!」

上手く雷撃をテーベに当てず空中に放り出される形になった。

「あらら…盗られましたね?残念☆」


一旦スピカを無視してテーベをキャッチする。

「まずはひとりっと」

テーベに巻き付いた糸を外し態勢を整える。

「派手にやられたみたいですけど、大丈夫ですかぁ〜?」

大の字に仰向けで倒れたアルゲティにしゃがみ込み声をかける。


「いたたたた…大丈夫な訳ないよ…」

起き上がり後頭部を擦る。

「降参するなら今の内だぜ?」

「誰が降参なんか…!でもこれ以上はやめた方がいいかもしれないね」

テーベを回収する事に準備不足であった事、彼が思ったよりか強かった事、ここは一旦準備を進めるため撤退したほうがいいだろう。


「あれ?諦めるんですか?シャーリィさんに怒られますよ☆」

「あ、諦めるわけじゃ無いよ!今回は撤退するだけで、次に取り返す予定だから!」

焦った風に返す。

「はいはい、そういう事にしときますね☆」


「おっと、逃さねえぜ?お前らから聞きたいことが山ほどあるからな」

ぷるぷるッ!

テーベもルークスと同じ気持ちなのか、激しく震える。

「めちゃくちゃやる気ですね〜☆でも私達はもう帰ると決めたんで帰らせてもらいまーす♪」


「逃がすか!」

ぷるぷるッ!

テーベは粘液を飛ばし、ルークスは一直線に突っ走る。

「ハッ!」

テーベの飛ばした粘液を避け、ポケットから3つの小さい白色の玉を地面に投げつける。

プシューと玉から白い煙を吐き出す。

辺りはたちまち煙に覆われ二人の姿が見えなくなる。


「ぐっ!?煙か?!」

「逃げろ逃げろ〜♪」

「次は必ず取り返すならな!」

走り去る音と捨て台詞を残し去って行った。

風が吹き白い煙は晴れていく。

晴れたときにはもう二人の姿が無かった。


「逃げられたか…テーベ、大丈夫か」

ぷるぷる…ピョンピョン!ぷるるんッ!

震えたり跳ねたりと荒ぶりの行動を見せる。

しかし、どういう意味で動いているのかルークスには伝わらなかった。

「よく動くな…何言ってるか全然分かんねえけど」

次第にテーベは大人しくなりルークスの頭の上に跳び乗る。


「はぁ…まさかあいつらとこんな所にまた合うとはな。いや、どちらかと言うと事前に待ち伏せをしてたのか?」

偶然なのかは分からないが今後気を付けていかなければ…

「アルゲティ…だったか?あいつ、テーベの事を033て呼んでたな…一体どういう意味なんだ…?」

前回、迷いの森で会った時は033とは聞かなかったが、今回ではテーベの事を033と呼んでいた。

テーベの本当の名前かどうかは分からないが知る必要がありそうだ。


それに電気系の攻撃を与えると都合が悪いとアルゲティは言っていた。

何が都合が悪いのだろうか?

ぷるぷる?

頭の上で休み小刻みに震える。

「まあ、コイツ自身変わったスライムだし…何かあると思うが……あ〜しまったな…テーベの事もソルから訊けばよかったな…」


ソルに訊けば何か分かっていたかもしれない。

少し後悔するがまた会った時に聞けばいいと自分に言い聞かせながら迷いの森へ向かう。

「まあいいや。今は王都に行く事を考えるか」

御者を待つ事なく迷いの森へ入り王都へ目指す。










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