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星の願い  作者: ミケ
第二章 新たな道標
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43.強襲

王都コーディリア中央区にあるミルキーの家に、招かれざる客が来ていた。

「少しは…俺を楽しませてくれよ?」

玄関のドアを蹴破り侵入した男、キャンサーは余裕の笑みを浮かべながら相手の様子を伺う。


(に、にげなきゃ!)

どうにか逃げようと家から出ようとする。

「あァ?」

しかし、玄関付近に居るキャンサーに見逃してもらえる筈も無く、強烈な蹴りを入れられる。

「逃げてんじゃァねェーぞ!」


お腹に一発の蹴りを入れられ、飛ばされる。

「あぐッ!?」

あまりの痛みにうずくまる。

キャンサーは、ゆったりと近づき蹴り飛ばす。

「あ…が…」

ステラの呼吸が乱れる。


「オラオラどうしたァ!その程度かァ!」

体のあちこちに踏みつけられ、痛めつける。

「うぐっ!……い、いたいよ…」

彼女は何も抵抗が出来ず、ただ頭や体を守るように、うずくまる事しか出来ない。


そんな中、キャンサーは攻撃を一旦止めて、期待外れのように喋りだす。

「チッ!アイツから記憶喪失っつうー話を聞いていたし、ちょっとは期待してたんだが…何も変わっちゃアいねェ…」

「うう……けほっけほっ!」

胃の中のものが逆流しそうな吐き気と全身の痛みに襲われながら、どうにかここから逃げ出す事を考える。


「コイツとじゃれ合っても仕方ねェ。そろそろ回収するかァ…」

そう言うとステラの頭に着けている髪飾りに手を伸ばし奪おうとする。

「っ!」

咄嗟に彼を押し、その隙を狙い彼との距離を離す。


「……いいねェ。まだ動けんじゃねェーか」

ステラの体力が限界なのか、すぐにバテて失速し立ち止まってしまう。

「はぁはぁ……」

呼吸を整え再び走り出そうとしたが…

「そう簡単に終わったら…つまんねェーよなァ?」

後から走ってきたキャンサーに、あっさりと抜かれステラの目の前に周り取られて殴りつけようとする。


その瞬間、キャンサーの足元に小さな緑色の魔法陣が現れる。

魔法陣に気づいた彼は下に視線を落とす。

「あァ?」

その魔法陣から突風が吹き出しキャンサーを軽々と飛ばす。

「おわァァァァァア!?」


家から追い出される形に飛ばされたキャンサーは、中央区の街道に着地し顔を上げる。

「チィ!何なんだァ!?」

すると一人の少年の声が響く。

「そこまでだッ!」


声に反応し周りを見渡す。

キャンサーを取り囲むように星群アステリズム騎士団の騎士兵達が武器の矛先をキャンサーに向け構えていた。

その中にカルメとシノーペの姿があった。

「んだァ…?星群アステリズムの連中か?」


前回ナイアドで似たような状況があった事に思い出す。

「前にもこんな事があったような……まあいいや。ククク…少しは楽しめそうだァ」

「大人しくしなさい!もししないなら武力行使するまでよ!」

シノーペが忠告を飛ばす。

しかし、キャンサーにその手は通じない。


「あァ?俺が大人しくすると思ってんのかァ?」

相手を挑発する態度で話すが、シノーペは冷静に対応する。

「大人しくして頂戴…出来ればこちらも大きな騒ぎにしたくないの」

「あァそうか…」

静かに一言放つと、掌から肉眼でも見えるほどの濃縮された小さな赤色の光星エネルギーの塊を適当な場所に放つ。


ドゴォォォォォォン!!

適当に放たれた光星エネルギーは、近くの住宅に当たり破壊する。

この攻撃により、中央区の人々達が逃げ出す。

「こ、こいつ…!」

こちらの忠告を無視した挙げ句、住民に危害を加えたのだ。


「これで戦う理由が出来ただろう?」

「はぁーッ!」

我慢の限界か、すぐさまひとりの騎士兵が走りキャンサーに斬りつける。

「なっ!」

なんと騎士兵が振りかざした剣を素手で掴んでいた。

「なに驚いてんだァ?」

そのまま掴んだ手にチカラを加え剣をバラバラに粉砕する。


ドゴッ!

「がッ…!」

武器を失った騎士兵の胸に殴りつける。

殴られた騎士兵は飛ばされ、鎧を着ているのにも関わらず殴られた箇所にへこみが出来ていた。


「ククク…次はテメーだァ!」

物凄い速さでシノーペに近づき蹴り飛ばす。

「きゃあ!?」

壁に激突したが間一髪のところで防御をしたため大事には至らなかった。


「シノーペ!?くッ!よくも!」

カルメは分厚い魔導書をパラパラと開き、焦りのあまり無詠唱で術を発動する。

火の玉を出しキャンサーに向けて発射する。


ドオォォォォォ……!

見事に命中しかし、彼の余裕そうな声で顔を出す。

「なんだァ?今のが攻撃のつもりかァ?」

身を守るような仕草もせずに直撃したはず…

いくら無詠唱とはいえど、まったくの無傷というのはあり得ない。

「ッ!?」


驚くことに気を取られ相手の接近を許してしまう。

「オラよッ!」

不意を突かれたように上手く防御が出来ず殴り飛ばされる。

「ぐはッ!」

口から少量の血を吐き出し、地面に倒れ込む。


つまらなそうに呟く。

「おいおいもう終わりか?」

ひとりの騎士兵が武器を構えながらキャンサーに向けて走る。

「調子に乗るなよ…!」


武術星導光マーシャルエーテルのチカラにより、身体能力を上げて素早いパンチを繰り出す。

バンッ!

殴った音では無く、受け止めた音が鳴る。

異変に気づいた騎士兵が振り向く。

「なッ!?」


武術星導光マーシャルエーテルにより身体能力を上げたはずの素早く、重いパンチをいとも簡単に受け止めた事に驚く。

驚いている隙にキャンサーが殴りつける。

「かはッ!」

あまりの痛みに耐えきれず、地面に跪くように倒れ込む。

 

「はァ〜退屈だなァ…」

最初の時と違いテンションが下がった様子。

「拘束する!」

三人の騎士兵達が魔術を発動する。

キャンサーの足元から鎖を発生させ、彼の体に巻き付かせる。

「なんだなんだァ?新技かァ?」

テンションが少し戻り、嬉しそうに話す。


「余裕ぶりやがって…!」

怒りを上乗せし魔術を強化する。

「行くぞ!震天雷吼しんてんらいこう!」

キャンサーの周りに石の壁を生成する。 

三人の騎士兵の前に、電気を纏った巨大な狼を出現させ、拘束されたキャンサーに向かって突進する。


バチチチッ!ドゴォォォォォォン!。

キャンサーに当たった瞬間、蓋を閉じるように石の壁と天井が塞ぎ逃げ場の無い雷撃が彼を襲う。

雷が落ちたような衝撃が、地響きとして揺れる。

「やったか!?」

さすがにこれで終わりだろう…誰もがそう思った瞬間、彼を閉じ込めた石の壁が突然と粉々に吹き飛ばす。


「ああ…いてえェ……ククク…」

なんとあれ程の魔術をまともに受けたにも関わらず軽傷程度の反応を見せる。

「な……に…!」

「ありえねぇ…!」

「嘘でしょ?!」

魔術を放った三人の騎士兵は動揺する。


「ククク…さっきのはいい攻撃だったぜ。今度はこっちの番だァ!」

さっきとは比べものにならない速さで接近し、蹴りと殴りを交互に入れ込む。

「ぐわぁぁぁ!」

「ごふッ!」

先程の事に動揺が続き上手く対処ができない。


「ひッ!?」

残った一人の騎士兵は、恐怖からか涙目になり尻もちをつく。

「アハハハハハッ!!」

高らかに笑い蹴り飛ばす。

「がッ!」

そのまま壁に当たり倒れる。


「ヒャハハハハハハッ!!」

笑う、笑う、笑う、何が楽しくて笑うのか誰にも理解が出来ない。

ようやくシノーペは態勢を整え立ち上がる。

「何なの…アイツ…!」

明らかに異様な相手に呆然とする。


「アハハハハハッ!ヒャハハハハハハハッ!!」

イカれた笑みでシノーペに殴りつける。

「くぅぅ!!」

ガンッ!

両手を使い防御するが、あまりにもチカラ強く振動が武器から両手に流れ一時的な麻痺を引き起こす。

カラン…

一時的な麻痺により槍を落としてしまう。

「や…やば…」


「ハハハハハハッ!このまま捻り潰してやるよォ!」

戦える騎士兵はもういない。絶体絶命の時にシノーペは目を瞑る事しか出来ない。

キャンサーがシノーペの首を殴り落とそうとしたその時、聞き覚えのある女性の声がした。


「そうはさせない!」

シノーペの前にヒマリアが現れ代わりに受け止める。

「あァ!?テメーは…!」

冥封鎖縛めいふうさばく!」

キャンサーが何か言う前にヒマリアが持っていた剣を素早く地面に突き刺し魔法陣を浮かべる。


魔法陣から鎖の形をした黒い影がキャンサーの体に巻きつける。

「あァ!何だこれりゃァ!?」

たちまち鎖に巻かれていき、さらにキャンサーの真後ろに黒い十字架が出現する。

出現した十字架に導かれるまま鎖で拘束したキャンサーをはりつけ状態にする。

「あァ!?クソがッ!」

抵抗するが、ガッシリと拘束した鎖が彼を離すことはない。


「今よ!ミルキー!」

ミルキーに合図を送る。

いつでも放てるように事前に詠唱済ませたミルキーが待っていた。

「離れてなさい!どでかいの一発食らわしてやるわ!」

シノーペを担いで急いでキャンサーから離れる。

巨大なストーンジェムを身動きの出来ないキャンサーに撃つ。


「ぐおわァァァァァァ!」

ガゴォォォォォォォォン!

避ける事も防御を取ることも出来ず直撃する。












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