37.逃走
王都コーディリア商業区に元 禁断盗賊団によりステラを攫われてしまったが、ヒマリアとシノーペの助けにより救出される。
その後に来たミルキーとヒマリアは三人の後をつけ、残されたシノーペとステラは現在ミラ拾いを終えたカルメの元へ合流していた。
道端を凝視しながら愚痴をこぼす。
「あ〜もう!こんな事してる場合じゃあないのに…」
道端の小さな隙間に手を入れてミラを回収していると、さっき追いかけて行ったシノーペとさらわれたステラが帰ってきた。
「……?シノーペ!大丈夫!?」
「う、うん…私は大丈夫よ」
「あんだけ派手にやられてたのに…」
「ま、まあそんな事よりも……あの子は?」
ミルキー達と一緒にいた少女。ルディの行方を探る。
「ああ、あのフーバルって紫髪の女の子はミルキーが連れてったよ」
「そう…なんだ……ところで何やってるの?」
面倒そうに答える。
「見てわからない?ミラ拾いだよ」
「ほえ?ミルキーがミラ拾い終わったって言ってたけど…?」
「ある程度は…ね。まだ細かいのが終わってないんだ…」
ミルキー達がいない中、ステラ自身、今できる事を考える。
「私も手伝っていい?」
予想外の言葉に驚く。
「え!?それは助かりますけど……」
有り難い事だが、そもそも自分達が失敗しなければこうはならなかった。
さすがに手伝わせる訳にはいかない。
「さすがにそれは…」
カルメが断ろうとするが、ステラは不満な顔を出し話す。
「むぅ。ミラ拾いぐらい、私だってできるもん!」
勝手に散らばったミラを集め始める。
★
その頃ヒマリアの方では…
「……どこに逃げたの?」
三人の後を追いかけて来たが、複雑な道を上手く使い撒かれてしまったようだ。
「ヒマリア〜!」
背後から声をかけられ後ろに振り向く。
「ミルキー!?」
「はぁはぁ、やっと追いついたわ……相変わらずアンタって速いのね……」
「わざわざ追いかけに来たの?ごめんね、変な事に巻き込ませて」
片目を閉じ両手を合わせ謝る。
気にする素振りを見せず、あの三人のことを訊く。
「全員無事だし別にいいわよ。で?アイツらは?」
「あはは……それが…逃げられちゃってね…」
「何やってんのよ〜…」
「大丈夫!ちゃんと手は打ってあるから」
彼女は何だかんだで解決してくれる人なので、その言葉だけでもミルキーにとっては信頼できるものだった。
「まあそれなら安心ね。とりあえずアタシはステラの所に戻るけど……アンタは…追いかける…よね?」
「そうね…こっちもなるべく早く終わらせるから、後で【夜の星空】に来てもらってもいい?この件に聞きたいことがあるから」
「わかったわ。気をつけてね」
話し終わるとヒマリアは立ち去っていく。
★
あれから時間が過ぎ、ヒマリアの言う通りに学園区の喫茶店【夜の星空】に来ていた。
「あ、ミルキー。こっち…」
先に来ていた長いツインテールをマフラーのように巻かせたルディが、こちらに手招きをする。
「ごめんねルディ。巻き込ませて」
本来であれば、商業区の案内をするつもりが、まさかこんな事になるとは思ってもいなかった。
「だ、大丈夫…慣れてるから…ね」
「なれてる?」
優しい笑顔を出し、思い出のように口を開く。
「ミルキーはよく実験で色んな場所に行って…その…爆発……させてるから…騎士団の人に目をつけられてるの」
「そうなの?」
恥ずかしいのか二人の視線を外してそっぽ向く。
「……別にいいでしょ、そんなこと」
あらぬ方向から声を掛けられる。
「ごめんごめん。遅れちゃって」
仕事帰りなのか、いつもと服装がやつれている。
いつもの事なので特に指摘はせずに早速尋ねる。
「遅いわよ。で、何が聞きたいの?」
何か言いにくそうな仕草をする。
「あ〜それなんだけど…その〜…もう大丈夫ていうか…」
「は?」
勢いよい任せに両手を合わせ謝る。
「ホントごめんッ!本当はあの三人の事を聞こうと思ったんだけど…すでにフォボス隊長が捕まえてて…それで…」
「あ〜うん。把握したわ…」
おそらくミルキーから、禁断盗賊団のことを聞こうとしていたが、隊長により捕まった三人は尋問を受け、素直に話したのだろう。
ヒマリアは頼りになり信頼もできるが、誤魔化すのが下手でミルキーから見てもすぐに分かるぐらいだ。
「そのかわり今日の夜ご飯おごるから…ね?」
ご飯…この言葉にステラが反応する。
「よるごはん…!いいの?」
キラキラ光らせたステラの視線はヒマリアをじっと見つめる。
「す、ステラちゃん…凄い反応…」
「まあいいわ。丁度いい時間だしご飯にしましょ」
ミルキーは最早驚く事も無く夜ご飯を摂ることにする。
★
「もぐもぐもぐもぐもぐもぐ…」
物凄い勢いよいで頼んだ料理を平らげていく。
「……………」
「……………」
「……………」
この光景に唖然とする。
「もぐもぐもぐもぐ……おいし〜♪」
幸せそうにうっとりとする。
「アンタ少しぐらい遠慮ってとこ覚えなさいよね…」
「めちゃくちゃ食べるんだけど……」
ステラの異様な食べっぷりに引き気味に見る。
「…す、ステラちゃん…?た、食べ過ぎはよくないよ…?」
静かにルディが注意をする。
しかし、まだ物足りないといった表情だ。
「食べ過ぎ?まだ満腹じゃあないよ?」
ミルキーに近寄り囁くように訊く。
「ね、ねぇミルキー?ステラちゃんってこんなに大食いの子だったの?」
「そうね。アタシも初めて見た時はビックリしたけど……うん…ホント凄いわね…」
今もおいしそうに食べる。
「もぐもぐもぐもぐもぐもぐ……」
「……こんなにも食べて太らないのかな?」
ヒマリアの疑問にミルキーは苛立ちを見せるように答える。
「コイツの場合、無駄に大きい胸に栄養がいくんでしょ。ホントムカつくわ〜」
「…………」
自然と二人の視線がミルキーの胸元へ移る。
「あ?何みてんの?アンタ達だからって容赦しないわよ?」
視線に気付き威圧を掛ける。
「な、なんの事かな〜あははは……」
「何も…みてないから……(こ、怖い)」
ミルキー達の会話を余所に食べ尽くしていく。
「はうぅ〜おいし〜♪」
平和に食べ終わり長い一日を送るステラ達であった。




