04.戦いの先に
唐突に現れた青髪の青年。
耳に青いダイヤの形をしたピアスをつけ、軍服に似た服を着こなし、爽やかな表情をしながら赤髪の一歩前に出る。
「遅えェンだよ。終わったのかァ?アクエリアス」
赤髪は不満そうに言う。アクエリアスと呼ばれた青髪の青年は悪びれもなく答える。
「まぁまぁ、落ち着きなよキャンサー 君が派手にやってくれたおかげでこちらもスムーズにアレを回収できた‥‥もうここに用はない。引き上げるよ。」
「そうかァ‥‥‥まァいい、それなりに愉しめたからなァ」
助けに来た星群騎士団の騎士兵が間合いを少しずつ詰める。
「我々から逃げられるとでも?」
この場にヒマリアを含め8人の騎士兵。
しかしアクエリアスは余裕の表情をしている。
「おや? もしかして数で押せば勝てるとでも思ってるのかな?」
挑発的な言動に3人の騎士兵がアクエリアスに向かい攻撃を仕掛ける。
「覚悟!」
「水影・斬!」
アクエリアスの前に水で出来た影を目に止まらぬ速さで、こちらに向かう3人の騎士兵を迎撃をする。
「ぐはっ!」
一撃で吹き飛ばされる騎士兵達。
「何だ‥? 今のは? 何が起きた?」
ざわめく騎士兵達、ルークスも呆然とし見ることしかできなかった。
「不用意に軽率な行動は控えたほうがいい‥‥少なくとも君等では僕達に勝てない。」
自信に満ちた声で宣言する。
(‥‥奴の言う通りかもしれねぇ、あの赤髪‥‥キャンサーとか言ってたか、あいつだけでもヤバイ相手だったのに、もう一人増えて状況が悪くなっちまった。いくら騎士団がいてもこれは‥‥)
ルークスがアレやコレや考えているうちに相手が動き出す。
「ああ、わかってくれて良かったよ。さあ帰るよ、キャンサー」
「‥‥‥」
キャンサーはどこか楽しげな表情をし、アクエリアスと共に水のように崩れ消え去った。
しばらく静寂に包まれるが、ヒマリアがハッとすると先程アクエリアスの攻撃を受けた騎士兵達へ駆け寄る。
「君達大丈夫?!しっかりして!」
他の騎士兵も動き出し、ルークスの怪我を確認する。
「大丈夫か?! すぐに手当をする」
「いや、こっちは大丈夫だ。 それよりあっちの騎士兵を見たほうがいい」
ルークスは辺りを見渡す。後は騎士団がどうにかするだろう。
そろそろステラが気付く頃だ。
そう考えた彼はこの場を後にしようとするが‥‥
「ちょっとルークスどこにいくの!?」
ヒマリアが引き止めにはいる。
「ああ? もう戦いは終わったんだ‥‥後はお前ら騎士団の仕事だろ?」
「それはそうだけど、君の事情はまだ聞いてないよ」
あれ程の戦闘が起きたのだ。
こうなるのは当然。
「悪い、今日はこのあたりで勘弁してくれないか、待たせてる人がいるんでね。」
ヒマリアの止めも退け逃げるように足早に去っていった。
★
急いでステラの元へ戻る。
ガチャリとドアを開け部屋に入る。
「ル〜クスゥ〜どこにいってたの〜?」
少し胸が苦しそうな星柄のパジャマを着た少女が低い声でゆらゆらと歩きながら距離を詰めてくる。
「え?ああ、 夜風に当たりたい気分だったから‥‥散歩に行ってたんだ」
彼女に心配されないように程よい嘘を付く。
怪訝そうな表情をチラリと見せる。
「散歩ぉ〜?ほんとかな〜?」
少しの間ステラはジロジロと見ていたが、彼の手に怪我をしてることに気付く。
「ルークス! その怪我どうしたの?」
「ああ? これはだな‥‥散歩中に派手に転んじまってな」
ルークスの手の甲にあざが出来ていた。おそらくキャンサーの蹴りによるものだろう。
「こっちにきて」
そう言うとルークスを近くにあった椅子に座らせる。
「なんだよ‥‥急に」
「うごかないで」
真剣な表情になるステラにルークスはその言葉通りに従う。
ルークスの手の甲に覆い被さる形に手をかざし静かに目を瞑るとステラを中心に小さな魔法陣が浮かぶ
「星の輝きよ汝を癒せ」
次の瞬間、ステラの手が光りだす。
やがて光は消え手の確認をする。
「手‥‥大丈夫?」
「あ‥‥ああ、ステラ‥‥今のは一体?」
(今のって魔術‥‥だよな? 傷を癒す魔術ってあったか?)
「えっと、私自身もよくわかんないけど、こうやれば治せるかなって‥‥」
(傷を癒す魔術‥‥‥今まで20年生きてきたが、こんな術みたことも聞いたこともねぇ。)
「ルークス?」
「ん?なんだ?」
「さっきからへん‥‥もしかして治ってなかった?」
真剣な顔をしていたため何かあったのかと心配そうに見つめる彼女にルークスは笑い
「ああ、ちゃん治ってるさ、ありがとなステラ」
この後、少しの間お喋りをしながら身支度を整え眠りについた。