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星の願い  作者: ミケ
第一章 黒き魔物
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30.帰り道

黒い魔物を無事に倒し、王都コーディリアに帰る途中ある事に気付き立ち止まる。

「そういえばアンタ、それどうすんの?」

テーベに指をさしながら言う。


「ほえ?なにが?」

「なにがって、そのスライムよ」

テーベの事を言われるが、なんの事か分からず聞き返す。

「テーベちゃんがどうかしたの?」


「いやアンタ忘れたの?王都には守護星導光プロテクトエーテルがあるからソイツ連れてこれないわよ」

衝撃的な情報に狼狽うろたえる。

「え?じ、じゃあテーベちゃんと一緒に帰れないの?」


「そうなるわね。そういう訳だからさっさと置いてきなさい」

「やだ!この子と一緒にいるの!」

テーベを守る様に抱きかかえる。

「はあ?!何言ってんのアンタ!これじゃあ帰れないわよ!それでもいいの?!」

「う…それは…」


このまま言い合いしても何も変わらない。

「まあまあ、ちょっとは冷静になれよ。このまま帰れねぇのは俺も困る…ステラ、悪いがここはテーベを置いてきてほしい」

ルークスの提案に明らかな不機嫌顔になる。

「むぅ…ルークスまでそんなこと言う。やだよ」

プイッとそっぽを向く。


「まてよ。話を最後まで聞こうぜ? とりあえず今日はコイツをここに置いてく、それで明日、騎士団の用事を済ませたらここにこよう。コイツ自身も魔物だし半日程度、どうってことねぇよ」

さすがに野宿は嫌なのか悩む。

「う〜……わかった。ごめんね…テーベちゃん」


ぷるぷると震え自らステラの元から離れ近くの草むらに隠れていった。

「コイツも分かってくれてるし、また明日こよう。な?」

「うん…」

傍からその様子を見ていたミルキーは無言のまま付いて行く。

(何よ。辛気臭い顔して…どうせ明日には会えるのに…バカみたい…)


王都コーディリアへ帰る三人。

明日へ向けて体を休ませる。



      ★



ガサガサと音を出し、丸メガネを掛けた緑髪の少年が姿を現す。

近くにあった小さな守護星導光プロテクトエーテルを観察する。

「…腐蝕がだいぶ進んでるね…これはもう使えないな…いや、こんなもの…無い方がいい」


迷いの森と王都の間にある守護星導光プロテクトエーテル。青く輝く光が無く全体に黒ずんでいて、黒い塊となっている。

かなり目立つものだがルークス達は疲れていたのか、気付かずに帰ってしまった。


アルゲティはスイッチを切り替え、誰かに向かって話し掛ける。

「さあ出ておいで〜033〜。そこにいるの分かってるよ〜」

シーン…何も出て来ず、静けさが返ってくる。


「…………」

想定内なのか上着のポケットから、シルバー色の小さな箱型の機械を取り出し、手際よく地面に設置する。

すると彼はニヤリと笑う。

「……そこだね」


草むらに小型のナイフを投げつける。

グサッ!勢いよく地面に刺さり、それと同時にテーベが草むらから出て粘液を飛ばす。

「おっと、危ない危ない」

軽く粘液を避ける。


プルプルッ!テーベは大きく震え粘液を飛ばす準備をする。

「無駄だよッ!」

ポケットから何かの部品の様なモノを取り出し、目の前に落とす。するとその落とした所から黄色の電磁波を展開する。


テーべは5発の粘液を連続で飛ばす。

しかし先程の電磁波によって阻まれ失敗する。

「これだけじゃないよ」

電磁波の壁から黄色の針を飛ばしテーベを射貫く。

ぷるぷる……

射貫かれたテーベは急激に元気を失う。


ゆっくりとテーベに近付く。

「フフッ、動けないでしょ?そのまま大人しくしてくれよ」

捕まらない様にチカラを振り絞り抵抗する。

「ちょ、ちょっと大人しくしてくれよ〜君を逃したまま帰ると、シャーリィさんに何されるか分かんないからさ〜」


するとテーベの様子がおかしくなり、体を膨張し始める。

相手の姿を変えていくのを見て、さっきまでの余裕が無くなり後ずさりする。

「えっえっえ?ま、まじで…? 033って対人間用じゃあなかったの?!」


可愛らしい見た目が一変しドロドロに溶けた粘度の高い液状になり、形容し難い姿になる。

相変わらず目や口といったものが無く、元の姿の面影がどこにも見当たらなくなった。

体から粘液の触手を生やしアルゲティを捕まえようとする。


「ひいぃぃぃぃぃぃぃ!!」

触手が追う速さよりも圧倒的に素早く迷いの森へ逃げていく。

触手を止め、アルゲティが来ない事を確認するとドロドロの液状が少しずつツルツルに戻っていき元のテーベに戻った。



      ★



迷いの森まで息切れしながら逃げてきた。

「はぁはぁはぁ…あーもうどうしよ…僕だけじゃあアイツを捕まえられない。近くに誰かいないかな…」


彼の近くにいたのは、目を隠すように包帯をグルグルに巻き、赤黒い液状を浴びた案山子。

眼球部分に空洞が空いた歪な人型の何か。

アルゲティ達を隠すように、辺りに黒い霧が漂う。


「…いっその事、君達に頼るのも……」

この異形の者に任せれば事をすんなり運べるだろう。

「あーだめだめ!そんなことしたら、めちゃくちゃになるのが目に見えてるよ…」


万が一、誰かに見られたら始末しなければならない。

それにまだ迷いの森には星群アステリズム騎士団が残っている。

あまり派手な動きはできない。


「はぁ…君達だけでも先に帰らせよう。皆帰れる?」

言葉の意味を理解したのか各々帰り始める。

「ああ!そうそう。まだこの辺りに騎士団の人がいるから、見つからないようにね?」

注意をして見送る。


「この子達は、素直に言う事を聞いてくれるから助かるけど、033に至っては、まったく聞いてくれない……」

王都の方角を見つめながら自身に喝を入れる。

「もう少し粘って頑張ってみよう。今日は疲れたし、僕も適当な宿に止まって寝よ」

テーベに見つからないように王都コーディリアへ向かい、宿を探す事にした。









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