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星の願い  作者: ミケ
序章 始まり
3/139

03.赤髪の男

「つかれた〜」

静かな町並の中を歩き、瑠璃色るりいろの瞳をした少女が気怠けだるそうに呟く。


「そうだな‥今日の朝から色々あったし、さすがの俺も疲れちまった。適当な宿屋をさがして泊まるか」

(それにあの話が気になる‥‥ナイアドには守護星導光プロテクトエーテルがあるから魔物の可能性は考えにくい‥あまり考えたくないが人の仕業の可能性が高い。一応警戒しておくか)


道なりに進むと他の建物よりも一回り大きい宿屋と思われる建物の目の前まで来ていた。


中に入ると一人の男性店員がこちらに気付き話しかける。

「ウチにお泊りですか?」

「ああ、一番いい部屋を頼む」


「ありがとうございます。2名様3000ミラになります」

懐から小袋を取り出し必要なミラを渡す。

「ほい」

「3000ミラ頂戴します。お客様2名 天望ルームへご案内致します。」


店員に案内されるがままに二階へ上がり、一番奥にある扉の前まで足を運ぶ。

店員が扉を開け、ルークスとステラが部屋に入る。

「こちらが天望ルームでございます。ではごゆっくり」

店員は一礼すると去っていく。


「ほわ〜」

部屋に入ってすぐステラは、ふかふかなベッドに飛び込む。

「部屋は思った以上に広いな」


入口付近にバスルーム、トイレがあり、奥には大きいなベッドが2つ設置されている。部屋全体として星をテーマにしているのか、天井、壁紙が夜空となって、所々に星の形をした装飾品が飾られている。


ルークスは近くにある木製の椅子を取り出し腰を掛ける。

「ふぅ〜。今日はとりあえずここで過ごそう。物騒な話を聞いちまったし」

「うん‥‥‥」

さっきまでの元気が嘘のように無くなり眠たそうにする。


「眠いか?」

ベットに寝転がり目をショボショボする。

「うん‥」

確認をとるとルークスは浴室へ向かう。中は部屋と違い白色に統一されている。

パネルの様なものを触り、湯張りの準備をすすめる。


浴室から出てくると、ステラがベッドの上に仰向けの状態になり、寝息をたてていた。


彼女を起こさないように、静かに移動し椅子にすわる。

「‥‥‥‥」

この辺りでは見ない服装、色白とした綺麗な肌、胸は大きく顔も整っており、頭には星の形をした変わった装飾品を身に着けている。


(恵まれた環境で育った‥みたいな感じだよな‥‥なんであんなド田舎の森に‥‥)

しばらく経つと浴室から「ピピピピピッ!」と音が鳴る。どうやら湯張りを終えたみたいだ。


「ステラ〜湯がわいたから、先に入ったらどうだ?」

「う〜‥‥ん〜?」

眠たそうな目を開けながら起き上がる。

「眠たい‥‥寝ていい?」

そのまま寝転がろうとする。

「お風呂!まずはお風呂に入ってくれ!」


再び寝ようとするステラ、余程眠たいのだろう。

「ほら立って」

「ふぎゅ〜」


とにかく浴室の前に連れてこう‥

目が醒めたのか手をバタバタし始める

「お風呂ぐらい一人で入れるよぅ〜」

「分かった、分かったから暴れるんじゃない」


ステラを解放すると、脱衣所へ向かう。

「じゃあ、先に入るね」

「ああ、ゆっくり浸かれよ」


脱衣所へ入るが、もう一度ドアを少し開けて、その小さな隙間から顔を出す


「覗きはだめだよ。」

「覗かねーよ、まったく‥」


パタンとドアを閉める

(‥‥さて、見回りに行くか)



     ★



夜の町、外に歩く者はいない。そんな中で歩く一人の男ルークスは左手に鞘で納めた剣を持ちながら、あたりを見渡していた。


(3日前から起きる殺人事件‥‥騎士団はまだ来てねーし、念の為、見回りにきてみたが‥‥ん?あの家の扉‥)


ルークスの目に入ったのは、ある家の扉‥何があったのか分からないが、この壊され方を見る限りロクな事では無いだろう。

そんな怪しい家の前まで行き声を掛ける。

「おーい。誰かいねぇのか?」


静かな空間に自分の声が家に響き渡る。

「‥‥入るぞ?」

恐る恐る家の中に入る。

「うわっ!?コイツはひでぇな‥」

部屋の中は荒らされており、壁や床が傷だらけになっている。


警戒しながら前へ進む。すると突然何者かが、ドドドドッ!と大きな足音を鳴らしながらルークスの肩に掴んできた。



       ★



「ほにぁ〜‥‥いい湯♪」

長い白髪の少女が肩まで湯に浸かりながら呟く。



       ★



ルークスは困惑していた。見知らぬ男が怯え取り乱しながら助けを求めてきた。


「たたたたた助けてくれぇぇー!!」

40代ぐらいだろうか、全速力で走ったかのように汗をかいていた。


「ちょ、落ち着け、なにがあった?」

「あいつが‥あいつがくる‥」

「あいつ?」

「うわあぁぁぁぁ!!」


男はかなり怯えていたのか、この場所にいることを耐えきれなくなり叫びながら外へ飛び出していった。

こ‥こ‥こ‥と奥のドア越しから何者かの足音が響く


「‥‥」


ドグシャ!!

ドアを蹴破る共に一人の男が立っていた。


真っ赤な髪に、まるで小動物を刈るような鋭い目をしており、暗殺者のような黒服を着こなし、体にはベルトのようなものをクロスするように着けている。


「面倒くせェ‥なんで俺があんなザコ相手にしないといけねェンだァ‥?」

ルークスは剣を鞘から引き抜き、構えながら話し掛ける。

「なんだお前は?」


赤髪の男は、声に反応しこちらを見る。

「ああァ?誰だァ。テメェは‥」

男は急に笑い右手に持っていた楕円形の変わった武器をルークスに向けて話す。

「ククク‥‥お前、強そうだなァ‥暇つぶしに斬り刻んでやるよォ!!」


話し終わると同時に赤髪の男が姿勢を低くし、こちらに向かって斬りかかる。


咄嗟に剣を盾に防御をとる。

ガギンッ!と鈍い金属音がなり響く。

「っ! いきなり攻撃してくんじゃねーよ!」


剣を弾くように、腕に力を入れ吹き飛ばす。

体ごと弾かれ後退し綺麗に着地する。

「っと、ククク‥いいねェ‥」

「なんなんだお前は!?」

「うっせェな‥んなもん、どうでもいいじゃねェーか‥そんなことよりも続きをやろうぜェ!」


赤髪の男は間合いを詰め勢いよく薙ぎ払う。

相手の攻撃に合わせしゃがみ込む。


「くらいやがれ!」

相手の胸に目掛けて殴り飛ばす。

「がはっ!」


ゴンっ! 重たい物を落としたような音を出し

男は盛大に飛ばされ、木製のテーブルに飛ばされ背中から落下し叩きつけられる。


「ったく、何なんだよ。アイツは」

ゴトゴトッ!割れたテーブルをどかし這い出てくる。

「‥‥‥ああァ‥‥いてえェ‥」

手を頭に当てながら小さく呟く。

「は?」


赤髪の男は何事も無かったかのように再び態勢を整える。

「ククク‥‥いい感じだ」


「‥‥まだやろってのか?」

「クハハハ! 楽しくなってきやがったァ!」

男は急変し言葉を失う。

「なんだ‥コイツ‥」

「アハハハハハハ!!」


赤髪の男はさっきまでの攻撃を打って変わって蛇行するように狭い部屋の中をジグザグと素早く移動し、ルークスの背後をとる。


「ガラ空きだぜェェ!!」

「‥!」

相手の攻撃に何とか反応し受け止める。

ギリギリギリッ! 剣と剣が擦れ合い火花が散る。


(ぐっ!コイツっ! 今まで本気じゃなかったのか?! 一撃が重い‥‥!)

「おいおいおいおい! もう終わりかァ?」

赤髪の男がニタリと笑うと、そのまま続けざまに斬撃を繰り出す。

ただひたすらに剣を振るっているだけなのだが、その純粋な強さがルークスを追い詰めていく。


「オラオラオラオラァ! どうしたどうしたァ! 俺をもっと愉しませろォ!」

「っ!」

(‥やべぇ‥手が痺れてきた)


「オラァ!」

不意に蹴りをいれられ、剣を弾き飛ばされ勢いよく壁に刺さる。

「しまった‥!」


「オイオイ‥もう終わりかァ?このままじゃあ死んじまうぞォ〜?」

少し退屈そうな声をだし、右手に持つ楕円形の刃がルークスの首に目掛けて振り下ろす。



      ★



その頃ルークスと赤髪の男が激戦を繰り広げるなか

長い白髪の少女は湯に浸かりながら目の前のパネルのようなものを気になっていた。

「これって何かな?」


「ピピピピ」とパネルを適当にいじっていると、作動したのか音が鳴り出す。

「え? なに?なに?」


鳴り始めてから少し経つと‥‥

「う〜‥‥なんか湯が熱くなってるような‥‥さっきパネルを触ったせい‥?」


これ以上、湯が熱くなるとマズイと考えた少女は、パネルを試行錯誤に触り、再び音が鳴るとあたりが静かになった。

「あ‥‥とまった? ふぃ〜危ない危ない‥」


次からは慎重に触ろうと思う少女だった。


         

          ★



赤髪の男が刃を振り下ろす刹那せつな、突然何者かが相手とこちらの間に入り、剣で防御する。

「あァ?なンだァ‥てめえェは?」


しかし男の問いに応えることなく、誰かに向かって合図する。

「今よ!」

それと同時に3発の火の玉が赤髪の男に吹き飛ばしつつ小さな爆発を起こす。


「ぐァァァアアアアア!!」

地響きとともに悲鳴が響き渡る。


「君? 大丈夫‥‥て、ルークス?!」

「ヒマリアか?」

こちらに気付く騎士服の格好をした短い茶髪の女性

どうやら星群アステリズム騎士団が駆けつけに来てくれたようだ。


安全確認しながら他の団員も家に入っていく

「あァ〜面倒くせェーなァ‥‥」

ほこりまい視界が悪い中、男の声が響く。


「チッ‥星群アステリズムの連中かァ‥まあいい‥ザコが集まった所でやるべきことは変わンねェ」

静かながらも的確な殺意をこちらに向ける。

ピリピリした空気により一層、警戒にチカラを入れる。

「油断しないでね」

「分かってる。来るぞ!」


「ククク‥‥さあ第2ラウンドと行こうぜェ!」

「はい そこまで」

爽やかな男の声とともに、水飛沫が両者の間をとるように床から吹き出す。


ヒマリアが口をこぼす

「魔術?!」

赤髪の男は苛立つように舌打ちする。

すると赤髪が最初に蹴り飛ばした部屋から、青髪の背丈の高い男が姿を現す。






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