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星の願い  作者: ミケ
第一章 黒き魔物
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22.一時休戦

バンッ!


静寂に包まれた迷いの森に乾いた音が鳴り響く。


「………おや?」

銃撃を放った本人が驚く様に視線を向ける。

先程放たれた魔弾をルークスが鞘を使い弾き守っていた。

「いきなり攻撃とは一体どういうつもりだ?」


急な出来事に呆然としていたミルキーは我に返り態勢を整える。

プルートはステラに指をさし淡々と話す。

「どういうつもりかって?簡単な事だ…その女が抱えている魔物を消そうとしただけだ」


黒い魔物に放った魔弾と比べると、かなり控えめな威力だった。

ステラ自身ではなくステラに抱えられた魔物…テーベに向けて攻撃してきたようだ。

「この子は何もしてないのにどうしてそんな酷い事をするの!?」

珍しくステラは声を荒げる。


少し間を空け、ヘルセが話す。

「……絶対悪の象徴…魔物を絶対悪に掲げ、この星に存在する魔物を消し去る。それこそが我々の目的だからデース」

だが今のところテーベは悪い魔物ではない。

ルークスは激昂する。

「だからって、いきなり攻撃する理由にはならねぇだろうが!?」

少しでもズレていればステラに当たっていたかもしれない。


「お前には理解できないだろうが、どれぼど力の弱い魔物だろうが大人しい魔物だろうが、時が経てば俺達人間の脅威になりかねない。お前が抱えているその魔物も今は弱いが何年後か先に危険な存在になっているかもしれない。さぁ、ソイツを渡せ…抵抗するでならば、お前達も無傷ではいられない」

プルートは腰に付けていた細剣を鞘から引き抜く。


「アタシ達の話を聞かないわけ?」

「残念ですが、話し合いで解決出来る事ではありまセーン。最後の忠告デス。その魔物をこちらに渡してくだサーイ」

続くようにヘルセも鎌状に戻した武器を構えはじめる。

どうやら話し合いで解決できる相手では無いようだ。


苦虫を噛み潰したような表情を見せる。

「力ずくでやるつもりか?」

「ふん…大人しく従わないならな。さあどうする?」

プルートの問に応える様に鞘から剣を取り構える。


「ルークス…」

心配そうに後ろから声を掛ける。

「安心しなステラ。お前もテーベも…俺が守るよ」

余裕な態度でステラを安心させる。

「…アタシは入ってないわけ?」

魔導書を片手に語りかける。


「お前の場合、俺の助けなんていらないだろ?」

「あら、よく分かってんじゃない」

会話を遮る様にプルートが口を開く。

「やれやれ…敵を目の前に呑気にお喋りとは…随分と舐められたものだ」


「来るならさっさとかかってきな。返り討ちにしてやるよ」

挑発するように手を招く。

「その余裕…いつまで保つかな?」

正面からルークスに向かい斬りかかる。


カキンッ! 鉄と鉄の甲高い音を周囲に響かせながら剣を振るう。

「ッ!オラッ!」

ルークスの斬撃を軽く捌き反撃をする。

「はッ!」


剣先でプルートの突き攻撃の軌道をずらし叩き込む。

「甘えッ!」

しかし、ルークスの反撃を上手くかわし後退する。

「ふん。どうやら口先だけの奴じゃあ無いようだな」

ピリピリと緊張が走る中、互いが様子を伺う。

「伊達に剣技を磨いてたからな」


二人が戦っている間ミルキーは詠唱を始め魔術を放つ。

「荒れ果てる水流よ…アクアブラスト!」

ミルキーの周りに4つの水塊を発生させ、ヘルセに向け飛ばす。


鎌状の武器を瞬く間に銃に変形させ迎撃する。

「まるで的あてゲームデース」

バシャバシャと水の破裂音を出し、あっという間に4つの水塊が破壊される。

「おや?もう終わりデスカ?では行きますヨ!」


素早い動きで目の前まで近づく。

「速い!?」

「ではでは。おねんねの時間デース!」

ガチャ…銃口を顔に向け射撃をする。


バンッ!

再び乾いた音が広がる。

「……おやおや」

魔弾が相手に届く事なく、魔術によって防がれていた。

無詠唱ながらも事前にハードシェルである防御魔術を仕込んでいた。

ヘルセは異常に気づき、距離を取ろうとするが…

「させないわよ」


不意に体全体が重くなる。

「ぐっ!?」

(これは重力魔術…しかし残念デスネ。無詠唱程度では私を止められませんヨ?)


「油断するな!ソイツは二重詠唱だッ!」

ルークスと交戦中のプルートは声を荒げ注意を呼び掛ける。

小さな笑みをこぼし術を発動させる。

「今頃気づいても遅いわよ!食らいなさい!ライトニングロッド!!」


ヘルセの周りに円を描く様に4つの巨大な針が地面から突き出し、雷鳴を轟かせ重い一撃が落ちる。

「ノオオォォォォォォォオオ!!!」

避けきれずに雷撃が全身に襲いかかる。


「無詠唱でこの威力だと!?あのエルフ…一体何者だ?」

ミルキーは所々息切れを起こし途切れながら話す。

「アタシは…天才魔術師の…ミルキー・ウェイよ。覚えておきなさい」

「その様子だと、さっきの魔術はもうしばらく放てそうに無いようだな。術者に大きな負担をかける二重詠唱に、無詠唱にも拘らず強力な魔術…そんな術がノーリスクで放てるものではない。さて、次はこちらが反撃する番だ」


「そうはさせねぇぜ?」

ミルキーの前にルークスが立ちはだかる。

「そう焦るな。心配しなくとも、まずお前から―――――」

「まちなさい。プルートボーイ」

先程ライトニングロッドをモロに受けたヘルセが立ち上がり止めに入る。


「なんだ?怖じ気ついたか?」

銃型から鎌状に戻しながら近くに寄る。

「まだ気づきませんか?」

「…………」

プルートは黙りながら周囲を見渡す。


「おっと、ステラか。どうしたんだ?」

ルークスの背中にいつの間にか引っ付いてた。

「うぅ……イヤな気配が集まってる…」

その言葉に嫌な予感が走る。

「…それって黒い魔物の事よね。ハァ、次から次へと…」


怠そうに話していると、ヘルセが近づき1つ提案をする。

「みなさーん。申し訳ありませんが、ここは共闘といきませんか?」

共闘の言葉に反応をする。

「まてヘルセ!こいつらは魔物共を匿う連中だぞ!そんな奴等と共闘だと!?ふざけているのか!?」

忌々しそうに話し反対をする。


「プルートボーイの言い分も分かりマース。デスガ今はそんなことを言っている場合ではありまセーン。何のために王都に来たのか忘れたのデスカ?ボーイの気持ちも理解できマス。だからこそ今は脅威のある魔物を優先するべき事ではありませんか?」

「…………………」

何とも言えない表情に回答を待つ。


しかし、プルートよりもルークスが先に口を開く。

「ちょっと待てよ、何勝手に話を進めてんだ」

「これはこれは…ですがアナタ達も同じじゃあありませんか?ここで争うよりも今は共に戦うことが一番と思いマスガ?それに、奴らはこちらを待っててはくれませんヨ?」

草木が茂った方向に視線を移す。


ガサガサと音を立てて奥から三体の黒いゴーレム型の魔物がゆっくりと姿を現す。

「チッ、仕方が無い今回だけだぞ」

嫌々としながらも手を貸してくれるようだ。

「さて、俺達もいくとしますか。ステラ、危ないから下がっててな」

「う、うん…」

「あ〜、ホント面倒くさいわねぇ〜。さっさと終わらせるわよ!」


黒い魔物という共通の敵を前に、一時的に共闘を選び目の前の敵に集中する。












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