17.日常の中で
アクエリアスとの激戦から数日後、傷はステラの治癒術によって治され、ミルキーの家にくつろいでいた。
今日はルディとステラにあの日の出来事を説明しなければならない。
(さて、どう話そうかな‥)
説明するのが下手な彼に頭を悩ませていた。
そんな中、白髪の少女がとぼけた声で話し掛けてきた。
「るぅーくすぅ〜‥おなかへったぁ〜」
力無く後ろから抱きつく。
「腹へってんのか?」
「うん‥」
「何が欲しい?」
「あまいもの」
ミルキーはルディを連れてくるため、今はルークスとステラの二人しか居ない。
助手として働いているから食べ物ぐらい漁っても大丈夫だろう‥と思いルークスよりも少し背の高い長方形の冷蔵星導光に手をかけ中身を物色する。
「‥‥買い物に行った方がいいか‥?」
冷蔵星導光の中身にあるのは飲み物とパンの2種類しかない。
いくら何でも少な過ぎる。
「どうしたの?」
眠そうな顔を見せながら聞く。
甘い物と彼女は言っていたがパンでもいいのだろうか?
「パンしかないけど食うか?」
「やだぁ!あまいものがいい!」
嫌なのか駄々をこねる様に言う。
「とは言ってもだな‥今はパンしかないんだ‥あ、ジュースあるけど」
「ジュースぅ?ケーキがいい!」
「おいおい、起きたてにケーキなんて食うのか?いやそもそもケーキなんて今ねぇし…」
「とにかくっ!あまいものがほしいのっ!」
朝からケーキレベルの甘い物は、食べれない派のルークスにとって理解しがたい事だった。
「そう言わずに‥ほら、うまいぞ〜?」
「やだ!」
意外とワガママである。
しかし、そんなものは無いので買い物に行く必要がある。
「帰ってきたわよ〜」
そんな時、玄関からミルキーの声が聞こえてきた、どうやら帰ってきたようだ。
「お、いいところに帰ってきたな」
ステラを引っ付けたまま出迎えに行く。
「おかえりミルキー‥て」
ステラは手を振りすぐに気づく。
「あ、二人とも久しぶり」
ミルキーにルディ、その隣に見慣れたフサフサの茶髪に騎士服を着たヒマリアが軽く手をふる。
「あの日以来だな。そっちはどうだ?」
「ぼちぼちってところね。君こそどう?ミルキーからちょこっと聞いたけど、大丈夫だった?」
少し心配そうに尋ねる。
「大丈夫だ。心配かけて悪かったな」
「な〜にが「大丈夫だ」よ‥アタシは死ぬかと思ったわ。あんな事、二度と御免だわ」
愚痴を吐き捨てるように話す。
「ミルキーがそこまで言うなんて珍しいね」
視線をヒマリアに移し質問する。
「ところでお前はどうしてコイツと一緒に?」
ヒマリアは手に持っていた箱を前に出し答える。
「ちょっと買い物に行っててね‥その帰りに偶然会ったの」
「ん?!この匂いは!」
背中に引っ付いてたステラが急に覚醒したかのように目を見開きヒマリアが持っていた箱に反応する。
「その箱から甘い匂いがする」
ルディは、おどおどしながら答える。
「ふ、二人にお土産を買っていたの‥待たせちゃったから‥も、もしかしていらなかった?」
「そうなのか?有り難くもらうぜ」
「えへへ~ありがとね!ルディ」
二人の反応に少々照れる。
区切りのいいところにミルキーが割り込む
「こんなところで話すもアレだし、アタシの部屋で話しましょ?」
★
「はいどうぞ」
ミルキーは全員に可愛らしいテーブルの上にお茶を差し出す。
「ケーキもらうね」
ソファに座り早速箱を開け中にあった小さなショートケーキを取り出し頬張る。
ルークスはお茶をゆっくりと飲み感想を聞く。
「どうだ?うまいか?」
「うん!甘くて美味しいよ!」
「当然よ〜。だってそれ【宝石甘味】で買ったものだからね〜。おいしいに決まってるわ」
何故か誇らしげに話すミルキー
宝石甘味という言葉にルークスは質問する。
「宝石甘味だと?あんな高級店に…お土産って言ってたけど、まさかとは思うが俺のミラで買ったんじゃあ無いだろうな?」
「ん?それってアイツから貰った30万ミラのこと?いつからあのミラがアンタのモノになってたの?」
聞き捨てならないセリフにルークスは突っかかる。
「おいおい、あれは俺に向けて渡してたモンだぞ?全額‥までとは言わない‥‥せめて半分すつに分けようぜ?」
「はぁ?なんでアタシのミラをアンタに渡さないといけないのよ?」
二人の間にヒマリアが介する
「ちょっとまって、30万ミラ?二人ともどっからそんな大金手に入れたの?‥まさか‥!」
強盗犯を見るかのように二人に視線を向ける。
「なんでそんな目で見るんだよ‥俺がそんなことをする人間に見えるか?」
「うん」
「即答かよ‥」
「だって、やる時はやる人って知ってるから‥」
「それはもう10年前の話だ‥‥こんだけ時が経ったら少しぐらいは変わる‥ってそうじゃあねーだろ!」
「アハハ!冗談よ。そんなことする人じゃないの知ってるからね」
話しが逸れルディが口を開く
「あ、あの‥」
言いにくそうにする彼女にミルキーがわざとらしい咳をし代わりに答える。
「コホン‥‥ミラの事は一旦置いとくわね‥そろそろ本題に入りましょう」
「ほんだい?なにはなすの?」
ケーキをペロリと平らげた彼女は聞く
「リゲル尖塔で起きた事さ‥俺、説明が下手だからさ‥お願いできるか?」
ミルキーに視線を向ける
「いいわよ。と言うか元々アタシから説明しようと思ってたから、じゃあ言うわよ。」
★
しばらくの間、ミルキーがこれまでの事を説明する。
オリオン平地からリゲル尖塔まで、禁断盗賊団、アクエリアスの事を細かく話す。
「‥‥と言うわけよ。ざっとこんなものかしら」
ルディは静かに呟く
「そう‥‥彼が‥」
「ルディにはショックな話だけど事実よ。今後アイツには関わらないでほしいの、もしアイツが来たらその時はアタシ達に頼って頂戴」
「う、うん‥あ、ありがとね‥」
「禁断の連中が居るのは知ってたけど、そこまで大事になってたなんて‥」
ヒマリアは頭を抱え考える。そんな中にステラから意外な言葉が出てくる。
「私‥知ってるよ‥月星石の事‥」
「え?ステラ?今なんて言った?月星石を知ってるって、俺には聞こえたけど‥冗談じゃあ無いよな?」
疑われた事に腹を立てたのか少し怒りっぽく話す
「嘘じゃないよ!‥‥私もどうして知ってるのかよく分かんないけど‥」
途中から急に自信を無くす。
「知ってる事なら何でもいいわ。聞かせてもらえないかしら?」
ミルキーの問に答える
「うん‥でもあまり期待はしないでね。‥たしか月星石は七宝星の1つ‥だっけ?その石は雷を司るって聞いたことがあるの、でも誰から聞いたっけ?」
「七宝星?聞いたことがないわね。それって―――――――」
ミルキーが何か聞こうとしたところに外から何かの爆発音が響く。
「な、なに?!」
いきなりの音にビックリしたのか紫髪を揺らしまわりを見る。
「今の音近いね‥私、外見てくるから皆はここで待ってて!」
そう言葉を残しヒマリアは一人で外へ向かう
「まて!ヒマリア!」
続けてルークスも剣を持ち部屋から飛び出す。
「あ〜もう!ルディ!ステラのこと頼んだわよ!」
「う、うん‥気をつけてね‥」
「私も!私も行く〜!」
ルディは急いでステラに抱き止める。
「じゃましないで〜!」
「だ、だめだよ!危ないから!」
「むぅ〜」
その間に外へ向かった三人は爆発音の元へ行く。




