113.研究者
唐突な発言に一同が戸惑いを見せる。
「アンタ今なんて言ったの?」
「お前達と共にすると言ったんだ。文句があるのか?」
何故か喧嘩腰に言ってくる。
すると、ステラがギャーギャーと騒ぎ始める。
「あるよ!どうして来るの!」
「監視するためだ」
何を言ってるか分からなのか一転してポカーンとする。
「かんし……?」
「そうだ。そのクソスライムがいつ牙を剥くか分からないからな。事が起きてからでは遅い。俺が監視しなくてはな」
つまり、テーベが誰かを襲ったりしないかという理由でついてくるようだ。
「むむむ……」
テーベの事を疑われて怒ってるのか、ぷるぷると震えだす。
「抑えて抑えて……」
ミルキーがなだめるようにステラの頭を撫でる。
念を押すようにルークスが話す。
「ついて来るのは結構だが手を出すなよ?」
「お前の言う人探しが終わるまでは何もしないでやるよ」
「それならいい」
話し終わるとタイゲが近づいてくる。
「話は済んだかな?」
「ああ、待たせて悪いな」
「それでアンタの方はどうだったの?」
ミルキーが彼にポーシャの情報がどこまで手に入れられたかを確認する。
しかし、タイゲからの反応は芳しくないようだった。
「あまり…だったな。知ってるやつはそこそこ居たんだが、どこに行ったかまでは分からないんだ」
「そうか…どこに行ったんだろうな?」
クラーワから頼まれた黒い箱を渡さなければならないため、知っているではなく、何処に居るかが重要だ。
気になったのかプルートが尋ねる。
「人探しと言ったな。ソイツの名前は?」
ルークスよりも早くステラが冷たく言う。
「あなたには関係ないよ」
「まだ怒ってるのか?やれやれ……」
相手を小馬鹿にする感じで両手を広げる。
すぐさまステラが安い挑発に乗ってしまう。
「むむむぅ!」
「ステラ、落ち着けって…」
ポンポンと頭を撫でて落ち着かせる。
「怒るのは勝手だが質問には答えてもらう」
相変わらず威圧的な態度を取る。
こんな事にいちいち気にしていたら話が進まない…そう思った彼は素直に答える。
「ポーシャってやつだ」
「ポーシャ?」
「その反応、知らないパターンね」
はぁ…とため息をこぼす。
「知ってるぞ」
彼の思わに答えにルークスは目を丸くする。
「マジで?」
「年寄のくせに動きの速いやつのことだろ?一度だけ会ったことがある」
意外なことに彼はポーシャと認識があったそうだ。
ここで肝心なことについて聞く。
「いつなんだ?」
うーんと思い出しているのか、目を閉じて考えるとこう言った。
「2年前くらいだったか?」
「は?二年前…?」
「そんな前のことを話されても仕方ないんだけど」
いくらその人物を知っていようが、本人に会わないことに変わりはない。
「知っていると言ったが、どこにいるかは知らないぞ」
今までのやり取りが無駄に思えるほど時間を浪費してしまった。
また、振り出しからである。
「はぁ~…結局分からないままね」
すると、タイゲが重たい口を開き出した。
「いや、もう一つ、有力な情報を得られる場所がある。あまり気乗りになれねえが…」
その意図が分かったのかプルートが口を挟む。
「研究者どもか?」
「ああ…」
「研究者…?それって確か星導光が大量に置いてあった所だよな?なんか近づき難い雰囲気があるんだが…」
パーリクの真ん中にある重々しい建物に大量の寒冷星導光が不規則に並べられた場所。
そこに住む研究者と呼ばれる人がいる。
タイゲ曰く彼らなら何かしらの情報を持っているかもしれないのこと。
だが、一つ問題がある。それは……
「それもあるが、それ以上にアイツらの性格が終わっててな…聞いても追い出されるかもしれない」
言葉の意味がわからないのか、とぼけた声を出す。
「おわってる?」
「いってみりゃ分かるさ」
そう言うタイゲの顔は少し暗くなっていた。
★
「近くまで来るとすげぇよな…それに寒いな…」
研究者達が住んでいると言われた大きな塔のような建物の近くまで来ていた。
近づくにつれて肌寒いと感じるほど、この辺りの気温が低くなっていた。
その原因となっているものが、この付近に大量に置かれた寒冷星導光だった。
一つだけなら4.5人程を涼しくさせるぐらいだか、これを何十個の規模になると、涼しいを通り越して寒く感じるレベルとなる。
「寒冷星導光がこれだけ置いてあるんだ。寒くて当然さ」
自分で言ってふと何かを思い出す。
「あ、そうだ。今ので思い出したが…ルークス。コイツを落としていったよな?」
プルートから渡されたのは見覚えのある寒冷星導光だった。
「あ?…これってフリージアから貰った寒冷星導光じゃねえか。なんで、お前が持ってんだよ」
「お前らを追いかけてる途中に見つけたんだよ。港を
出て近くに不自然な所にあったから、お前らのと思ってな。当たりのようだ」
「………」
プルートから渡された寒冷星導光を無言で受け取る。
その態度に引っかかったのか一言を添える。
「なんだ、礼も言えないのか?」
「いや、言おうと思ったんだが…そもそも、こうなった事もプルートが来たせいというか…」
「素直にスライムを渡せばよかっただけの話じゃないか。なにをいってるんだ」
ペラペラと喋る二人にタイゲが注意を促す。
「お前達、声がでかいぞ。やつらにバレたら…」
彼が喋り終わる前にどこからかガチャガチャと機械が歩く音が聞こえてきた。
その音のする方向を見てみると、そこには人形の機械がジジジと電気を流す音を出して待機していた。
機械からは無感情の男性の声を発してきた。
「ここは部外者立入禁止です。お引き取りください」
「わわっ!なんかきたよ!?」
「なに…コイツ…こんなの見たこと無いわよ…?」
ステラはともかく、ミルキーもこの人形が何なのか知らない様子だった。
「コイツはここの警備ロボだ」
そう言うと続けて彼機械人形に向かって話す。
「おい、俺だ。タイゲだ。テミストに繋げろ」
「タイゲ……検索中………」
人形の頭からピピピピと電子のような音がなる。
しばらくするとその音は止み声が出てきた。
「ヒットしました。貴方は冒険者の方ですね。申し訳ありませんが貴方にそのような権限はありません。お引き取りください」
「……まいったな…前はいけたんだがな…」
想定外なのか頭をさすって、どうしようかと悩んでいる。
そんな彼にお構いなしに人形はこう言った。
「警告。立ち去る意思を見せない場合、武力行使に移ります。お引き取りください」
何やら不穏なワードが出てきた、長居はしないほうがいいかもしれない…
皆んなの様子を見て助言するようにプルートは口を開く…。
「コイツとやりやっても面倒事になるだけだ。引いたほうがいいぞ」
どこか悔しげにタイゲは舌打ちをする。
「ちっ」
「なんだ、騒がしいぞ」
建物の奥から別の男性の声がしてきた。
その人物はこちらに近付き姿があらわになる。
白衣を着た男はタイゲを見てうっとしそうな表情をする。
「あ?お前は……」




