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星の願い  作者: ミケ
第四章 砂漠に眠る秘宝と星の記憶
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112.しつこいやつ

「ふひぃ〜……涼しい〜…」

タイゲが寒冷星導光コンゲラーエーテルを置いていったため、ルークス達は暑さにやられること無く快適に待っていた。

「アイツ大丈夫なのか…?俺達のために置いてくれたのはありがてえけどよ……」

砂漠のような暑さと乾燥した環境において必須とまでは言わないが、コレがあると無しではだいぶ違う。


「大丈夫じゃない?冒険者をやってるんだし」

「そりゃあ、そうかもしれねえけどよ…」

タイゲの心配をしていると近くから聞き覚えのあるの声が聞こえてきた。

「よぉ……お前達……」

ステラが猫のように素早く反応をする。

「む!その声は!」


ルークス達の前に黒服姿のプルートが立っていた。

気の所為かどこか疲れているように見えた。

「さっきはよくもやってくれたな。誤解を解くのにどれほど時間が掛かったことか」

「お前……まだ諦めてなかったのか…いい加減しつこいぞ」

「なら、さっさとソイツを渡すんだな」

手を突き出してテーベを渡すようにジェスチャーする


「むむむ!」

威嚇のつもりなのか、ステラはジローっと見つめる。

すると、ずっと大人しくしていたテーベがぷるぷるとうごきだす。

それに気づき慌てて両手でつやつやのスライムを軽く押さえる。

「って、テーベちゃん!?駄目だよ!今動いちゃ!?」


「ふん、ぬいぐるみになりきってやがったのか?スライムのくせに知能はあるんだな」

彼の挑発とも取れる言動にテーベは凄まじく荒ぶる。

「落ち着いて!テーベちゃん!」

あわあわと慌てながらも的確にテーベを落ち着かせる。

少しずつだが動きが鈍くなってきた。


「どうすんだ…今回は前みたいにいかねえぞ…」

前とは違って今回はタイゲがいる。

人探しを手伝ってくれているのにこちらの都合で彼を置いていく訳には行かない。

どうするかと考えていると、ミルキーが魔導書を静かに開き戦闘態勢にでる。

「………ぶっ飛ばすしかないわね」


「まてまて、ここでやる気か?さすがにそれはねえぞ」

ルークス達のいる場所が住居や商店といった建物がある。

周りに人は少ないが、へたに攻撃でも仕掛ければ余計なことに発展しかねない。

「じゃあ、どうするのよ…」


二人の動きにいぶかしみにプルートが話してきた。

「何をコソコソとしていやがる」

「どうやったらお前を追い払えるか相談してたんだよ」

「なら大人しくソイツを渡せ。そうすればお前達の前から消えてやるよ」

王都コーディリアからパーリクまで追いかける執念…簡単には諦めてはくれない。

「ちっ、やるしかないのか…?」


どうしようかと迷っているとタイゲの声が響いてきた。

「おーい、戻ったぞー………って、何の騒ぎだ?」

「タイゲ!いいところに戻ってきてくれたな。実はコイツに…」

前回の港の事を思い出したのか、ルークスの声を遮るように声を荒げる。

「まてまて!また妙なことを言うつもりだろうがその手はもう通用しないぞ!」


続けて早口になりつつも軽めの自己紹介をして説明をする。

「お前は……冒険者だな?俺は絶対悪の象徴プルートだ。アイツの頭に乗せてる魔物を狩るためにいる」

「絶対悪の象徴?ああ、あの魔物狩りの連中か。ん?お前、いま魔物って言ったよな?どういうことだ?」

すると、プルートはステラの頭に乗っているスライムに指をさす。

「お前の目は節穴か?そこの白髪の女が乗せてるスライムの事だ」


「は?これってぬいぐるみじゃなかったのか?」

テーベに視線を移すと微かにぷるぷると動いていた。

「うおっ!?動いたぞ!コイツマジで魔物だったのか?!分からなかったぜ…」

相当驚いていたのか目が丸くなっていた。

「さて、これで理解しただろう。魔物は悪だ…何か悪さをする前に消さないとな」

ジリっとステラに近付き張り詰めた空気が漂う。


通行人達も何事かと思い少しずつ集まって来た。

「ダメっ!テーベちゃんは悪い魔物じゃないよ!」

「魔物なぞ全ては悪だ。奴らは本能のままに生きる畜生共だ。なぜそれがわからない」

彼女の前にルークスが立ちはだかる。

「……悪いがコイツは俺達の仲間だ」

最初はステラが拾ってきた奇妙な魔物だったが、共に旅をしていく中でテーベという魔物は仲間として次第に認められていった。

今では大事な仲間だ。


「ルークス…」

心配そうに彼の背中を見る。

「仲間に手を出そうってなら手加減はしねぇ」

鞘から剣を引き抜き構える。

異常に気づき始めた人々がザワつき始める。

「ふん…魔物を庇うなんて…無知もいいところだな」

「ストップストップ」

タイゲが割り込み仲裁に入る。


「なんだ?お前には関係ないだろう」

「まあ、そうなんだが。とりあえず今は落ち着こうぜ。どんな理由があっても町中で暴れられちゃ困るからよ」

この件に関してはタイゲは関係ない。しかし、ここでは戦闘を起こすなら話は別。

だが、プルートも最初からここで戦う気が無かったのか、あっさりと答える。


「安心しろ。ここでは戦ったりしない。ルークス、砂漠に来い。そこで決着をつけてやる」

「だから待てって!」

声を上げて彼を引き止めた後、静かに話す。

「……今はそういうの無しにしないか?」

「なに?」

「その……冒険者が言うことじゃねえのは分かってるけどよ……テーベって言ったか。ソイツは悪いやつには見えねんだよ」


出会って僅かな時間しか居なかったが、タイゲが見た限りテーベが誰かを襲う所を見たことがない。

それに人の言葉をある程度理解しているようにも見えていた。

でなければ、ぬいぐるみのフリなんてしないだろう。

「お前も魔物を庇うつもりか?」

「話は最後まで聞けって…」

敵意を向けられても冷静に話し続ける。


「絶対悪の象徴が魔物を狩る事は知ってる。悪さをする魔物ならともかく、そうじゃない魔物まで殺すのはやり過ぎじゃないのか?」

絶対悪の象徴…魔物狩りとして有名な組織。それはタイゲのような冒険者の端くれにも伝わっているほどだ。

魔物狩りの組織であってか、善悪関係なしに全ての魔物を標的としている。

タイゲ自身はそこが気に食わなかった。


善良な魔物まで手にかけることはないのではないかと。

「いい奴も悪いやつも関係ない。魔物であるだけで消す理由になる」

「……人間に友好な魔物もそうか?」

「そうだ。お前達は魔物の恐ろしさを知らない……だからそんな悠長なことを言えるんだ」

「…………」

確かに彼の言うことも一理ある。


善良に見えても、その裏では捕らえた獲物をどう捕食しようと考えたり、どのように振る舞えば自身にとって都合よく行ったりなど、多少知能のある魔物なら考えてもおかしくはない。

事実、魔物に関する被害は後を絶たない状態でもある。

「分かった。これ以上お前達の揉め事には関わらない」


「タイゲ?」

ステラが不安そうに彼を見る。

もし彼もプルート側についたらどうしようと思ったからである。

だが、ステラの不安も杞憂で終わる。

「だが、俺が手伝っている間は邪魔をするな」

「なんだと?」


「俺は今ルークス達の人探しの手伝いをしている。テーベを消すにしろ人探しが終わってからだ」

せめての時間稼ぎか、ポーシャの居場所が判明するまでは手を出すなと言う。

「すまないな。お前達と出会って間もないから、そこまで深入りは出来ないんだ。この一件が終わったら後はお前達でどうにかしてほしい」

「最後まで悪いな…ありがとよ」


「…………」

こちらを向いたままプルートが黙り込む。

「なんだ?不服か?」

「約束は守るよな?」

「俺は嘘をつかない。約束しよう」

静かに目をつむり口を開く。

「……分かった。俺もお前らについて行く」

「………は?」


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