107.プロローグ2
サングレーザーから離れた場所にある小さな港に来ていた。
辺りは平原で見渡しは良かったが港以外の建物は何もなかった。
あくまでもマーフスティ大陸とペルミア大陸をつなげるための場所なのだろう。
「丁度いい時間に着たね」
フリージアが機嫌よく言う。朝から来たおかげかそれとも普段からなのか人通りは多くはなかったら、
船が丁度いいタイミングで着く。
「こんな所に港があったなんてな」
サングレーザーからはさほど遠くはない場所にあるが、港が小さいこともあってか今まで気づかなかった。
「マーフスティとペルミアを行き来するための場所だから、そんなに大きくはないわ」
フリージアがステラの体に触り注意を呼びかける。
「ステラちゃん。船に乗る時は一応テーベの事を見ててあげるんだよ。あっちはここと違って魔物を敵視してるから」
「そういやサングレーザーのとこってテーベの奴を見ても無視……してたよな。あれはどういうことだ?」
最初に来たときから不思議に思っていた。
魔物であるテーベをサングレーザーに入っても特に騒ぎになることが無かった。
普通であれば騒ぎ立てるはずなんだが……
「サングレーザーの周りにいる魔物は他の地域と竸べて温厚な魔物しかいないの。そのせいかサングレーザーに住む人達も警戒心がなくて、街中に魔物見ても大したことじゃないの。でもそれもここだけの話、コーディリアやファールバウティといった場所はいつも通りだから気をつけてね」
サングレーザーの人々達にとって魔物とは身近な存在。
守護星導光が無いため街中に魔物が侵入してくるのは日常茶飯事なのだ。
そして、この辺りに生息する魔物は比較的に穏やか。
それらがあってここの人々は魔物に対して警戒心が薄かった。
だが他の場所では違う。
今後のことを考えて慎重に考えて行動しなければ厄介なことになる。
「そうか…分った」
「フリージアちゃん。アレル。ありがとね」
元気よく手を振る。
フリージアとアレルも合わせて船を向かう彼らに手を振った。
「また遊びに来てね」
「待ってるよ」
「アンタ達も気をつけるのよ」
「じゃ、またな」
二人に見送られながら船に乗る。
小さな連絡船で簡素な装飾を施されていた。
ルークス達以外にも乗客がちらほらと見えていた。
二人の先に走っていき海の景色を堪能し始める。
「おお〜きれい〜」
小さな子どもが初めて大きな乗り物に乗った時の反応を見せる。
「このぐらいのことではしゃぎ過ぎよ」
ミルキーが彼女を見守る中ルークスは部屋の方へと向かっていった。
すぐにステラが気づいて呼びかける。
「ルークス何処に行くの?」
「この先大変そうだし部屋で寝てくる――――」
途中からトントンと足音がして、聞き覚えのある男の声がした。
「よぉ…ルークス。久しぶりだな」
振り返ると片目に黒髪が掛かった黒服の男が立っていた。
「プルート…?何故お前がここに…?」
「少し前にお前たちがサングレーザーから離れる所を偶然見かけてな…危うくすれ違うところだった」
フリージア達と一緒に行動している所を見られていたようだ。
しかも、彼らにバレないように追跡までしていた。
愚痴を吐くようにミルキーが言う。
「そのまますれ違ってくれれば良かったのに。で、何のよう?」
「俺が言わなくても分かるだろう。スライムを消しに来た」
ステラの頭の上に乗っているテーベが反応を示したのか、ぷるぷると動く。
「わわっ、駄目だよ!テーベは今ぬいぐるみになってるから!」
周りにはサングレーザー以外から来た人達もいる。下手に動けば面倒事になるだろう。
「わざわざそんな事をしてまでソイツを連れて行くとはな……せっかくだ、俺が面倒を見ててやる」
ニヤリと笑い手を差し伸べる。
「え?」
ステラがポカーンとするがミルキーが注意を促す。
「勘違いしないで。コイツの言う面倒を見るというのはアンタの思ってることじゃないから」
ルークスは周りの反応を見て言う。
「なあ、止めにしないか?周りを見てみろよ」
ざわざわ…とルークス達の周りに人が集まってきていた。
プルートは舌打ちをしてルークス達から離れて捨て台詞を吐く。
「仕方ない。今は見逃してやる。だが、向こうについた時がお前の終わりの時だ」
「相変わらず一方的な奴ね…ぶっ飛ばしてやりたいわ」
いつもよりも増してミルキーが苛ついている。
「抑えてくれ。今はあまり動かないほうがいい」
「そんな事言われなくても分かってるわよ。ただ、モヤモヤしてただけ」
プルートの向かった方向に目を移すが、すでに彼の姿が消えていた。
集まっていた人達もバラバラに散らばっていく。
「………とりあえず部屋で寝てくるよ」
「テーベが襲われたらどうすんの?」
「大丈夫だろ。アイツもこんな所で暴れるやつじゃないと思うし……たぶん」
彼の事をよく知らないが、少なくともこんな狭い連絡船で戦うやつではないだろうと思っていた。
自身はなかったが……
「最後の一言が不安なんだけど……」
ばっと振り返ると彼女の姿が居なくなっていた。
「あれ?ステラは?」
「………どこに行ったんだ?」
前にもこんな事があった……
「はあ……ホント自由ね」
二人は仕方なくステラを探し始めた。




