表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星の願い  作者: ミケ
第四章 砂漠に眠る秘宝と星の記憶
114/142

106.プロローグ

雲一つ無いキレイな星空の下に二人の影があった。

アルカーナ遺跡を彷彿とさせる雰囲気の中、ルディとシャーリィがお墓の前に目を閉じて手を合わせていた。

「…………」

「…………」


目を開けるとシャーリィが戒めるように話す。

「ボク達は必ずやり遂げなければならない」

カリュプスと書かれた墓を見つめて続ける。

「こんな悲劇を繰り返さないためにも…」

「………」


ルディの様子を見て気まずくなる。

「ごめん。やっぱりボクの事……見たくないよね」

「………」

二人の間に埋められない亀裂があった。

過去にシャーリィがあることをしたキッカケで二人の仲は悪くなり今もそれを解消されてはいない。

彼女は墓を見つめてまま黙っていた。


「………行くね」

静かに立ち去ろうとするとルディが声をかけてきた。

「待って」

足を止めて待つ。だが、振り返りはしない。

「………その……」

なにかいいたそうにするが、その先の言葉がなかなか出でこない。


「…………」

沈黙が続いたが……

「ううん。何でもないよ」

「うん……」

シャーリィはトボトボと去って行った。

一人になった彼女は呟く。

「………カリュプス……」

片手に墓石を軽く触れながら決意する。

「仇は………絶対にとるからね……」



     ★



サングレーザーの拠点にルークス達は朝食を摂っていた。

「あ、それ、アタシのだけど!!」 

ミルキーがステラの取った食べ物を取り戻そうとするが、それよりも早くステラの口の中に吸い込まれてしまった。

「もぐもぐ…?」


「まあまあ、いいじゃねえか。食いもんの1つぐらい」

「1つって……それ何回目なの…?」

かれこれ何回か同じ事が起きていた。

「おいし~」

ぷるぷる…とステラの感情を表すようにテーベも小さく小刻みに震える。

「はぁ……アンタねぇ…少しは食欲を抑えることぐらいしなさいよね。そのうちプクプク太っても知らないわよ」


「えへへ~だって美味しいんだもん」

「はぁ……」

ルークス達を見てアレルが聞いてきた。

「みんなはいつもこんな感じなの?」

「いつもっていうか……そうだなぁ……そうかも?」

「なんで疑問文なの…?」

こういった戦いのない日常は久しく感じていたため曖昧な言葉が出てしまったのだろう。


何だかんだステラと出会ってからは何でもない日常ですら忙しなくいてる気がしていた。

「それで今日からファールバウティに行くんだったよね?」

アレルが確認するように聞いてくるとルークスが答える。

「ああ、世話になったな。おかげで色々と助かったぜ」


すると、フリージアが優しい笑みを浮かべる。

「こちらこそアレルを助けてくれてありがとね。困った時があったら、ここに寄って。助けになるから」

「ありがとな。そうさせてもらうぜ」

大人しく食べていたステラがあたりを見渡す。

「そういえばレグレスとスピカが最近見ないけど…」


ルークス達が休息を取っている間、しばらくは見かけていたが最近になって居なくなっていた。

「あの二人なら、それぞれの主の元に帰っていったよ。今回の出来事を報告するためにね」

「主……というと確か十二星宮だっけか?」

十二星宮にはそれぞれの眷属が存在する。

眷属の役目は主のサポートだ。

今はその主の元に各自、帰っているのこと。


「うん。今回のことでみんな貴方達のことを肯定的に見てきてたから悪いようにはならないよ」

前回のアクエリアスとの戦いとは違い、全面的に十二星宮の助けとなったのだ。

彼らから見てもルークス達の活躍はいい出来事であった。

「なあ、レグレスとスピカの主はどんな奴なんだ?」


少し前から気になっていた。他の十二星宮はどんな奴らかと。

「んーと…レグレスの主は「獅子座」のレオだよ。すっごく頼りになるいいおじさんだよ。スピカの方は「乙女座」のヴァーゴ。ちょっとクセの強い人だよ」

どれも聞き覚えのない名前だ。


これまでの関係を崩したくはないのか、念を押すように言う。

「レグレスとスピカが行ってるから大丈夫だと思うけど、もし二人に会ったら私の名前を伝えて。悪い展開にはならないはずだから」

「ねぇ、フリージアちゃん」

「どおしたの?」

少し俯くと言いにくそうに口を開く。

「キャンサーっていう人……知ってるの?」


ステラにとって十二星宮の中で一番気になる相手は彼の存在。

「そうだわ、アイツってアンタ達の仲間よね?アイツのせいで酷い目に遭ったんだから」

彼の襲撃によりミルキーやステラ、星群アステリズム騎士団の多くが被害にあっていた。


それを聞かれてか「あっ」と口をこぼす

「そういえばアルバがそんな事を言ってたような…」

「あとシャーリィって奴も気になるな…」

さらにルークスの疑問に慌てて止めに入る

「ちょっと待って、1つずつ答えていくから…」

場を仕切り直して咳払いをする。

「まずはキャンサーの事だけど、私にもあの人がどういう人なのか知らないの。十二星宮の中でも生き残りの人だから…」

「生き残り?」

「魔人戦争だよ。あの戦争で多くの仲間が消えていった。十二星宮もね」


「………」

しんみりと黙る。

魔人戦争……人間側が一方的に始めたと言われている。

その理由は魔物の排除と人間が如何にも賢く崇高な存在か知らしめるためと伝えられている。

当時の人間はやりたい放題だったため、その影響は終戦後も続き人間と他の種族に大きなわだかまりが広がっていた。


「今の私達の殆どは新しく入れ替えしたものなの。私も含めてね。キャンサーは魔人戦争の生き残りで今も「蟹座」として活動している。彼がどういう人なのかは彼と同じ生き残りの者しか知らない」

「じゃあ知ってる奴はいねえってことなのか?」

「いるよ。キャンサーと同じ生き残った十二星宮は彼を含めて4人。一人が「天秤座」のリブラ。二人目が「牡羊座」のアリエス。そして三人目が「乙女座」のヴァーゴ」

キャンサーの事を知るなら彼ら彼女達に直接聞かなければならない。

しかし、ルークス達が知っている者は誰一人いない。

強いて言えば、さっき彼女が言ってくれたヴァーゴぐらいだろう

地道に行くしかないようだ。


「もし彼のことを知りたいのならヴァーゴに訪ねるといいよ。アリエスはどこにいるのか分からないし、リブラは…ちょっと会うのはやめたほうがいいと思う」

「なんで?」

「リブラは人間のことを良く思ってないから…」

フリージアが暗く話すことから極力彼女とは会わないほうがいいだろう。


「それで次はシャーリィのことなんだけど…」

シャーリィの話をしようとするが、申し訳無さそうにする。

「ごめんね。シャーリィとはあまり話したことがないから深いことまでは知らないの。でも一つだけ…彼女は十二星宮の中でも一番の研究者でもあるの

狂気の「山羊座カプリコーン」ていわれてる」

「カプリコーン……」


「あの人もあまり会わないほうがいいと思う。主にルークスが」

「人間だからか?」

「うん。私達の中でも彼女が人間に対する憎悪が凄いの。特に街中以外の場所で会うのは危険だよ。私やアクエリアスの知り合いだとしても容赦はしないと思う」

よほどのことがない限り彼女に会うのはやめたほうが良さそうだ。


「そ、そうなのか…気をつけねえとな…」

しょんぼりした雰囲気にステラが呟く。

「優しかったけど……」

「ステラちゃんが星天一族だったからだよ。もし仮に貴方が人間だったら今この場には居ないよ」

一段落がつきすこし間を空けてからフリージアが確認をする。

「聞きたかったことは終わりかな?」


「そうね…アタシからは何も無いわ」

ミルキーは特になくルークスが質問をする。

「最後に1ついいか?」

「なにかな?」

「ファールバウティって砂の国って言われてるんだよな。どういう所なんだ?」


「砂漠にある機巧都市きこうとしだよ。からくりや仕掛け作りといった物が多い場所なんだ。ここと比べて大きい場所だし…あとは遺跡があることかな」

「遺跡?」

「うん。星天一族が残した遺跡。それを解明しようと各地から冒険者や研究者とか色々と集まる場所でもあるの。行ってみれば分かるよ」

それを聞いてルークスは真っ先にアルカーナ遺跡の事を思い当たる。


「なんか凄そうな所だな…」

フリージアから色々と聞いたが肝心なところは分からずにいた。

そろそろ港に行くのか、ルークスは立ち上がる。

「行くの?」

じっとこちらを見つめてくる。

「ああ」


アレルがゆっくりと歩を進めて話す。

「せっかくだし港まで送っていくよ」

「最後まで悪いな」

「気にしない気にしない。さ、行こ」








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ