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星の願い  作者: ミケ
第三章 這い寄る星々
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101.渦巻く憎悪

王都コーディリアにある学園区。

今日も変わらず学生達で溢れかえっていた。

シャーリィが通行人達にすれ違う際に迷いの森の魔物について話している内容が耳に入る。

「ようやく死んだか」「これで安心出来るわね」「誰がやったか知らないけどありがとう」「サソリ?そんなの居たっけ?」

「他の魔物も駆除しろよ…」


あれから時間が経ち、迷いの森にいたサソリの情報が届いていた。人々は至って普通の反応だ。

魔物=悪と考えを持つ者にとっては…

しかし、彼女は耐え難いノイズとして聞こえていた。

シャーリィの腰に掛けてある試験管がカチャカチャとならし、ある学生寮の玄関前まで来ていた。

「……………」

少し緊張気味か深呼吸をする。


手を伸ばし音響星導光アコースエーテルを鳴らす。

部屋の中に音が響く。

「……………」

すると玄関の扉越しに声が聞こえてきた。

「………帰って」

もはや対面することすら許さない態度だ。

ミルキー達と違ってオドオドとした声では無く相手を拒絶するような声だった。


しかし、ここで引くわけには行かない。

そう、今日は大事な話を伝えに来たんだから。

「ルディ……今日は話があってきたんだ」

「……話すことなんてないよ、だから帰って」

単調な言葉を返されるがシャーリィは勇気を出してサソリの名前を出す。

「カリュプスの事なんだけど…」


「またあの子に変なことでもしたの?関わらないでって言ったはずだよ」

カリュプス、その名が出ただけでルディが早口になる。

シャーリィとルディの関係が悪いのはこのカリュプスと言われる魔物に原因がある。

「………」

黙ってしまう。どう言えばいいのか彼女には分からなかった。


変に言えば彼女を怒らせてしまうかもしれない。それ故、直球に伝えることにした。

「………死んだんだ…」

「えっ…?」

ルディも何を言っているのか理解できなかった。

カリュプスが死んだ……?毎日あの子の世話をしてたのに…?

「誰かに……殺されたんだ…」


シャーリィは声を押し殺すように静かに話し続ける。

「ボクはそれを伝えに」

言い終わる前に玄関の扉が開く。

「入って」

そこには真剣な眼差しをしたルディの姿だった。

「…………」



     ★



前回ルークス達が訪れた時と違いカーテンが開いている。

その窓から日差しが入り部屋の中が明るい。

二人は床に敷かれたクッションに座り込む。

ルディの綺麗な紫髪のツインテールは長く首元にマフラーのように巻いていた。


気まずいのかシャーリィはもじもじと落ち着かない。

「ねえ、今の……本当なの…?」

先に口を開いたのはルディだった。

「………うん…」

それに答えるように小さく頷く。

「……」

信用できないのか、それとも受け入れたくないのか視線を落とす。


「ボクもね…混乱してるんだよ。コーディリアに行くついでにあの子の様子を見てみようって…」

彼女はある目的に王都に来ていた。

「森に着いた時には………もう……」

「……人間なの…?」

ルディは事の犯人を人間だと疑う。

「分からない……けど、僕はそう思う」

確信はない…だが、シャーリィの経験上そう囁いていた。


「カリュプスを追い出したのは星導光惑星エーテルプラネットだって分かってたのに…何もできなくて……ごめん」

「…………ううん。シャーリィのせいじゃないよ」

あの時ミルキーが言っていたステラの言葉を思い出す。

あの子は変な人達に住処を荒らされて迷いの森まで逃げていたと


「これは私の………私がちゃんとあの子の事を見ててあげてたら、こんなことにはならなかった」

「……………」

シャーリィはゆっくりとその場に立ち上がる。

「ボク、もう行くよ。これ以上邪魔しちゃうのも悪いし…」

「……………」

彼女は俯いたまま静かにいる。

「カリュプスは……故郷に連れ帰るよ。いつもの場所で待ってるからね」


優しく言うと彼女は部屋から出て行った。

「…………」

外からは人の賑やかな声だけが聞こえていた。

「うう…………」

彼女は一人、両手で涙を拭う。



     ★



王都から少し離れた場所オリオン平原の目立たない場所に二人の影があった。

「………」

一人は識の部下と思われる黒服の人間、もう一人はミラを数えているフォンセだ。

「………」


今日は風もなく魔物も近くにいない。そのせいか紙幣の擦る音がやけに大きく聴こえていた。

フォンセは1枚1枚、丁寧に数えては男が用意したケースの中に入れていた。

そしてようやく最後の1枚を数え終わる。

「800万ミラ確かに受け取ったぜ」

「毎回数えてるんですか?」

どれくらい時間が掛かったのか男は疲れているように見えた。


「ああ?当たり前だろ、依頼者が確実に出してくれる保証なんてねえからな」

「そりゃそうですけど…」

ポケットから小さな袋を取り出す。

そしてその袋の中に袋より大きなケースを収納する。

どうなっているんだ?と男は不思議に思い尋ねる。

「それ、便利っすね。どういう仕組みなんですか?」


「ああ、これね。ストレージボックスってやつだよ」

「ストレージボックス?」

ボックスと言う割に箱ではなく袋なのか……

「お前、ロストカンパニーって知ってるか」

ロストカンパニー……大半の者はその存在を知らない。

「あの妙なモノを収集してる連中ですね。それがどうかしましたか?」

それでも知っている者も僅かながら存在する。


「コイツはその連中の製品だ」

すると、フォンセはミラをしまい込んだ袋とは別の白色の袋を取り出す。

「なんでも異空間に繋げて収納出来るようにしてるらしい」

「それって何でも入るってことですか、めちゃくちゃ良いじゃないですか。それ一つあればどこでも行けますよ」


ストレージボックスがあるだけでかなり便利になるだろう。

しかし、フォンセからは意外な言葉が出てきた。

「残念だが、お前が想像してる内容よりも、コイツは使いにくい」

手につまんだ袋をひらつかせる。

「収納の点に関しては文句はねえが…取り出す時に問題がある」

「問題…ですか?」


「自分の意思で選べないことだ。例えばの話だが…コイツの中にミラと複数の武器があったとしよう。ミラがほしい時にコイツから取り出そうとするだろ?だが、実際に取り出せたのは武器の方だったみたいな感じだ」

「確率の問題ということですか?」

「そう、だから俺はコイツにはミラしか入れねえことにしてんだ。幸いにもストレージボックスは2つもあるからな。1つは貯金箱、2つ目は武器庫ってな」


袋をポケットの中にしまい込む。

「じゃあな、アイツによろしく伝えといてくれ」

用事を済ませて王都へ戻る。

「さてと…ミラを増やしに行くか」

当時の予定通りファールバウティに趣きギャンブルでミラを増やしに行く。










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