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星の願い  作者: ミケ
第三章 這い寄る星々
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99.討伐

取った袋に手を入れて中を漁る。

サソリとの距離はかなり離れているため気付いていないのか、あちらから仕掛けてくる気配は無かった。

気づいているとしても、この魔物に何かしらの被害があったという話は滅多に聞いたことがない。

迷いの森にデカい魔物がいると人々達が騒いでただけなのだ。


確かにあのような魔物がいると不安を感じ取らざる得ないが、何もしていないのも事実。

だが、フォンセにはそんな世間の事情など、どうでもよかった。

依頼をこなしミラを受け取る。これだけで十分なのだ。


ガサゴソと漁ると袋の中から、十字架の短剣が手に持って姿を表す。

それを見てなぜかフォンセはガッカリした様子を見せる。

「今日の運はねえな」

ぼやくように言うとフォンセは強靭な足に力をグッと入れると、次の瞬間、銃弾のような音を残してサソリの元へ飛んでいった。


あまりの速さに後から暴風を巻き起こして辺りに土煙を舞わせる。

目に止まらい素早い動きでサソリの視覚を惑わせて、狙いの隙を伺う。

魔物もフォンセの速さに翻弄させているのか、戸惑ったように動かない。


ガッと地面に着地する音がサソリの真横から聞こえてきた。

その音に反応して確かめる暇もなく巨大な爪を立てて、地面を突き刺す。

爪の衝撃でより一層、辺りの土煙が濃くなった。

サソリは爪をすぐに引っこ抜いた。どうやらフォンセには当たってなかったようだ。


相手の攻撃を外したことにより隙ができてしまう。

それを逃さずフォンセは真正面に現れて、サソリの頭に短剣を突き刺す。


ガンッ!!


まるでハンマーで鋼鉄の塊を殴ったような鈍く重い音が響いた。

魔物の体を揺らすほどの衝撃が走る。だが、サソリにはダメージを負ってはいなかった。

頭を狙われる寸前に巨大な爪を盾にして防いでいたからだ。


そのままサソリは小さな虫を払うように爪を薙ぎ払う。

フォンセのような強靭な肉体を持った人間でも軽々と遠くに吹き飛ばす。

ほんの僅かだが口角があがる。


ザーッと地面に足をつけて減速し止まる。

サソリを前に準備運動をする。

魔物はこちらの様子を伺うだけだ。

あちらから仕掛けることは無かった。

(アイツの硬さは情報通りだな)

識からの情報では、サソリ型の魔物「カリュプス」と呼ばれる蠍座スコーピオンの眷属。


ソイツが持つ能力、「硬質化こうしつか

体の一部を一時的ではあるが、硬くすることができる。

これは術の類ではなく純粋な体質変化だ。

(術式を斬る十戒じっかいじゃ無理だな)

十戒…それはフォンセが今手に持っている十字架の短剣の名称。


この剣には十個の特殊能力がある。

その1つ…術式を斬る力。どんな術式であろうが一撃で斬り伏せて術そのものを無効化にする。

フォンセは再び不思議な袋を取り出し十戒を戻して探る。


今度は当たりなのかニヤリと笑う。

「きたな」

ばっとそれを袋から引き抜いて先ほどと別の武器を取り出した。

その武器も短いが十戒ほどでは無かった。

深い青色が目立つ刀は魔物の警戒を深める。


器用にクルリと回して刀を手に取り再び接近する。

サソリはずっしりとした構えで迎え撃つ。

相手の距離を一気に詰めると巨大な爪が容赦なく振り下ろされる。

サソリの攻撃を難なくかわし剣を振るう。


スパッ!!

骨をぶつ切りする気持ちの良い音が耳に入る。

魔物自身も困惑しているのか痛みも感じずサソリの体に傷がついていなかった。

だが、そんな時間は一瞬で背後に周ったフォンセに爪を使い振り返る際に薙ぎ払う。


爪の薙ぎ払いで強風を吹かせて薄くなった土煙を晴らしていく。

しかし、そこにいたはずのフォンセが居なかった。

「!!」

強烈な気配を感じた、今後ろに……奴がいる!


既に武器を構えて尻尾に突き刺す寸前だった。

星屑ホシクズノ刀、星のエネルギーを使用した術式。その効果は一度斬り付けた対象の魂を記憶し、その魂の持つ全ての術式、能力を無効化)

グサッ!!

「!!!?」

サソリに強烈な痛みが駆け巡る。


(但し、一度に記憶が出来る魂の数は一つまで)

深く刺した刀を中身を抉るようにグリグリと回し斬る。

サソリの尻尾の付け根からは人と同じ赤い鮮血が噴き出す。


再び銃弾の音が鳴り出した。

フォンセが高速で移動して脚の全てを斬り落としに行っていた。

サソリも相手の動きに対応出来ず、どんどんと追い詰められていく。


とうとう尻尾までも斬り落とされて次に硬かったはずの爪にもバラバラに斬り裂かれていった。


強靭な爪を失ったサソリは決死の抵抗に体を使い彼を押しつぶす。

だが、それは決して叶うことは無かった。

途中で力が抜けたのかフォンセにいる場所の横に倒れてしまう。

ずっしりと重い魔物が倒れて小さな煙が舞う。

「久しぶりにいい運動ができたな」

刀を袋の中にしまい込む。


そして依頼者である識がパチパチと拍手をしながら近付いてきた。


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