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星の願い  作者: ミケ
第三章 這い寄る星々
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98.識

商業区にあるボロい酒場の中に真っ昼間から酒を飲んでいた。

ギャンブルでミラを倍以上にする予定があるため、今はケチって安い酒で済ませている。

「………」


一杯の酒を飲み干すと背後から怪しげな男が話しかけてきた。

「やぁ」

「…………」

男の存在が無かったように反応がない。

「無視されるとは…悲しいねぇ…」

「俺に話しかけてるのか?」

フォンセは依然のまま振り向く動作もしない。

「君以外に人は居ないけど?」


面倒と思いながら男の方に振り向く。

その男は灰色のローブに黒色のはかまと簡素な見た目の格好をしていた。

足には白い靴下に下駄を履いていた。

「……で、だれだ?」

怪しげな男は苦笑しながら話す。

「おやおや、一度ネメシスで話し合った仲じゃないか。覚えていないのかい?」


ネメシスで?こんな訳の分からねえ奴と話した記憶なんてないが…?

しかし、ネメシスに居たのは結構前のことだ。

どうでもいいこと内容なら覚えていないことにも無理はない。

基本的にフォンセはミラの事しか考えていないため、他のことなんて覚えることはない。

「………覚えてねえ」


「ふふふ…では、もう一度自己紹介といこうか」

そう言うと男は目をつむり口を開く。

「私の名前はしき星導光惑星エーテルプラネットの七星人……といえば分かるかな」

星導光惑星エーテルプラネット……それも特殊な七人と呼ばれた存在、七星人ときた。

ろくでもねえ奴が来たな。面倒くせえ…」

「それを言うなら君もそうだろ?」


「で、何のようだ。そこらのクズなら分かるが、テメェのよう奴が俺に訪ねることなんてしねえ」

フォンセに近付いてくる依頼者は様々だが、その中でも星導光惑星エーテルプラネットからは来たことがない。

いや、そもそも彼に依頼する必要がないのだ。


「依頼さ。ちょっとしたね」

「………はなしな」

「横…失礼するよ」

フォンセの隣に空いていた席に腰を落ち着かせる。

「君は迷いの森に居るサソリの魔物について知っているかな?」


「何ヶ月前からか騒いでたやつか」

ルークスがコーディリアに来る少し前から騒ぎになっていたことを思い出す。

本来、迷いの森に生息していないはずの魔物が出てきて大騒ぎになっていたとか。

その時にコーディリアにいなかったため風の噂かと思っていたが…


「どうせ、流行に乗ったクズが飼育しきれずに捨てたってオチだろ」

人間というものは愚かな生き物だ。

流行りに乗るために安易に手を出し実際に飼ってみれば大変だと理解する。

自分ではどうしようもないからソレを殺すか、何処かに捨てるといった無責任な人間が多く出ていた時期があった。


「確かにそう言った話は聞く。だが、今回の魔物はそういうわけではない」

識の元に水の入った一杯のコップを手にとって、少しだけ口にする。

「その魔物はね。十二星宮の眷属なんだ」

「十二星宮……星天一族の生き残りか」

十二星宮の意味は=星天一族の意味をする。


十二星宮には眷属が存在する。

その役目は主のサポートを中心としたもの。

水瓶座アクエリアスであるアルバはサダルメリク、魚座パイシーズであるフリージアはアレル。

このように一人一人に眷属がつけられる。

そして今回のサソリの魔物は……

「サソリの魔物ということは蠍座スコーピオンの眷属か?」


「そう、君にはその魔物を半殺しにしてほしい」

半殺しに疑いを持つ。

「殺す……ではなく半殺しね……なにを考えてる?」

獣人族ビーストやエルフといった人形の種族なら理解できる。

奴隷売買により強制労働や慰め者にしたりと有効活用があるからだ。


だが、相手が魔物となってくると話が変わってくる。

基本、魔物は本能のままに動いていて生かした状態では色々と厄介事になる。

人形の魔物も珍しくも存在するが今回はサソリ型の魔物だ。

いくら十二星宮の眷属とはいえ本質は変わらない。


「私にも計画があってね。私情により私の手で仕留めなければならないんだ。それで、お願い出来るかな?」

星導光惑星エーテルプラネットは今でも目的の分からない連中だ。

表向きでは人間の為の組織だとか言われているが、実際には邪魔してくる連中を人間と問わずに殺しにかかってくる。

ハッキリ言うと関わりたくはない。

だが、フォンセにはそれ以上に大切にしているものがある。


「いくらだ?」

自称傭兵と名乗っている彼はミラさえあれば、どんな依頼だってこなす。

ミラさえ手に入れれば心が満たされるからだ。

「800万ミラでどうかな?」

「…………」

今までに無い金額だ。どう考えても怪しい。

「もし星天一族とのトラブルを懸念しているなら心配は無いよ。蠍座スコーピオンの動向については既に調べ上げている」


「彼女のいない時間を選び、さらに特殊な結界術により外部からの侵入は勿論、感知もされない状況を作り出す。もし君にリスクがあるとすれば…眷属との戦闘だけ…」

眷属は十二星宮ほどチカラはないが、弱いわけではない。

並大抵のチカラでは勝てない相手だ。


「だが、それも大したリスクにはならない。君の戦闘能力に加え眷属の情報は私が持っている」

そんな相手でもフォンセには関係ない。

情報が無くとも彼の力であれば十分だ。

「さて、どうする?」

残りの酒を飲み干して空になったコップを置く。

「いいぜ、その話のってやるよ」


「ミラは…前払いかな?」

「後でも構わねえよ。それで、いつ頃にやる予定だ?」

「結界術と言っても近付かれては素人でも気付かれてしまう。細工を仕掛けるにも多少の時間は必要さ」

椅子から立ち上がる。

「2日後の昼過ぎに迷いの森付近に落ち合おう」

そう言い残すと識は酒場から出て行った。



     ★



識との依頼から2日後が経った。

この2日間は準備をすること無く特に何もしていなかった。

よほど自身があるのか変わらない服装で迷いの森に足を運んでいた。

森の入口付近に識が待っていた。

「はえーな、いつから来てたんだ」

「少し前からだよ。準備は……言うまでもないね」


「テメェの方こそ出来てるのか?中途半端にやってんじゃねえよな」

「安心するといい。結界術は問題なくかけたよ。それに人払いも済ませてある。時間は……1時間といったところか」

「それだけあれば十分だ」

薄く笑い迷いの森へと入っていく。


「くれぐれも殺さずに…」

念には念を押すように言う。

「安心しな。ヘマはしねえよ」

森の中…といっても今は舗装されて直通した道のため迷うことはない。

識も迷いの森に入って近くの木の上に座り遠くからフォンセの戦いを見る。

(さてと…君の実力を見せてもらおうか…)


大きな道の端にターゲットとなるサソリの魔物が佇んでいた。

「ひと仕事…始めるか」

そう言うと彼はズボンのポケットから白く小さなものを手に取った。











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