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星の願い  作者: ミケ
第三章 這い寄る星々
101/140

95.力量の差

アクエリアス達の拠点内にて異常が起きていた。

ステラの前に侵入者の二人が立ちはだかっていた。

(な、なに…この人…?!)

ジロジロとベリスの事を見る。

(すごく…怖い感じがする…?!)

今までに無い感覚に戸惑っているとベリスの口が開いた。

「外へ出ようか?」


とりあえず彼の言うことを聞いて部屋の外へと出る。

さっきまで、この男が一人だけだと思っていたが、隣にフリージアより少し背の低い少女がちょこっと出てきた。

「へぇ~、この子がステラ・バイナリーね」

ニコニコと笑いながらステラの事をじっくりと見る。

「初めて見たけど…すっごく可愛いじゃん!胸も大きいし…いい子そう!」

「…………」


「えっと…貴方達は誰なの?」

恐る恐るに聞いてみると、メルは明るく返事をする。

「おっと、自己紹介しなきゃね。私はメル・クルリア。こっちのでかいのがベリ君…じゃなかった、ベリス・リムラだよ」

「そうなの…あれ?メルって確か…」

その名前に聞き覚えがある。たしか、プルートの言っていた星導光惑星エーテルプラネットの………

「あなた…七星人っていう悪い人!?」

「あらら…ステラちゃんも知ってるのか〜…参ったな〜」

手で後頭部をさすり、わざとらしく困った風に見せる。

「…………」

相変わらずベリスは黙ったままだ。


「ねえ、ステラちゃん」

本題に入ったのか声のトーンが少しだけ低くなる。

「ステラちゃんは痛い目に遭いたくないよね?」

「わ、わたしをどうするつもりなの…?」

ステラは身を守る仕草をする。

頭の上に乗っているテーベも警戒しながらも相手の出方に伺っている。

「んー、それはまだ秘密。それでどうかな。ステラちゃんが素直に言うことを聞いてくれるなら…何もしないよ。でも、言うことを聞いてくれないなら…どうなるか、分かるよね」


「…………」

少し間が空きステラは答える。

「その前に一つだけ聞きたいことがあるの」

ちょっとした違和感、ステラはずっとその違和感に引っ掛かっていた。

侵入してきてる二人もそうだが、それ以前にあまりにも静かすぎる。

「なにかな?」

「下にいた皆んなは……どうしたの」

二階の廊下に出ているため、部屋にいるよりこちらの方が一階の話し声が聞こえやすいはずなのだ。

だが、そんな声も物音1つもしない、嫌な予感がする。


「…………」

ベリスからは特に何も言わない。

それを見越してメルが代わりに答える。

「ちょっとの間、眠ってもらってるよ」

「……!」

「まあまあ、そんなにあせらないでよ。話は最後まで聞くもんだよ」

焦る彼女に落ち着かせるように話し出す。

「彼女達には私の幻を見せて眠ってもらってるだけ、ホントだよ。信じられないなら…見に行く?」

「…………」

本当の事だろうか?それが真実と言うならまだ安心できる。だが、同じ言葉でも意味の違った事になれば……


ステラが不安に駆られていると不意にベリスが誰かに向けて喋りだす。

「初めまして…ですね」

「ん?」

メルが後ろに振り返ると、廊下の突き当りにフリージアの姿があった。

「フリージアちゃん!」

ステラが思わず歓喜の声を上げる。

「フリージア…?ああ、十二星宮の……」


急いできたのか息が荒かった。

「貴方が……ベリス…!」

「…………」

ゆっくりとステラからフリージアへと振り返る。

(アルバの言ってた裏切り者…!

初めて見たけど…コイツがわたしの……!)

互いが牽制し合うように様子を見ていた。

少しでも何らかの動きがあれば、すぐに戦闘が起こる状況。

「………」


ベリスも黙ったままで特に細工や術の発動など、こちらから仕掛ける気配はない。

(うーん…両方とも動かないな~)

チラッと二人を交互に見てフリージアに気付かれない程度に呪力を込める。

(まあいいや、十二星宮って言っても一人だけだし……ここは)

「待て」

メルの動向に気が付き制止する。

「ふむ?」

一瞬ハテナとなったが彼が止めた理由はすぐに起きた。


パリッ!

突如としてステラ達の後ろからベランダの窓を叩き割って入ってきた。

「ステラ!伏せろ!」

その声を聞いて、すぐに彼だと理解できた。

「!!」

メルとベリスは同時に彼の方に振り返る。

「くらいやがれっ!」


ルークスは剣に炎を纏わせて、剣を振るい炎だけを二人に目掛けて飛ばす。

ぼうっと焦げた臭いと共に二人を焼き尽くす。

ステラは急いでルークスの傍まで駆け寄って行く。

炎が急激に鎮火されていき当てたはずの二人の無傷の姿が見えてきた。

よく見ると彼らの足元に綺麗な円形が出来ていた。

ルークスの飛ばした炎がまるで見えない壁があるかのように遮っていたのだ。

(なんだコイツ…!)


奇襲を仕掛けたつもりが上手く行かず焦っていたが、それ以上にベリスと視線が合うだけで嫌な身震いをしていた。

ベリスは確実にこちらを見ていた。

彼から感じるのは殺気…ではない何か。

それを理解する前にベランダの割れた窓から急に強風が吹いてきた。

ベリスとメルは目にゴミが入らないように顔の前に手をやる。

「ふにゃ!?」


その僅かなの隙を狙い風を利用して雑にステラを回収しつつ二人の間を通り抜ける。

「ミルキー!」

彼女の名前を呼ぶ。

階段付近に待機してたのか、素早い動きで姿を表す。

「行くわよっ!」

詠唱は既に済ませており術式を展開させる。

「最大出力!レイジングフレイム!」

術式の前から高熱を帯びた巨大な火球が発射された。


廊下の壁を次々に派手な音と共に破壊していき大きな爆発を起こす。

爆風により廊下中に熱気が籠もる。

やがて白い煙が晴れていき相手の姿が見えてきた。

「この程度ですか?」

「なっ…!?」

ミルキーは驚きのあまり立ち尽くしてしまう。

「今の攻撃を防いだっていうの?!」


ベリス達の方をよく見てみると、彼らの足元や壁…その背後にあるもの全てが無傷だった。

破壊された部分は火球が通った場所だけで、彼らの付近からまるで何もなかったかのようにキレイに境界線が出来ていた。

「…………」

依然としてベリスはルークスを目で追って見ていた。

油断ならない相手に彼自身もベリスを睨み返す。

「なるほど……道理で……」


「んへ?」

寝起きのような声を上げてベリスに話しかける。

「なーんかさ、ベリ君だけ分かった風にしてるけど私に対して説明とかないの?」

「止めだ、メル。退くぞ」

「人の話きいてないしー」

ゆらゆらと体を動かし、拗ねた子どものような態度をする


「後で話す」

「…………」

彼にも何か考えがあるのだろう、そう自身に納得をさせて不満げに返事をする。

「はぁ、分かったよ」

そう言い残し彼らはこの場を消え去って行った。

これも魔術なのか、去る際に瞬間移動したように目の前から消えていた。


辺りに漂ってた嫌な雰囲気は消えてなくなり、緊張の糸が切れたようにフリージアはその場でぺたんと座り込んでしまう。

「は、はうぅ~……」

「さっきのは何だったんだ…?」

正体も分からない相手によく理解せずに戦っていたが、ルークスでも感じ取っていた。

あれは只者じゃないと。

「…………」

ステラもテーベと共にボケーっと彼らがいたベランダの方をずっと見ていた。


「フリージア!」

ベランダから軽い風が吹いてきて、その風に乗るようにアレルが入ってきた。

「アレル…やっぱり貴方が…」

「ご、ごめん。僕一人じゃ無理だと思ったから」


ベリス達が拠点へ来る少し前にアレルは異変に気付いていた。

その異変が気になったため拠点から離れ、サングレーザーの周辺を調べていた。

途中アレルは目撃してしまった、アクエリアス達を倒していく彼らの姿を。

彼らが去って行った後、気付かれないようにアクエリアス達に接触し、応急処置程度ではあったが手当てをした。


その後、帰る途中のフリージアと出会い、事の経緯を彼女に話した。

彼女はルークスとミルキーには言わないでと頼まれていたが、事の重大さを理解していたアレルは約束を破る形でルークス達に助けを求めに行ったのであった。

「ううん。いいよ、お陰で助かったから…」

アレルの判断にとがめること無く、ふんわりとした雰囲気をしていた。


「なあ、スピカとメリーは大丈夫なのか?下で寝てたけど」

フリージアを助けに向かって行く途中、玄関にサダルメリク、リビングのソファの上にスピカが寝転がっていた。

「多分大丈夫だと思うよ」

階建から彼の声がしてきた。

「アクエリアス!動いて大丈夫なの!?」

「ははは…かすり傷さ…それよりも」

肩に担いでたレグレスを寝かせる。

「レグレス!?」

ルークスが声を大きくして言う。無理もない、アクエリアスの体はボロボロだが見ている感じだと、そこまでのダメージは無い。


だが、レグレスの方は背中に大きな何かが刺さった跡があり、今も血が流れていた。

「ちょ、ちょっと、どういう状況なの!?」

「酷い怪我…!」

「そんな…応急処置はしたはずだよ!」

ステラ達が騒ぐ中、アレルは頭を抱えだす。

「やられたところがよく無かったみたいだ」


応急処置程度では傷口を防ぐことは出来ない。所詮は時間稼ぎにしかならない。

「すまない。君に無理を承知して頼みたいことがある」

アクエリアスが申し訳無さそうに言うとステラは即答しレグレスの傍に座る。

「大丈夫…やるよ。みんなは仲間だから」

「ステラちゃん…」

彼女が術式を展開させて治癒を開始する。


心配そうにステラとレグレスを見つめる。

「…………」

目を閉じて集中力を高める。ステラの当てた手から中心に暖かくほのかな光が輝く。

その光がレグレスに移り、彼の傷口が治っていく。

「す、すごい…これがステラさんの力…」

初めて見たのかアレルは目を丸くしている。

数秒後、レグレスの傷が完全に消えた。

「………っはあっ…はあっ…」


治癒を終えた瞬間にステラは大きく呼吸が乱れた。

彼女の額や体から汗が吹き出ていた。

「ステラ!」

倒れそうなステラにルークスが抱きかかえる。

みんなに心配掛けたくないのか、精一杯の声を振り絞る。

「だ、大丈夫……疲れただけだから…」

「ありがとう。君は休んでくれ。アレル、彼を頼めるかい?」

「うん」


アクエリアスの指示にアレル二人の様子を見に階段を下っていった。

「説明したいことはたくさんあるけど、今は彼女達の安全が先だ。すまないが二人も手伝ってくれないか?」

このような事態になってしまっては、彼女達の安全が優先だ。

「最初からそのつもりだったし、やるぜ」

「そうね。アタシもメリーとスピカの様子を見てくるわ」


「わ、わたしも…」

力が上手く入らないのか、ルークスの服を引っ張って意思表示をする。

「ステラは駄目だ。今のでかなり体力を使ったんだろ?」

心配性な彼女に落ち着かせるように背中を軽く触れる。

「うう…でも…」

「大丈夫さ、ステラは自分の事を考えてればいいからさ」

「…………うん…」

そのままステラを抱き上げて、ひとまず安全な一階に連れて行きベッドに寝かせる






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