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星の願い  作者: ミケ
第三章 這い寄る星々
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94.忍び寄る手

二階の一室に気を失い拘束されたユーピテルと、それを見下ろす形でフリージアがいた。

「………」

あれから数日が経ったが目を覚める気配はない。

傷は治したため命に別状は無いはずだが…

(ここまで来たんだ…何が何でも星導光惑星アイツらの情報を聞き出さなきゃならない)


一人欠ける事無く無事に終わったが、心の何処かでモヤモヤ感が拭えずにいた

「……シーシェルが居てくれたらな…」

無意識に誰かの名前を呟くと、自然に二人のことが心配になってきた。

「ルークスとミルキー、どうしてるかな…」


診療所へ送った後、二人とは出会っていない。

「人間の所に行きたくないけど……」

怪我の程度はマシなレベルだが、今回の戦いに巻き込ませた責任感があり決意する。

「見に行こう」

部屋から静かに出ていき階段を下る。

こちらに気付いたサダルメリクはニッコリと笑う。

「何処かにお出かけですか?」

「うん。二人の様子を見にね。メリーはどうするの?」

「私は…皆さんの帰りを楽しみに待っていますね」

「分かった。じゃあ行ってくるね」



    ★


 

サングレーザーにある診療所、人々が集まる広場の場所にあった。

広場に行く途中、様々な人々が通り過ぎていった。

王都コーディリアと比べるとその数は少ないものの、どことなく活気に溢れていた。

いや、変わってはいなかったと言ったほうが正しいか。

それもそのはずでサングレーザーに特に何かあったわけでも起きたわけでもない。


一つ挙げるとすれば四季蓮花しきれんかの異常な枯れ方だけである。

だが、これすらも街の人々達は気にしていない者の数が多かった。

日常茶飯事なのか、それとも興味がないだけか……

そんな人間を見ながら考えていると大きな診療所へと着いた。


色合いもよくある白色でサングレーザーに合わせているのか緑の草や綺麗な花が壁に描かれていた。

扉の前に立つと感知してガラス製の扉が自動的にスライドし道を開ける。

自動星導光オートエーテルでも使っているのだろう。

中に入ると白を基調とした空間が広がっており、辺りには休憩スペースや待機のための椅子やテーブルが並んでいた。


入口から入って前へ進み受付を済ませる。

受付に案内された場所に足を運ぶと、ルークスがいる部屋の前まで着いた。

「ここか…」

コンコンと扉にノックをする。すると扉の奥から返事がした。

「入るよ」

そこにはベットで横たわる彼の姿があった。


意外な来客に少々驚いた様子で見ていた。

「フリージアか?どうした、何かあったのか?」

「様子を見に来ただけだよ。体の方は大丈夫?」

なんとも無いことを伝えて彼を安心させる。

「ああ、もう大丈夫。……と言いたいところだが、まだ少しだけ痛むかな。お前の方はどうなんだ?」

椅子に腰をかける。

「私はそんな大したことないよ。アレルも無事だったし、アクエリアスも元気にやってるよ」

「そっか…それなら良かったよ」


「………」

二人とも口数が減り静かになる。外からの人々の声や歩く音が妙に耳に入っていた。

ルークスもフリージアも少しばかり気まずいのだろう。

彼女が何かを言いそうになった瞬間、不意に扉が開き少女の声が聞こえてきた。

「入るわよ~…ってアンタここに来てたの?」

ルークスと違っていつも通りに接していく。

「うん。ミルキー、体の調子はどうかな?」

「普通よ。でも、戦える状態じゃないわね」


「そうなんだ。二人とも、しっかり休んでね」

フリージアは木製の小さなカゴを前に出してふたを開ける。

「あ、そうだ。お見舞いとしてコレ持ってきたけど…食べる?」

中には色とりどりの果物が入っていた。

香ばしい匂いが漂ってきた。

「そこまで気を遣わなくても良いのに…せっかくだし有り難く貰うわね。ありがと」


「フリージアも一緒にどうだ?」

「ごめんね。ここじゃちょっと…」

危うく忘れるところだった、フリージアが人間ではないことに。

彼女が人間ではない以上、少なくとも人間の事はよく思っていないはずだ。

「わ、悪い」

急いで謝ったがフリージアは微笑みで返してくれた。

「ううん。謝らないで…ルークスの考えてること、私に伝わってるから…」


小さな果物を一口で食べる。

「アンタ達ね…会う度に暗くするのどうにかしなさいよね。前みたいに普通に接すれば良いじゃない」

「言葉で言うのは簡単だけどよ…そう上手く出来ねえもんだよ」

人間同士なら問題ないが人間以外となると、そうもいかない。

「はあ…、ところであの子の様子はどうなの?寂しがってるの?」


ミルキーの言うあの子とはステラのことだろう。

彼女も同じく、あれから会ってはいなかった。

「ステラちゃんのこと?あの子なら元気にやってるよ。ただ…」

口をつむぐが続けて話す。

「よく食べる子だから。近い内に買い出しに行かなきゃいけないの」


「安易に想像できるわね…あの子らしいけど…」

「なんだか悪いな。ステラの面倒を見てもらって」

「気にしないで、私達が提案したことだから…」

すると、フリージアは椅子から立ち上がる。

「そろそろ行くの?」

「うん。二人も無事に回復してきてるし安心したよ。しっかり休んでね」

「ありがとな。フリージア」

軽く手を振り笑顔で部屋から出て行った。




    ★



サングレーザーにある大橋を渡り、入口にメルとベリスの二人の姿があった。

「ここがサングレーザーか〜」

まるで子どものように辺りにうろちょろして見て周る。

「初めて来たけど、すっごい緑が多いね」

手を後ろに組み、振り返って可愛らしくこちらを覗き込む。

しかし、そんな彼女を構わず通り過ぎ目的の場所へ向かう。

「あ、また無視〜?」

「お前は少し黙ることは出来ないのか?俺達は遊びに来たのではない。目的を忘れるな」

「ねえねえ、ベリ君はサングレーザーに来たことがあるの?」


まるで人の話を聞かない…彼女と共に行動する事が多いため、ある程度はメルのことは理解している。

「はぁ…」

深いため息をついて渋々と答える。

「依頼で何度か来たことはある」

「ふぅ〜ん」

興味のなさそうな声をする。

しばらく歩いているとベリスが立ち止まる。

「着いたぞ」


目の前には立派な豪邸が建っていた。

「へぇ~ここがアイツらの拠点か〜」

空を仰ぐように見上げてテンションがあがる。

「立派じゃん!中にいる奴らを蹴散らして、ここに住もう!」

「………」

キラキラとした彼女とは真反対に無言を貫く

「は〜、ノリが悪いね~…」

玄関に向かって行く彼をジト目になりながらも追いかける。


玄関には音響星導光アコースエーテルに似た物が置いていた。

それは小さな四角い物体で真ん中にボタンがある。押すと家の中に音が鳴る仕組みとなっている。

「律儀に押すんだ?」

「……………」

ベリスはそのボタンを押す。

すると、家の中に甲高い音が鳴り響いた。

星導光エーテルは……まあ、使わないよね~。これロストカンパニーのやつでしょ」

「静かにしていろ」


「いま出ますよ~」

扉の向こうからサダルメリクの声がしてきた。

ガチャリと玄関の扉が開き笑顔のメリーが出てきた。

「お前の出番だ」

静かにメルは前へと出て顔を上げる

「どなたですか〜?」

サダルメリクがメルと視線を合わせると彼女は途端に静かになる。

「…………」

パタンとメリーは眠ったように倒れる。


「…………」

さっきまでペラペラと喋っていたメルも一言を発さなくなり、ベリスと共に家の中への侵入する。

「メリー、誰だったの〜?」

リビングでゴロゴロしてたスピカが起き上がり、こちらを見てきた。

「………」

そこにはサダルメリクではなく見知らぬ二人の姿だった。

「…え?」

ビックリした声を最後にスピカは眠るように倒れる。


スピカがいた周りを物色した後、メルが呟く。

「この上だね」

二人は2階に上がり一度だけ立ち止まる

「俺はユーピテルさんを回収に向かう。お前は大人しく待っていろ」

「いちいち言わなくても分かってるよーだ」

意地悪するようにべーっと舌を出す。


ユーピテルのいる部屋に入っていき彼女を回収をする。

彼の言う通りに大人しくしていたメルの元に戻る。

「うわぁ~、情けない姿〜」

ボロボロのドレスに気を失っている彼女をバカにするように口元に手をやる

背負ってはおらずベリスの肩に担がれている状態だ。


「さて、行くぞ」

目的を達成し後にしようとする彼に声を掛ける。

「ベリ君。ついでにさ、アレの回収もしちゃお?」

「さっきも言ったが、俺達の目的は」

「いいじゃんいいじゃん!ここまで来たんならついでにやっちゃおうよ!」

妙に高いテンションに怪しげな表情でささやく。

「それに、今が絶好のチャンスだよ」

「…………」


迷っているのか微動だにしない。

彼を後押しするように説得を試みる。

「ベリ君さぁ、普段から「無用な戦闘はナンセンスだ」って言ってるじゃん。今なら戦闘も起こさずにいけるよ?」

「……分かった」

「さっすが〜♪」

廊下を進み1つの扉の前に立ち止まる。

コンコンと扉のノック音が聞こえてきた。

「うにゅ?ご飯の時間?いつもよりも早いような…」

さらに急かすようにコンコンともう一度ノック音がする。

「今行くよ~。テーベちゃんは頭の上にだよ」


テーベをひょいっと頭の上に乗せて椅子から離れて扉に向かう。

「メリー。まだお腹空いてな……」

途中でステラの声が止んでしまう。

扉の先に居たのはステラのよく知る人物では無かったからだ。

「だ、だれ…?」

異様な雰囲気に思わず固まってしまう。

「貴方が…ステラ・バイナリーさんですね」

淡々と作業するように話しかける。

「外へ出ようか?」






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