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科学防衛隊イシュライザー  作者: kuro96
四.ヴェルドーアの過去編
96/247

16.特別防衛隊結成


 いつもは誰もいない訓練場に7人もの姿があった。


 訓練場はヒューマン・キャッスルの地下2分の1を占める広大な空間だ。

 本当の使い道は緊急避難シェルターなのだが使用しないと勿体ないので、

 イシュライザーの訓練場としても使用許可を得ていた。

 科学技術庁の庁舎から歩いてすぐの距離。

 その気になればいつでも訓練可能である。


 黒いイシュライザー・スーツを装着した『ヒビキ』。

 青いスーツの『シミズ』。

 ピンクのスーツ、『ハヤオカ』。

 黄色いスーツ、『ヤマタケ』。

 紫色のスーツを着た『リツ』。


 ずらっと横に並ぶ姿は壮観だ。

 5人の前にはスーツの開発者である『イイノ』と金色のスーツのわしが立つ。


「それではこれから起動実験を行います。

 肉体変換能力(ライズ)の先生として私の助手『ヴェル』に指導してもらいます。

 ヴェルはライズの熟練者。しっかり教えてもらって下さい」


「よーし! イイノは実験と言っているが、

 これからイシュライザーとしての訓練を行うぞ!

 厳しく訓練するからそのつもりで!」


 えーっと言う声がそこらじゅうから聞こえたが聞こえないふりをして進める。


「この金色のスーツはただの試作品。

 わしはただ教えるだけじゃ。

 正規のイシュライザーはお前たちじゃ。

 ここの住人であるお前たちがこの人間の世界を守って行くのじゃ!

 人間を守る特別な防衛隊じゃ!」


「ヴェル、皆まだ初心者よ。

 優しく教えてね」


「わかっている。手荒な事はせん。

 では、最初はライズの起動からだ。

 この前のお前らの変化を見たがあれでは貧弱すぎる。

 正しくライズする事によってスムーズに能力を発揮する。

 りっちゃんには既に教えたが、

 まず、頭に自分の変化したい姿をイメージする!

 皆、やってみろ!」


「ケッ! 偉そうに!」


「お前もやるんじゃ! これは仕事の一部じゃ!

 やらないと給料が減ると思ってやれ!」


「なんだそりゃ……

 でもキャッスル・ブレインに報告されでもしたら困るな」


 ヤマタケも何とか言いくるめた。

 5人は目を瞑って頭に強くイメージを描く。


「ライズは体の一部を変化させる能力じゃ!

 自分の中に備わっている遺伝子の力を燃え上がらせろ!

 腕、脚、背中や腹でもいい!

 変化させたい箇所に向かってイメージを送り込むのじゃ!

 体の中をイメージが駆け巡るように」


 リツの右腕は鮮やかな紫色に光っている。

 リツ以外の4人も弱々しいが右腕が七色に光った。


「よし、りっちゃん以外の者!

 順番に力を強く込めるのじゃ!」


 ヒビキは右腕を振るうが光っているだけだ。


「イメージの伝達が完全ではないのじゃ。

 声にイメージを唱えるとより伝わりやすいぞ!」


「ファルコン……ウイング!」


 その瞬間、あっという間に右腕が『隼』の翼に変化する。


「わわわ……」


 バサッ!

 巨大な翼が音を立てて空を斬る。

 空気は遠くまで音を立てて飛んで行った。


「な、なんと!

 これは……翼から真空の刃が発生したような……」


「ふふふ……できたな!

 それが本当のライズ!

 イシュライザー・スーツがお前の細胞の変化を強くしているのじゃ」


「凄い。今まで以上の強さ! この力を使えば空も自由に飛べそうだ。

 まるで飛行機のように!」



「次はシミズじゃ! 放て」


「え、え、え~いっ!

 水鉄砲(ウォーターショット)~!」


 ボッ!!

 右腕は魚の口に変わり、激しく水流が吐き出される!


「わ、わ、凄い勢い!

 水の勢いでどんなものも打ち落とせるかも!」


 滝のような水流ははるか遠くまで届いた。



「ハヤオカ! お前もライズじゃ!」


「おおっ! エレファント・ノーズ!」


 ブォンッ!

 象の鼻に変化し見えない速さで弧を描く。


「速いッ! いくらでも速くなりそうだ!」



「さぁて、問題はお前か。ヤマタケ」


「やってやるぜ! 巨人の脚……

 ビッグ・フットだーッ!」


 両脚がみるみる巨大になり見上げる高さに!


「これは……アハハハ……凄い!

 いくらでも強くなりそうだ!

 お前に復讐できるぞ!

 ジャイアント・スイングー!!」


 右腕をわしに向かって水平にふるって来る!


 ブーンッ!


 ドカッ!!


「……ん!?」


 まともに直撃したが手応えがない!?


「やれやれ、こうなるのはわかっていたぞ。

 いくら強くなったと思っても、イシュライザー・スーツのおかげじゃ。

 自分自身の強さは変わっていないのじゃからな。

 己の強さは訓練の中でしか変わって行かないのじゃ!」


 ゴールド・ドラゴン・アームが巨人の腕を握りつぶしている。


「……い、いてててて……」


「ゴールド・ドラゴン・レッグ!」


 ドラゴンの右脚で回し蹴りだ!


 ズガッ!


「ギャッ!」


 ヤマタケのビッグ・フットへもろに入り、骨が折れる音がする!

 脚に力が入らなくなり大きな音を立てて尻から崩れ落ちた。

 ライズが解除されてヤマタケが地面に大の字になる。


「お前の怪力は人間を傷つけるものではないぞ!

 人間を守る為の力じゃ!

 ヒューマン・キャッスルの人間を守る為に生きて行け!

 よく肝に銘じるのじゃ」


「……ぐ……ぐぐ……」


 ヤマタケは痛みでのたうち回っている。

 わしの言葉がわかっているのかは知らない。

 しかし、こいつの力もこれからの人間には必要じゃ。

 いつの日かわかってくれるじゃろう。



「皆のスーツの起動実験、成功だわ。

 全員の力を存分に働かせる事ができそう」


「うむ。充分じゃ。

 訓練を積めばもっと強くなるだろう。

 きっと人間の役にたつ」



 ゴゴゴゴゴ……


「んっ? また恐ろしい力を感じるぞ?」


「……ヴェルさん、ライズを抑えられない!

 どうしよう……」


 リツがまだライズの途中だった!

 解除(リバース)の訓練がまだじゃった!


「りっちゃん! 人間の腕のイメージを……」


「……きゃあああ……

 デス・スリープが!」


 ゴゴゴォォ!


 紫色の煙があっという間に拡散される!

 訓練場全体に広がって行く!


「い、いかん! また……」


「何!?」

「な、なんですか!? この煙!」

「やだー!」

「ぐ……」


 イシュライザーたちは紫色の光りに包まれた!


「グゴォォォ、グゴォォォ……」


「Zzzzzzz……」

「くぅ、くぅ……」

「グーグーグー」

「……」


 5人は防ぐこともできず、深い眠りに落ちた。


「りっちゃん、凄いわね。

 これだけのオリジナル・ジェネシス継承者を一瞬に……

 生物相手には無敵ね」


「……イイノさん……イイノさんは何ともないのですか?」


「ええ。私は全然眠くはならないみたい……」


「……これだけ強力な方たちが寝てしまうのに……」


「りっちゃん。もうライズは治まったみたいね。

 もう動ける人がいないから今日は終わりにしましょうか」


「……はい!」



 --訓練場の入口--


 扉の影に隠れ、イシュライザーたちをじっと見ている人影があった。


「……オリジナル・ジェネシス……

 この力……いよいよ時が来たか……」



 ◇ ◇ ◇



 しばらく寝ていたイシュライザーたちは、目が覚めると部屋に戻って行った。

 すっかり夜になっていたのだ。

 訓練場に残っているのは、わしとイイノだけになった。


「いや~、りっちゃんのあの力は何なのじゃ?

 あんなのどうやって防げばいいのじゃ」


「ええ、不死生物(リッチ)の能力は10体のオリジナル・ジェネシスの中でも異質なものね。

 肉体変換と言うより暗示とか催眠術のような力ね。

 生物にはどう頑張っても防げないかもしれない」


「イイノはよく平気だったのう。

 普通の人間には効かないのかのう」


「……そうかもしれませんね。

 それにしても、6人もオリジナル・ジェネシスが揃っているなんて奇跡ね。

 ここまでうまく行っているのもヴェルのおかげです。

 有り難う……」


「いや、わしはちょっと手伝っただけじゃ。

 お前の研究が凄いのじゃ」


「私なんて……」


「イイノに言いたい事があるのじゃが……」


「なぁに?」


「もうお前の研究もほぼ完成間近じゃ。

 そこでわしは外の世界へ戻り、世界の復興の仕事に戻りたいのじゃ」


「!!」


「イシュライザーたち、ここのオリジナル・ジェネシスの4人が、

 ヒューマン・キャッスルで訓練に励み、人間の為に働き、

 わしたち外のオリジナル・ジェネシス4人は世界の復興に尽くす。

 お互いそれぞれの立場で人間の未来を創っていこう……」


「ヴェル……私……」


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