表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
科学防衛隊イシュライザー  作者: kuro96
四.ヴェルドーアの過去編
93/247

13.イシュライザー誕生


 イイノとの研究の日々は続いた。

 楽しい時もあり、言い争った時もあったが、研究は着実に成果を上げて行った。

 そして、イイノ独自の研究の一つであるオリジナル・ジェネシス遺伝子の働きを

 自在にコントロールするスーツが完成したのである。


 研究室では、わしとりっちゃんを前にしてスーツのお披露目が行われていた。


「ついに試作品(プロトタイプ)が完成したわ。

 二人にしかまだ見せられないけれど……」


 そこには二組のスーツが展示されていた。

 ヘルメット、スーツ、ブーツ、マフラーが一式となっているようだ。

 色は『金色』と『銀色』の2種類がある。


「これが苦労して開発していたスーツなんだな?」


「そう、これを装着すれば細胞を増幅して肉体変換能力(ライズ)を強化したり、

 逆に危険な能力を抑えたりできるわ。

 金色のスーツは能力を強化するスーツ、

 銀色のスーツはその逆で能力を抑えるスーツ。

 本来は二つの機能を一つにしますがテストするために分割したの」


 全身を包むようになっている。

 これでは誰だが外からはわからんのう。


「まず、ヘルメット部分だけど、頭部にはキャッスル・ブレインの技術を応用した

 小型のコンピューターが内蔵されていて、遺伝子をコントロールする信号を送ります。

 またゴーグルの部分にはコンピューターが計算した体のダメージの値や、

 敵へのダメージの値が瞬時に計算されて表示されるようになっています。

 スーツや肉体の耐久力も表示されてて生命の危機に瀕すると警告を発します」


「……素材がかなり高級品ですね。

 簡単には壊れない素材です」


「一番守らなければいけない部分ですからね。

 続いて、スーツも基本ヘルメットと同じ素材だけど半分は人間の皮膚を培養して合成しています」


「人間の皮膚……そんなもの作れるのか……

 恐るべき技術じゃ……何故そんな事するのじゃ?」


「オリジナル・ジェネシスたちは遺伝子の力で細胞を生み出し様々な生物の体に変化させます。

 スーツを着ていると変化の邪魔になってしまいますので、

 人間の細胞を素材に含めておくとスーツごと変化させる事ができます。

 防御力は低くなってしまいますが、わざわざスーツを脱ぐ必要がなくなりますので

 変化のスピードに対応できます」


「何? 服を着たまま変化するのか……えらい事を考えつくものじゃ」


「ブーツもスーツと全く同じ素材です。手、脚、胴体の部分の変化に対応します。

 でも危ないのは頭部の変化ですね。

 『脳』を変化させてしまうとライズの信号を出せなくなる事がわかっています。

 ですから目より上の部分の変化はしないようにした方がいいです」


「わしたち外の世界の者も頭の部分の変化は危険を感じていてしていない」


「ヴェルは肉体変化の熟練者ですから危険性は認知しているでしょうけれど、

 ヒューマン・キャッスルにいるオリジナル・ジェネシスの継承者たちはまだ未熟です。

 危険を防止する為、マフラーの部分から脳自体の変換防止信号を発するよう細工してあります」


「これを着ていれば初心者でも安全に能力を使用できると言う事じゃな。

 しかも正体がわからないのでオリジナル・ジェネシスが誰か隠せるな。

 大した発明じゃ。よく考えたものじゃ」


 イイノは天才じゃ。

 オリジナル・ジェネシス遺伝子の研究していなければこのようなスーツは発明できなかった。

 四六時中一緒にいて協力してきたわしも鼻が高い。


「じゃあ、ヴェル。この『金色のスーツ』を装着してみて」


「え……わしか?」


「そうよ。あなたをターゲットにしてこれを作ったのだから」


「わかった。金色の方じゃな。

 こちらの銀色の方は誰のものじゃ?」


「ターゲットは決まっていないわ。

 こっちはまだ開発途中ね。

 能力抑制機能はまだこれから……

 完成したら試して欲しい」


「ふ~ん。

 では今回は金色の方じゃな。

 肉体変換能力が強力になるとは楽しみじゃ。

 着てみようか」


 作業服をパパっと脱いでスーツを受け取る。


「……ヴェルさん、女性の前で裸になって平気なんですね」


「イイノやりっちゃんには遠慮はいらんだろ」


「……いりますよ!」


「私は見慣れているので全然いいんだけど……」


 りっちゃんの意見は無視してスーツを装着して行く。

 イイノがひとつひとつ手に取ってスーツの着方を教えてくれた。


 完全に装着するとわしの遺伝子に反応したのか金色のスーツが微かに輝く!

 ついにオリジナル・ジェネシスの能力をコントロールするスーツの第一号が完成した。


「おお! 力が溢れてくるようじゃ!

 細胞が生き生きとしている!」


肉体変換能力(ライズ)を使用してみて!」


「ゴールド・ドラゴン・アーム!」


 ゴゴゴ……

 左腕が光輝き、あっと言う間にドラゴンの腕に変化して行く……

 変化の速度が圧倒的に速い。イメージした瞬間に繰り出せる。

 しかも形の完成度、握力も今までに無い強さを感じる。


「おお……力が左腕に集まっている。

 異種細胞の量も段違いじゃ。凄い」


「解除してみて!」


解除(リバース)!」


 左腕が再び輝き、元の腕に戻る。


「成功ね。変化にスーツもついて行けている。

 能力もちゃんと発現しているようだし」


「凄いな。耐久力もありそうじゃ。

 不慣れな者が着て攻撃を受けてもかなり耐えられそうじゃ。

 それに変化後の力がもの凄い」


「人間の世界では発明した物には名前を付ける事になっているの。

 特許登録と言ってね」


「……この装備の名前ですか? 何て言う名前ですか?」


「オリジナル・ジェネシスの変化能力の名前は、

 細胞を変えて体を変える能力と言う事で『肉体変換能力』。

 科学的名称は『ライズ』と言う言葉が既に登録されている。

 能力を起動すると言う意味。

 そこで、その能力を使える者を『ライザー』として、

 異なる種族の力を合わせ持つ者の意味、またチームの総称として『イシュライザー』と言う名前を新たに登録するわ。

 この装備の名前も『イシュライザー・スーツ』とします」


 オリジナル・ジェネシスの力を制御するスーツとそのチームの名がイイノによって名付けられた。

 今まで漠然としていたイイノの開発品の名前がはっきりとする。


「ライザー、イシュライザー、イシュライザー・スーツか。

 確かに名前があった方がわかりやすい。

 このスーツやこれを扱う者はそう呼ぶんじゃな?」


「オリジナル・ジェネシスたちの数は全員で10人と言いましたね?

 この2つの試作品を元にしてまずは10着を開発しようと思います。

 金色のスーツと銀色のスーツを合わせた機能を搭載し、

 それぞれの遺伝子に合った波長を研究します。

 最終的にはすべての人間が外の世界へ行く為に使えるようにしたいですね」


「そうか、外はまだ1000年前の戦いで大気も大地も汚染されとるからな。

 外のオリジナル・ジェネシスたちが復興させている最中じゃが、

 科学技術を持ったヒューマン・キャッスルの人間が外の世界に出る事が出来れば、

 この星も昔のような姿に戻るのも早まる事じゃろう。

 わしらオリジナル・ジェネシスの真の使命、昔の贖罪でもあるが……

 それが達成できれば本望じゃ」


「……ヴェルさんって、そのような崇高な仕事をして来たのですか……」


 リツが目を輝かせてこちらを見ている。

 自分もオリジナル・ジェネシスの一人じゃから何かを感じているのか。

 また責任を感じすぎなければいいが……

 この子のような未来のある若い者に幸せに暮らしてもらう為にわしは生涯をかけているのだから。


「今日のところはこれで終わりにしましょう。

 ヴェルもスーツを脱いでいいわよ」


「ふぅ、凄い性能じゃがわしにはちょっと難しすぎる。

 目の前に数字が表示されても何が何だか……」


「明日からはイシュライザー・スーツの正式版の開発に入ります。

 次はりっちゃんや遺伝子課のメンバーにもお手伝いしてもらうかも……」


 喜ぶイイノが見れて幸せじゃ。

 明日から研究はますます進んで行く事じゃろう。

 そして……これが全て完成したらまた旅に出よう。

 イシュライザーがいれば、わしがいなくともここの人間は救われる……

 輝かしい未来を信じよう……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ