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科学防衛隊イシュライザー  作者: kuro96
四.ヴェルドーアの過去編
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10.リッチの覚醒


 あなたは……誰?


 目の前は真っ暗な世界。

 遠くの方から何者かが近づく。


 それは黒いマントにドクロの仮面を被った気味の悪い姿をした怪物。

 手には大きな鎌を持っている。その手は骨のように白く細い。


 私は……リッチ……お前のもう一つの姿……


 そう言うとドクロの仮面を取り払う。

 仮面の下は……何も無い!


「……き、きゃぁぁぁ!」



 叫び声を上げて目が覚めた途端、ガバッと飛び起きた。


「おお、りっちゃん、目覚めたか」


「よかった、意識が戻ったのね」


 ……ヴェルさんとイイノさんがベッドの脇に並んで座っている。

 キョロキョロと周囲を見るとここは医務室……

 私はずっと寝ていた!?

 手や脚には包帯が巻かれている。


「……あっ、私……実験中に機械が爆発して……

 何で無事なの?」


 ……痛みはほとんど無い。

 機械の破片で少し手脚に傷ができただけみたい。

 爆発して死んだと思ったのに……


「……イイノさん、ごめんなさい。

 研究室を壊してしまいました……」


「研究室は壊れていないわ。

 壊れていたのは電圧装置だけ。

 限界を超えた装置が破裂したようね。

 ヴェルが駆けつけた時には、火も爆発も発生していなかったのよ」


「……そ、そうなんですか。

 あれほど激しい衝撃があったのに……」


「衝撃は別の原因……

 電圧装置の熱に冷気がぶつかって水蒸気が一気に発生したようね。

 部屋の中が湯気でいっぱいになっていたようだし」


 ……冷気?

 冷気を作る装置など研究室には無い。

 一体どうやって爆発を防げたと言うのか。


「りっちゃん、あなたは不思議な力を感じた事はないのかしら?」


「……不思議な力?」


「オリジナル・ジェネシス、不死生物(リッチ)の力。

 いかなる物も凍り付かせる『冷気』の能力と、

 どんな生物の細胞の動きも『停止』させる能力。

 電波みたいな『霊体』と言う意識体を自分から分離して飛ばす事ができ、

 幽霊みたいに『透明』になれる能力もあると言う」


「……透明ですか?

 確かに……先ほどまで、透明な怪物を自分の内に感じていました……」


「りっちゃんが寝ている間に遺伝子を検査させてもらいました。

 あなたの遺伝子はヴェルの遺伝子とよく似ていた。

 間違いないわ。

 あなたはオリジナル・ジェネシス『不死生物(リッチ)』遺伝子の継承者よ」


「……オリジナル・ジェネシスって……

 継承者って何ですか?」


「オリジナル・ジェネシスは1000年前に集約・強化された遺伝子を移植された、

 10人の人間の事。『異形種』とも言われていますが。

 継承者とはその人間の遺伝子を受け継いでいる人の事なのです」


 私にはそんな記憶はない。

 継承と言ってもそんな儀式みたいな事もしていない……


「りっちゃんよ。

 継承はわしから説明させてもらおう。

 オリジナル・ジェネシスと人間の間に子供が産まれた場合に、

 その子供に遺伝子が継承するのじゃ。

 継承は一度だけ。

 継承すると親の遺伝子は年を重ねると徐々に弱くなって行き、何れ消滅する。

 りっちゃんにはご両親がいたのじゃ。

 そのどちらからか受け継いだと思われる」


「……私に親?

 ヒューマン・キャッスルは人工的に子供が産まれてくるのではないのですか?」


「オリジナル・ジェネシスは自分の死を感じると後継者を残そうとする。

 推測だが君の親は君を産んで数年でリッチの力がなくなって死んでしまった。

 だけどリッチの遺伝子を少しでも持っている者は、

 死んでも姿は変わることないと言うぞ」


「ここ科学技術庁には冷凍室があるの。

 私がたまに見回りに行くけど……

 そこにはいくつかの冷凍カプセルがあって遺体が保存されている。

 研究の為の遺体だと思っていたけど。

 おそらく冷凍室にある遺体はすべて歴代のリッチの継承者だと思っている。

 あの中の一体があなたの親である可能性は高い。

 あなたの親はヒューマン・キャッスルの他の子供と同じように、

 養育機関へあなたを密かに預けた。

 自分が亡くなった時の為に……

 そしてあなたの正体を隠すために……」


「……何で正体を知られるとまずいのでしょうか?

 そんな悪い事はしていないはず」


「リッチは、細胞がボロボロに朽ち果てたり、消滅させる攻撃以外では死なない。

 不死生物とは言っても細胞を維持できる限界があって死にますが、

 通常の人間の寿命よりも何倍も長い期間を生存する事ができる。

 その細胞を次々に移植できれば人間を半永久的に生かしておく事もできるでしょう。

 人間の役に立つ事を第一に考えるキャッスル・ブレインが放っておくはずがありません。

 見つかれば厳しい管理下に置かれ、自由な暮らしはできなくなるかもしれません。

 だから、あなたの親は正体を隠していたのではないでしょうか」


 ……私が『オリジナル・ジェネシス』?

 確かに……爆発に巻き込まれて死ななかった……

 とっさに冷気を放って防いでいた……


「りっちゃん、実はわしも『ドラゴン』のオリジナル・ジェネシスの継承者じゃ。

 ドラゴンの能力は『炎』と『風』。君が『冷気』を得意とするように、

 10人のオリジナル・ジェネシスはそれぞれ得意分野があるんじゃ。

 わしと君は同じ仲間なのじゃ」


「ここヒューマン・キャッスルにもあと4人いるのよ。

 しかも遺伝子課の職員の中に。

 あなたとヴェル、遺伝子課の4人、それで6人……」


「残り3人は外の世界にいるのじゃ。

 それで9人。残りは1人じゃな」


「私の今の研究はこのオリジナル・ジェネシスの力を調べているの。

 細胞の発生を増強できるか、抑えられるか。

 1000年前、何でこの遺伝子が作られたのか。

 人間の為にこの力をどうすればいいのかを。

 だから、りっちゃん……

 あなたはオリジナル・ジェネシスだからと言って不安にならなくていいのよ。

 私があなたの事を守るから。

 困った事があったら何でも言って」


 ……こんな自分でも……仲間がいる……

 わかってくれる人も……いるんだ……


「……突然、いろいろな事を聞いて驚いているけれど……

 ヴェルさんとイイノさんがいれば不安はありません。

 オリジナル・ジェネシスの継承者って言われても、まだよくわかないし……」


「能力を発現できるようになれば、わかって来るじゃろう。

 ちょっとコツがあってな。

 訓練しなければいけないんじゃ」


「今、オリジナル・ジェネシスの力を発現させやすくするスーツを開発してるの。

 全身を包んで正体を隠せるようにして……

 完成したらりっちゃんとヴェルに試験運転を頼もうかしら」


「また、わしが実験台か。

 人使い荒いヤツじゃ」


「とにかく……りっちゃんは怪我がよくなるまで休んでいてね。

 物質転送装置の実験は傷が治ってからで大丈夫。

 しばらくゆっくり寝てて」


「……はい!」



 ◇ ◇ ◇



 りっちゃんを安心させて医務室を後にする。

 彼女は責任感が強すぎて、それが重荷になる場合がある。

 それを軽くしてあげる事ができれば……


「りっちゃん、元気になってよかったわ……」


「うむ、純粋で一途なところがあるからのう。

 子供のように感じるな。

 わしらの子供のように感じる……」


「もう! 私、まだ18歳よ。

 りっちゃんとそう変わらないわ」


「イイノは何というか……子供には感じないのじゃ」


「じゃあ、どう感じるの?」


「そ、それは……何と言うか……」


「……なぁに?」


「そんなに詰めるなよ。

 どう言う関係なのか……答えがわからん……」


「……じゃ、じゃあ……

 その答えを解明する為に……

 私と一緒に住まない?」


「ん!?

 え……

 な、何ぃーー!」


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