25.ゴールド・ドラゴン
うう……仲間が……将軍たちが……やられてしまう……
微かに見えるあたりの様子。
仲間たちが次々に倒れて行くが何もする事ができない。
薄れ行く意識の中、タツオは必死に助けに向かおうと手を伸ばすが、
力が入らず指ひとつ動かすのがやっとだった。
頼む……動いてくれ……
一瞬でもいい……
銀色のアンドロイドを……止めたい……
止めたい……
……
完全に動けなくなり、目の前が闇に包まれる……
死んでしまったのか……
ん?
遠くの方に光が!?
金色の光?
暖かな金色の光が近づき全身が包まれて行く……
「……タツオよ……死ぬな……」
誰だ? この声……
龍帝!?
「これはわしの声を電波に変えて送っておる……
お前にはアルノドーアからドラゴンの遺伝子が継承されている……
わしから正統に受け継いだ遺伝子がな」
僕が? 正統な継承者!?
僕は偶然ドラゴンの力に目覚めたのです。
継承など……
「アルノドーアは2つのオリジナル・ジェネシス遺伝子を継承していた……
ドラゴンと10番目の……
だが、1人の人間が持つには巨大すぎる力だ。
アルノドーアは無意識にその1つ、ドラゴンの遺伝子をお前に継承した」
継承なんて……何もしていない……どうして?
「オリジナル・ジェネシスの遺伝子を継承するには誰かを愛さなければ継承されないのだ」
愛……?
「アルノドーアはお前を愛した……
その時、奇跡が起きたのじゃ。
ドラゴンの遺伝子はお前に継承され、アルノドーアには10番目の遺伝子だけが残された……」
愛した……
アルノ……
「愛する者に想いが伝わって行く……
それが子供、愛する人にも……
それが継承……愛の力……
オリジナル・ジェネシスとは愛の結晶、奇跡とも言える力」
僕なんかを何で選んだんだ……
「タツオよ……自信を持て……
アルノドーアは自分の為ではなく、お前を守る為に継承したのじゃ……
愛する人がいつまでも生きているように、とな」
この力はアルノの愛の力……
「継承元であるアルノドーアのドラゴンの力は日に日に弱まっている。
この世に強大なオリジナル・ジェネシスの力を多く広げない為、遺伝子がそうなっている。
わしも、アルノドーアも、ドラゴンの能力は減少しているのじゃ。
タツオ。
お前こそ、この時におけるドラゴンの正統な継承者。
これまでの力など全能力の一握りに過ぎぬ。
それを強く自覚して目覚めよ!
真のドラゴンの能力を解放しろ!
宇宙の闇をも斬り裂く、10番目の能力に唯一対抗できる力。
黄金の龍の力を!!」
ゴールド……ドラゴン……
◇ ◇ ◇
「どれから詰めようかなー?
こいつにしよー」
レオンダルムの上に乗っかっているピンクの首を掴む。
「折りたたんでやるー」
グッと力を入れようとした!
「待て……」
「ん!? だーれ?」
後ろを振り返るとそこには倒れていたレッドが立っている。
「レッド君? 死んでなかったのー!?」
レッドの体から生命力の光が輝く。
生命力が復活しライフ・ストリームを放っている。
体の傷がすっかり消えて出血が止まっていた。
「いつの間に復活したー!?
そんな力、もうなかったはず?
こいつたちをこれから折りたたむのだ!
もう一度、黙らせてやるー!」
シルバーの腕が光の剣に変わった。
レッドはそれを無視して回りを見渡した。
ブルー、イエロー、ブラック、ピンク、
そして、ゾルタクス、カレンシア、レオンダルム……
皆、倒されている。傷だらけで……
「こ、こんなに……
仲間たちを!! お前……
ゆ……る……さ……ん!!」
レッドの全身から金色の気が吹き出した!!
「さっき、私にやられたの忘れたのー!?」
シュンッ!
エンジンを点火すると一瞬の内に姿が消える。
「ゴールド・ドラゴン・アイ!」
ゴーグルの中の目が金色に輝いた。
マッハで近づいて来るシルバーの姿をスローモーションのように捉える。
「レーザー・カッター!」
弧を描いて水平に斬りつけて来る光の剣の軌跡がはっきりと……
「ゴールド・ドラゴン・アーム!」
バシュッ!!
「なー……!?」
左腕が黄金のドラゴンの腕に!
レーザー・カッターに変わっている腕をがっちりと横から掴んだ!
「このっ! レフトハンド・レーザー・カッター!」
左腕からも光の剣を繰り出した!
「ダブル・ゴールド・ドラゴン・アーム!」
バシッ!
もう片方の腕をもがっちりと掴む!
「うそー! 両方とも止められたー!
何!? その金色の腕ー!?」
いつもの肉体変換能力が10倍以上の速さ、変化量、そしてエネルギーを感じる!
体の奥底で眠っていた力が発現されている!
これが……黄金の龍の力!?
「これが……龍帝とアルノから受け継いだ力か……
こんな力が僕の体に!!」
龍帝を、アルノを、自分を信じる心が細胞を動かす。
細胞の中の眠っていた力を目覚めさせた!
ギリギリと両腕に圧力をかけた。
「ぎぎ……う、動けんー!?」
「うぉぉぉ!
ダブル・ゴールド・ドラゴン・レッグ!!」
両脚が金のドラゴン・レッグに変化!
思いっきりシルバーの胴体に突き出した!
ドガァァァンッ
土手っ腹を直撃!
メタリックなスーツがビリビリに破け、機械の体に亀裂が入る。
「うげぇぇぇぇぇ!!」
瞬間的に両腕を離すとあっという間に溶岩地帯のはるか彼方まで吹き飛んで行く!
ドンッ、メキメキッ!!
突き出た岩の上へまともに落下して背中がめり込んだ!
「ぎゃっ!!」
「逃……が……さ……ん!」
レッドは地を蹴るとはるか空中まで飛び跳ねる。
「ゴールド・ドラゴン・レッグ・シュート!」
遠くに倒れているシルバー向けてドラゴンの脚が伸びる!
ズガカンッ!
ドラゴンのキックで岩へさらに叩きつけた!
「ぐぎゃんっ!」
レッドがやられたのと同じように岩の上でグッタリとダウンする。
「ゴホッ、ゴホッ、何だ……いきなり強くなった……
何故だー!!」
信じられない力だ。
マッハの速さを見極め、100万馬力の腕が動かせないくらいの腕力。
「くっそー! こちらも許さないー!
必殺……の力……」
ゴゴゴ………
「まだ……何かあるのか……」
シルバーの体がゆっくりと浮遊して行く……
「……エネルギー……充填……」
何か不気味な力を感じ取る……
いけない……ドーア火山ごと……撃つつもりか……
これでは仲間もろとも……
自分を犠牲にしてでもあいつを玉砕する。
覚悟は決まった。
脚のパワーを解放し、跳躍、
さらに右腕へ集中……
「ゴールド・ドラゴン……」
相手が向かって来ていてもシルバーは構わず技を放って来た!
「シャイン……」
しかし、一瞬早くドラゴンの腕が到達する!
「クローーー!!」
金色の閃光!
一直線に金のドラゴンの爪で突いた!!
「ラディ……」
ガスンッ!!
「何!?」
シルバーのエネルギーが止まった!?
ズドォォッ!
「グギッ!?」
ゴールド・ドラゴン・クローがシルバーの胸に直撃し、体のあちこちに亀裂が走った!
「ギャアアアッ!」
急激に墜落して行くシルバー……
ドォォンッ!
地面に落ちたようだがはっきりと姿は見えない。
ズンッ
自分も着地したがパワーを使い切っていて膝に力が入らない。
「はぁ、はぁ、はぁ、やった……」
離れた地上ではシルバーも動けなくなっていた。
「うう……ここまで……やられるとは……
……
緊急……帰還……」
ドドド……
シルバーの背中にジェット装置が飛び出して起動した。
「エネルギーが切れかかっている……
……
レッド……
故障が直ったら……必ず……」
ドォォォンッ
シルバーは一気に地上を離れるとあっと言う間に見えなくなる。
ヒューマン・キャッスルのある方向へ飛んで行く……
撃退に成功したのだ!
「はぁ、はぁ、強かった……あっ!?」
レッドは仲間たちの姿を確認し安堵する。
「皆、無事でよかった……
そうだ、アルノ……
アルノはどうしている?」
最後の力を振り絞り、立ち上がった。




