24.イシュライザーvsイシュライザー
戦場にはイシュライザー同士が向かい合って立つ。
ドーア国を守ろうとするライザー・ブルー、イエロー、ブラック、ピンク4人と、
ヒューマン・キャッスルにその4人を連れて帰ろうとするライザー・シルバー。
自然や愛の力を重んじるドーア国と、
科学技術による統治を重んじるヒューマン・キャッスルの代表者同士の戦いだ。
ライザー・シルバーは科学技術の粋を搭載した機械戦士。
対する4人は人間の戦士。
双方とも相手の考えなど理解できるはずもない。
強固な己の信念を持った者同士がぶつかる。
「俺から行くぜ!
ジャイアント・スイングだ!」
戦闘意欲旺盛なライザー・イエローのリクトが先陣切る。
『巨人』の能力……
右腕を巨大な岩の腕に変えた!
横からなぎ払い回避できないよう振るった。
ブーンッ
「!? 消えた……凄いスピードだぞ!」
「空だ!
いつの間にか空にいる!
イーグル・フェザー!」
ライザー・ブラックのヒショウが体から鋭く尖った『鷲』の羽根を、
無数に発生させ空中に静止している相手へ放った。
シュンッ!
「また消えたぞ!? 何処に行った?」
消える様子は瞬間移動のようだ。
四人は一カ所に固まって四方を警戒した。
「見て!
地面に砂煙が上がっている!
あそこを移動している。
次は私が……。
パンサー・レッグ!」
高速移動を得意とするライザー・ピンクのミミが脚を『豹』に変えて瞬時に接近する!
「見つけた! そこね!
キャット・テイル!」
移動しているシルバーの速度に追いつく。
その横に付けると、腕を『猫』の尻尾に変えて捕らえようと伸ばした。
「馬鹿ねー。
生物の移動速度なんてせいぜい時速100キロが限界、
私の脚のジェットは時速1000キロを超えるのー」
シルバーがわずかに加速する!
ピンクは限界までスピードを上げているにもかかわらずついて行けない。
「なんて速度なの。私が追いつけないなんて……」
ますます引き離されて行く。
「アハハ、競争なら負けないよー」
面白がってドーア火山の回りをグルグル回っている。
「ピンク、私にまかせて!
あいつ、怒ったり笑ったり、掴みきれない性格してるわね。
だから少し懲らしめてやる!
……エレキ・ウィップ!」
ライザー・ブルーのマリカは右腕を電気ウナギに変えて、
ドーア火山の地面から出ている岩に引っかける。
シルバーが移動している直線上にピーンと張って罠をかけた。
「アハハハ……あっ!?」
脚元を気にしていなかった為、地上に張られたロープ状の罠に脚を取られそうに……
「その速度で転べば無事じゃすまないわ!」
ドシュンッ
一瞬ジェットエンジンが火を噴いた。
シルバーの体は浮き上がりに飛行機のように空へ浮いた。
「あっ! おしい!
空を飛べるなんて……
その手があるのか!」
「あーっ、もー!
4人相手にするの、面倒くさーい!
一気にやっつける!」
エンジンを切って、クルクル前転、両脚で着地すると再びエンジンを点火する!
「気を付けて! 何かやって来るわ!」
シルバーの能力は全貌が不明。
全開で攻撃されたら、一瞬で勝負がつきかねない。
4人は集合し、防御姿勢に構えた。
「まとまってくれるのは好都合よー!
ジェット・ストリーム!」
その場で高速の回し蹴り!
ブウォォォォー!!
「えっ!?」「何!?」「きゃああ!」
もの凄い風圧!
前傾姿勢になって耐えるが踏ん張りきれず全員後方へ吹き飛ばされた!
ゴガッ! ドカッ!
岩がむき出しになっている山肌へ強烈に叩きつけられる。
山が削り取られるほどの威力!
スーツを着ていなければ生存できていない。
「ごほっごほっ」「うう……」「い、痛い……」
「……皆……大丈夫?」
「脚を軽く振っただけなのに……」
「こ……こんなの何度もやられたら終わりだぜ……」
ガツン、ガツン……
ライザー・シルバーが一歩一歩近づいて来る。
「……とんでもない恐怖だな。
何て威圧感だ。
ドラゴンの将軍やデスリッチさん以来の恐怖。
処刑前の気分だ……」
「縁起でも無い事……言わないでよ。
でも派手に攻撃して来ないところを見ると、
……ヤツはエネルギー温存の為、最小限しか攻撃できないようね。
何とか長期戦でエネルギー切れを狙うしか……」
「あのスピードで動かれると捉えられない」
「……アハハ、俺が……体ごと、のしかかって動けなくさせてやる!」
「イエロー! 危険よ! 敵の方が速い!」
「見てろ……」
イエローは気を失っているふりをする。
他の隊員もそれに倣って目を瞑った。
「あははは。
大人しくなったわねー。
このままリュックに袋詰めにして運んであげるー」
シルバーはエンジンを切ってから、イエローに向かって手を伸ばした。
一瞬の隙をついて、イエローはシルバーの手首を掴んだ!
「!!」
「かかったな!
もう手は離さない!
ギガント・ボディ!!」
あっという間に腕、体、脚が筋肉質な巨人に変わって行く!
「プレスー!!」
スドォンッ!
そのまま上からのし掛かり、重さを利用して押し潰す!
シルバーは巨体の下敷きになって動かない。
「このまま、エネルギーを消耗するまで寝ててもらう……」
ザンッ!
「……ウゲッ!」
イエローの腹側から背中に向かって光りの剣が飛び出した!
シュウウウ……
そこから血が吹き飛ぶ!
一瞬の出来事で何が何だかわからない。
イエローの肉体変換能力が元に戻って行く……
「……うう……」
シルバーはそのまま持ち上げると冷酷にイエローを放り投げる。
「下手な抵抗はしないでねー。
レッド君と同じ運命だって言わなかったっけ?」
「よくも、イエローを! シャーク・バイト!」
「うわぁぁぁ! ウッドペッカー・ピーク!」
「許しません! ライノ・タスク!」
怒るイシュライザーたちによる3方向から同時攻撃が迫る。
ライザー・シルバーは立ったままだ!
ザンッ! ザクッ! スドッ!
「……レーザー・カッター」
3人の攻撃は空中で停止している……
「ううッ!」「ぐわぁぁ!」「きゃあっ!」
ブルーは右肩、ブラックは左肩、ピンクは太ももに一筋の斬り痕が走った。
そこからは大量の血が流れ出る。
ドォォン!
大地が血に染まり3人は動けなくなる。
「もう終わりー。
さぁて今後こそ5人とも連れて行くか……」
すぐそこに倒れているピンクの首を掴んで持ち上げ、
持ってきたリュックに入れようとする……
その時、ピンクの影の中から何かが飛び出した。
「え!?」
「……バンパイア・ネイル!」
ズバッ!
シルバーのボディに3本の傷跡が付いた。
鋭い爪で斬りかかったのはドーア軍の将軍の一人、吸血将軍『レオンダルム』だ!
「き、貴様ー! 私の体に傷を……」
「うう……」
ジュウウウ……
レオンダルムの体から煙りが吹き出る。
太陽の光で肌が焼けているのだ。
レオンダルムはヨロヨロと前掛かりに倒れる。
「何ー? こいつ勝手に倒れたぞ!?」
「レ、レオン……様!」
ピンクは力を振り絞り、レオンダルムの上に覆い被さる。
何とか太陽の光を遮ろうと体を投げ出したのだ。
「レオン様……わ、私の為に……無茶を……」
「あなたを……連れて行かれたくなかった……
でも……死ぬ時は一緒です……」
そう言って二人は気絶する。
「ぬぬー。飛んだ茶番……。
こっちの黄色から、たたむか……」
「うぉぉぉ!!」
ドンッ!!
「あっ!!」
シルバーは上から落ちてきた何かに押し潰される。
巨体の男が落ちてきてボディ・プレス状態に……。
ドーア軍の虫将軍、『ゾルタクス』が、体が動かないながらも落下してきたのだ。
「このーっ! お前も……かー!!」
ブーン!!
乗っかっていたゾルタクスを思いっきり弾き飛ばす!
ガスンッ!
崖に叩きつけられても力の限り、イエローへ向かって手を伸ばした。
「ダ……ハハ……悪い、助けられないみたいだ」
力尽きて倒れてしまった。
「……ゾル……俺は……生きる……」
イエローも手を伸ばしたが力尽きる。
「誰も彼も、面倒くさーい!
残ってるヤツはどこだ? こいつか!」
ビョーンッ!
『薔薇』のツルがシルバーの手に絡みつく。
ブルーに近づけない!
「にょ! お姉様には触らせない!」
花将軍の『カレンシア』が植物の能力で動きを止める。
「お前かー! 邪魔するなー!!」
グイッ
「……にょっ!」
ヒュウッ
ドォン!!
崖の上にいたカレンシアをツルごと引っ張って地面に墜落させた。
頭を打ったカレンシアの頭から血が流れ出る。
「お……姉様……ごめんなさい……
私……お役に立たなかった……」
そのまま完全に動かなくなる。
「……カレン……あなたを……これからも……守る……」
ブルーのゴーグル表示は赤くなって停止した。
「フフフ……あははは……
ターゲット・キャプチャー!
ミッション・コンプリートだッ!
イシュライザー5人に将軍3人かッ!
労力もなくオリジナル・ジェネシスの遺伝子8つを手に入れる事ができるとはー!
ラッキー過ぎるー!
さぁ、これでヒューマン・キャッスルへ凱旋だー!」




