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科学防衛隊イシュライザー  作者: kuro96
三.ドーア城攻略編
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21.銀色の告白


 大森林の入口に着いた。

 やっと戻って来たんだ。

 辺り一面には薔薇の花びらや色々な植物が散らばっている。


 来る時は気がつかなかったが、カレンシア将軍が誰かと戦った後か。


「……レッド君、帰って来たのー?」


 聞き覚えがある声。これは……


「ブレさん! ここにいたのですか!」


 森の奥から輝く銀色のアンドロイドが姿を現す。


「ねー、捕虜の姿が見えないねー?

 任務は果たしたのかしらー?」


「隊員たちは見つけました……」


「じゃあ、連れて来て下さいー」


「4人はここに残ると言っています」


「えー?

 何でー?」


「あなたには理解できないかもしれませんが……

 4人ともずっと一緒にいたい大切な人ができたんです。

 このままここにいた方が幸せだと思うんです。

 だから、このままにしておきましょう」


「……何を言っているか、理解できませーん……

 キャッスル・ブレインの命令こそ真実なのでーす。

 捕虜を取り戻す事は絶対に果たすべき命令でーす。

 何もしないで帰るってなんですかー。

 レッド君、今すぐ4人を捕らえて来るのでーす!」


 人間の感情はやはり理解できないか。

 どうやってわからせる?


「ブレさん、彼らと将軍たちはもう戦う事はありません。

 平和になったのです。

 ヒューマン・キャッスルを襲ってくる事はないでしょう」


「平和? 何を言うのです。

 ヒューマン・キャッスルはオリジナル・ジェネシス遺伝子の力があってこそ平和。

 人間が便利に暮らしてこそ平和じゃないですかー!

 1000年前の人間がそう決めたのです。

 あなたたち人間の願望じゃないですかー。

 我々、機械は人間がよりよく暮らせるように動いている。

 キャッスル・ブレインや私は、その時の命令を忠実に守っているだけです。

 それにあなたもキャッスル・ブレインの人間。

 キャッスル・ブレインの住人たちが可愛そうじゃないのですか?」


「そ、それは……

 皆、自然の中で生活し、思いやりと愛がある暮らしを取り戻せばいい!」


「あなたはそれで良いかもしれませーん。

 でもヒューマン・キャッスルの人間は了承するでしょうか?

 一度、便利な生活を経験した後で昔に戻る事はできるでしょうか?

 それが時の流れなのでーす。

 人間は時の流れには逆らえませーん。

 我々機械のように命令通り、言われたとおり、決められた通り、

 まわりの人間と同じように、暮らして行けばいいのでーす!」


 反論ができない……

 ここに来るまでは自分もキャッスル・ブレインの言う通りでいいと思っていたからだ。

 それこそ正しいと思っていた。

 きっとヒューマン・キャッスルの人間は今もそう信じているだろう。

 僕たちもその人たちの期待を背負ってここに来ている。

 オリジナル・ジェネシスの遺伝子がなければ今後の生活に影響が出る……


 ヒューマン・キャッスルの人間の願いに応えるのか……

 ドーア軍にいる将軍と仲間たちの想いの方が大事なのか……


 今まで通りなのか……変革なのか……

 科学技術の維持なのか……自然に帰るのか……


 わからない……

 正解はどちらなのだ……

 イイノさんもどちらが正解なのか悩んだのだろう。

 どちらも正解……

 信じる心、信念が戦いに……


 信念か……


「何故? 黙っているのー?

 捕虜を取り返してキャッスル・ブレインに帰るの?

 それとも敵に同調し、科学技術を廃するの?」


 !? このアンドロイド……

 脳天気のように振る舞っているが、鋭い。本質を突いている……

 言葉も人間のように感じる時がある。

 本当に機械なのか……


「さぁ、どうしたー!?」


「俺は……

 帰らない!

 隊員たちと同じ気持ちだ!

 龍帝が再生しようとしている『自然』、

 そして仲間たちが取り戻した『愛』を一番大事にする。

 ヒューマン・キャッスルを変える。

 それこそ、僕の選択だ!」


「アハハハ、言ったねー!

 それじゃー私とは敵同士と言う事だねー!

 私はヒューマン・キャッスルの現在を守る為、

 オリジナル・ジェネシスの遺伝子を取り戻す。

 捕虜を頂く! そして敵の本拠地を破壊する!」


 ……ドドド……


 ブレの体が輝いたと思うと銀色のスーツとヘルメット、マフラーが装着されている!


「こ、これはっ!?

 銀色のイシュライザー!」


「もう『ブレちゃん』じゃないよー。

 『ライザー・シルバー』って呼んでね!

 この姿は私が戦う時の姿……」


 戦う……戦えるのか? このアンドロイドは……

 戦闘機能が付いているのか!?


 自分も赤いヘルメットを被り、目の前の相手を警戒する。


「レッド君が……私の邪魔をするなんてー。

 あなたを信頼して、敵の本拠地に送り届けたのにー。

 敵を撃破してあげたのにー。

 悔しいー。

 それじゃ、やるよー」


 ……構えもしない。

 ただ立っているだけだ。


「……ライトニング・インパクト」


 いない! 消えたっ!?


 ズガッ!!


「ぐ、ぐぇっ!」


 衝撃が腹に突き刺さる。

 銀色に輝く腕が空間から現れてパンチを放っている事が理解できた。


「んー、なかなか頑丈ねー。

 死なないなんて、さすがドラゴンさんねー」


 普通の一撃じゃない。

 ゾルタクスのタックルを腹にくらったと同じくらい、

 いや、それ以上の衝撃を受けた。


「う……君は……将軍と同等の力を……」


「ううん、今はあんまりパワーを消費できないのー。

 おうちに帰らないといけないからねー」


「これでパワーを抑えている……

 何てアンドロイドだ……」


「……ライトニング・レッグ」


 シュンッ


「!?」


 ズガッ!


 脚が消えた瞬間、頭に回し蹴りが入る。

 一撃で頭の部分に亀裂が走る。


「ぐ……み、見えない!

 まるで光のような……速さ……

 肉体変換能力(ライズ)を発現する余裕がない……」


「本当に頑丈ねー。

 他のイシュライザーなら頭が飛んでるよー。

 もう少し力を使わないとだめかなー」


 たった2回の攻撃でモニターのHPは半分以上減っている。

 このまま受けていたら敗北だ。


「先に動くんだ!

 ……ドラゴン・ウイング!」


 右腕の側面からドラゴンの翼を一部を発現させる!


「ダブル・ドラゴン・レッグ!」


 さらに両脚もドラゴンの脚に変えた瞬間に動いた。


 ザザッ


 その脚力で瞬時に接近し、真一文字にシルバーの首へ斬りかかる!


「おっ!」


 ペタンッ


 ライザー・シルバーは尻餅をついた。

 頭の上をドラゴンの翼が通過する。


「凄いー! これがドラゴンの遺伝子!

 首をはねようなんて、エグいー!

 でも狙いは当たってるー。

 首がなくなったら活動停止しちゃうからねー」


 ……速い。

 ドラゴン・ウイングを初めて見てかわすなんて。

 でも、受けていたら斬っていた……

 戦闘の才能もあるのか……


解除(リバース)

 ……ダブル・ドラゴン・アーム!」


 両腕をドラゴンに変え、座って体勢が崩れているシルバーに飛びかかる!


「ちょっ!」


 ガシッ!

 シルバーを両腕で抱きしめる体勢になり押し倒す。


「いやーんっ! こんな格好……

 私も女の子よー、優しくしてー」


「……僕からの熱いプレゼントだ!

 ドラゴン……バーニング!」


 グウォォォォ!


 ドラゴンの両腕から青い炎が巻き起こり二人を包む!


「きゃあああ、熱ーいっ!!」


 いくらロボットと言っても熱に長時間当てられたら耐えられない!


「君が……壊れるまで……離さない!」


 ゴゴゴ……


「私も離れたくなーい!

 レッド君の事が好きだからー」


 !? こんな状況で何言ってるんだ?


 ライザー・シルバーも自分から腕をこちらの背中に回して抱きしめて来る!?


 ジュウウウッ!


「背中が……熱い……

 な、何だ!?」


「レッド君、私に優しくしてくれるから好きなのは本当ー。

 でも……私にもやらなくちゃいけない事があるの。

 ごめんねー。変わりに私の熱ーい気持ちをあげるー」


「ぐ、ぐうぉぉぉ!

 背中が、スーツが溶けていくようだ……

 このままでは……

 ドラゴン・トルネード!」


 両腕のライズを解除して背中に翼を発現させると激しく羽ばたかせて竜巻を周囲に起こす!


 ゴォォォォ……


「ちっ……」


 シルバーの腕を風で浮き上がらせると体を回転させて脱出する。


 両者は一旦、後ろに飛んで距離をとる。


 ……逃げなかったら背中を骨まで溶かされていた……

 何だ!? この能力は?


「レッド君……勘が鋭い。

 君以外の隊員や将軍だったら、何回か死んでるはずー。

 さすがドラゴンの遺伝子!

 その能力こそヒューマン・キャッスルに必要。

 だからあなたを離したくないー!」


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