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科学防衛隊イシュライザー  作者: kuro96
三.ドーア城攻略編
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18.龍帝の玉座


 アルノドーアの元へ急ぐデスリッチは、

 城の出口で将軍たちが集まって騒いでいたところに出くわした。


 倒れているゾルタクスと、下敷きになっているカレンシア。

 それを助けるためゾルタクスの体を持ち上げようとしているレオンダルム。


「重いー! 痛いにょー!

 早くどけてー!」


「……3人とも何をやっているのですか?」


 ゾルタクスは全身血だらけでそのうえ両腕を斬られている。

 出血多量で意識不明の状態だ。


「ゾル将軍が重傷を負っていて動けません。

 しっかりして下さい。

 ゾル将軍!」


 レオンダルムが揺すって呼びかけるが答えがない。


「……なぜこんな状態に?!

 敵にやられたのですか?」


「み、見てないで! ゾルをどかしてにょ!」


 レオンダルムと二人でゾルタクスをやっと持ち上げ、別の場所に寝かせる。


 デスリッチは治癒能力『ライフ・ストリーム』を放出して両腕と全身の傷を元に戻した。

 血を多く失ってしまったのでゾルタクスはまだ意識不明のままだが……


「にょー、助かった……」


「……ゾル将軍が回復するまでは一日、二日はかかります。

 レオン将軍はゾル将軍を自室まで運んでもらっていいですか?」


「承知しました。

 でもまだ外の状況を確認していませんが……」


「……ゾル将軍を早く安全な場所で休ませる方が先です。

 運ぶのが大変だと思いますが……何卒宜しくお願い致します」


 お辞儀をしてゾルタクスを担ぎ、城の中へ連れて行く。

 カレンシアだけが残され、そばに座っている。


「……カレン将軍。外で何があったのですか?」


「にょ、敵の赤いヤツを二人がかりで退けたんだけど、

 その後、変なヤツが現れたにょ」


「……変なヤツ? どんな方ですか?」


「見た目は赤いヤツと同じだけど、銀色のスーツを着てたの。

 自分を『ライザー・シルバー』と呼べって言ってた……」


 ライザー・シルバーと言われて仰天する。

 あの怪物がここまで来るには燃料切れを起こすと予想していたのだ。

 どのような方法でここまでやって来られたのか?


「……あのエネルギーを激しく浪費する体でどうやってここまで来たんでしょうか……」


「銀色のヤツはカクカク動いて変化の無い声でしゃべるにょ。

 攻撃も、ジャンプも、私たち将軍の目でも全く見えない……

 圧倒的な速さだったにょ」


 ……やはりあの敵……

 光を放ってくる攻撃はしてこなかったのだろうか。


「……光のエネルギーを放出する攻撃はして来なかったの?」


「うん。銀色のヤツは必要最低限の動きしかしてなかった。

 攻撃も『光の剣』と回転する技しか使ってこなかったにょ。

 手加減してパワーの消費を抑えていた感じがした。

 それでも全然叶わなかったにょ。

 崖下で失神していた赤いヤツを救助して城の中へ放り投げたにょ。

 その後、ゾルの決死の突撃で下に落としたら、あきらめて何処かに消えてしまったにょ」


 ……きっとエネルギーを温存して戦っている。

 今回の遠征の目的は捕虜奪還だ。

 ヒューマン・キャッスルに帰るエネルギー確保の為だろうけど、

 タツオさんと協力して一気に城門を突破する事も可能だったはず……

 狙いは捕虜奪還じゃないのか?


 ……強大な戦力であるライザー・シルバーが、

 タツオさんのサポートに回っていると言う事は……

 イイノさんが龍帝様との交渉を前提として作戦を立てている。

 捕虜奪還は上層部に遠征を許可させる為のただの名目で、

 それほどあの封筒を見せたかったのか……

 あれを見れば龍帝様の記憶を回復させるきっかけを作る事ができる。

 だからタツオさんを龍帝様に会わせてもいいと思ったのだ。

 でもそんな事をすればこちらが有利になるだけだ。

 何故イイノさんはそんな事を……


「……カレン将軍、私は大森林に行ってきます。

 姫様が……具合が悪くて休まれているそうなのです」


「参謀、一人で大丈夫?

 また、あの敵がやって来るのでは?」


「……タツオさんが戻って来るのをどこかで待っているはずです。

 しばらくは動かないと思います。

 その間に私は姿を消して姫様のご様子を見て来ます。

 カレン将軍も次の戦いに備えて少しお休み下さい。

 念のため、ここに罠を張って警戒しておいて下さい」


「わかった。

 城門には薔薇(ローズ)(トラップ)を仕掛けておくにょ。

 参謀も気をつけるにょ」


 宜しくと頭を下げてから肉体変換能力(ライズ)を解き放つ。


「……ゴースト・バニッシュ」


 みるみる体が透明になる。

 すぐさま城門の外へ飛び出した。



 ◇ ◇ ◇



 薄暗い通路の先には重厚な岩の扉があった。

 巨大で普通の人間には開けられない。

 ドラゴンの為の扉なのだろう。

 

肉体変換能力(ライズ)がないと入れないようになっているのか……

 遠慮なく通らせてもらう」


 右腕にドラゴンの力を発現させて扉を押す。

 そこには大広間と同じく巨大な空間になっていた。

 中央には岩で作られた台座……その上にはドラゴン?

 真っ黒いドラゴンが首を曲げて横になっている。


「このドラゴンが王?

 デスリッチさんが『龍帝』と呼んでいた方か?」


 ドラゴンは閉じていた目を静かに開け問いかけてきた。


「……お前は……誰じゃ?」


 体が弱っているのか、意外にも小さな声だ。


「お休みになられているところ申し訳ありません。

 僕は人間の世界『ヒューマン・キャッスル』から来ましたタツオと言う者です」


「……人間の世界……人間がここまで来られるはずがない……」


「僕は特別防衛隊イシュライザーの一人で『ドラゴン』の能力を持っています。

 仲間たちもそれぞれ特殊な能力の持ち主です。

 過酷な旅でしたが何とか能力のおかげでここまで来られました」


「ドラゴンの能力を使える者は我が娘アルノドーアだけじゃ。

 何故お前が使えるのじゃ?」


 このドラゴンがアルノのお父さん!

 アルノとの事を話しておかなければ……


「アルノドーアさんが初めてヒューマン・キャッスルに来られた時に、

 偶然出会ってしばらくの間、僕の家で暮らしておりました。

 その後、離ればなれになりましたが……

 ドラゴンの能力はその時、発現したのです」


「……暮らしていた……

 そうか、お前がアルノドーアが結婚するとか言っていた者じゃな」


「はい、お嬢さんとは良い関係を続けさせて頂いております」


「ここまで来るとはたいしたヤツじゃの。

 確かにお前からはドラゴンの気配がする。

 それで4名の将軍の守りを突破して来たのか」


「いえ、最後はデスリッチさんに道を譲られました……

 あなたにお渡しする物があると説明したのです。

 ヒューマン・キャッスルの上司に預かった封筒をお持ちしました」


「はて? 人間の世界に、私が受け取るような物があるのか……

 私は17年前に人間の世界で戦った時、

 その前後の記憶をなくしている。

 いや、なくしたと言うより思い出すのを躊躇しているのかもしれん」


「デスリッチさんが言うには、これはあなたの記憶と関係がある物だそうです。

 僕はこの封筒の中は見ていませんが見ると辛くなる物かもしれません。

 開けるかどうかはお任せ致します」


 封筒を台座に置く。

 一体、何が入っているのだろうか……


「うーむ……

 この封筒をお前に託したのは誰じゃ?」


「はい、特別防衛隊の副司令官で科学者の『イイノ』と言う女性です。

 絶対渡すように懇願しておりました」


「……イイノ……

 その名前……

 記憶の中に……眠っている……」


 龍帝は目を瞑って記憶の糸をたどっているようだ。

 イイノさんが一体どうしたのだ?


「その女性が渡せと言うのであれば……

 わしはこの中を見よう……

 見なければならないと感じている……」


 過去を知る覚悟をしたようだ。

 何か念じるような仕草をすると封筒が勝手に開かれ、中から一枚の紙が出て来た……


「……これは……!!」


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