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科学防衛隊イシュライザー  作者: kuro96
三.ドーア城攻略編
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17.大広間の出会い


「う……体中……痛い……」


 激痛で目が覚める。

 ドラゴンの遺伝子のおかげで多少の衝撃なら何ともないが……

 これほど痛いと言う事は、ドラゴン並みかそれ以上の力で放り投げられたのだろうか。


「ん? 暗い、さっきまで山の麓にいたはずだが……」


 そこは真っ暗な空間……何処かの洞窟……

 もしかしたら山の中?


「見えない……よし、ドラゴン・ア……、

 いや、能力を使ったら気付かれてしまうか……」


 取りあえず立ち上がって周囲を見回す。


 遠くに小さく光が見える……

 その明かりで周辺の岩の壁が数カ所破壊されている事がわかった。

 地面は平べったく削られている。

 人工的な物だ。

 ここはやはり城の中……


「と言う事は、あの光が『城門』……何かに飛ばされて、

 何カ所も壁を突き破りながらここまで来たのか。

 僕を飛ばしたのは誰だ? あの虫の将軍か?」


 他に思いつかない。

 そんな事より今のうちに先に進んだ方がいいようだ。

 まわりに誰もいないし、気づかれた様子がない。


「光と逆の方向に行ってみよう。

 城の奥に玉座があるはずだ」


 慎重に手を伸ばして暗い空間を確認しながら前に進む。

 するとだだっ広い空間、ドームのような場所に出た。


「……ここは? 溶岩ドームの隙間か、

 しかし、ところどころにランプが灯されている。

 薄暗く見える足元は石畳。

 誰かに作られた空間か?」


 奥の方まで見えない程、広い。

 ここが城の中枢部、『大広間』と言う場所か。

 ヒューマン・キャッスルで勉強したからな。


「きっとここから玉座に行く通路が何処かにあるはず」


 奥に向かって走り出した時だった。


「……待ちなさい」


 グキッ!

 何者かに足首を掴まれた!


「あっ! 誰だ?」


 自分の足元にある影の中から見覚えのある男が姿を現す。


「あなたですか?

 ついにここまでやって来たのですね」


 将軍レオンダルム!

 真っ黒い服と蝙蝠の羽根、暗闇の中でオレンジ色に輝く瞳……

 一度見たら忘れもしないその姿。


 足を振りほどいて、後方へ飛び退ける。


「また会ったか、これで将軍は三人目だな」


「もしや……ゾルタクスとカレンシアの守りを突破して来たのですか?

 何という事だ……」


「……いや、突破したと言うより、目を覚ましたらここにいたと言うか……

 そんな事より、デスリッチさんは何処にいるんだ?」


 レオンダルムから目を離し、辺りを見渡した。


「随分、無警戒ですね。

 私を倒さなければ先に進めませんよ。

 今回はあなたお一人、姫様もいないようですね。

 この前のようには行きません」


 直立不動の体勢から手を左右に広げ、肉体変換能力(ライズ)の発動体勢を取った。


「待て!

 さっきの将軍にも言ったが、戦いに来たのではない!

 王様とデスリッチさんに話をする為に来たんだ」


 手を前にして相手を制止するポーズを取る。

 相手は不思議そうな表情を浮かべた。


「それは困ります。

 私はその王様を護衛する任務を請け負っているのです。

 これ以上、通すわけには行きません!

 バット・ソニッ……」


「……お待ち下さい! レオン将軍!」


 二人の横から声がする。

 レオンダルムはそちらへ注意が逸れて攻撃を中断した。


「あなたは……参謀殿……」


「デスリッチさん!」


 二人の間に、白い死に装束で紫色の長い髪を引きずった女性が立ち塞がった。

 優しげな眼差しと途切れ途切れに聞こえる声でその人だとわかった。


「……タツオさんですね?

 よくここまで来れましたね。

 あなた一人ですか?」


「ええ。一人で来てます。

 僕の隊員たちは全員無事ですか?」


「……お仲間の……4名……とてもお元気ですよ。

 まさか……ここに来たと言う事は……ゾル将軍とカレン将軍を……倒して来たのですか?」


「いえ、僕は『虫』の将軍と戦っている最中に気を失ってしまったのです。

 気がついたらこの大広間のすぐ近くで倒れていました……」


「……タツオさんを助けた別の者がいるのでしょうか……

 ゾル将軍たちが心配です。

 レオン将軍は城門まで行って状況を確認して来てもらえないでしょうか?」


 手の胸に当てて畏まって答える。


「承知致しました。

 確認して参ります……」


 レオンダルムは影に変化すると城門の方へ向かう。


「……久しぶりですね?

 こんなに対面してゆっくり話すのは初めてです。

 通信機でしか話をしていませんでしたね」


「はい、通信機を頂いて有り難うございます。

 おかげでアルノと再会する事ができました」


「……姫様がそちら側に行ってしまったのは不本意ですが、

 彼女が幸せでしたら、それも良かったと思います」


「今は一刻を争う時なのです。

 僕が強引にでもここまで来た理由は二つあります。

 一つはあなた方の王様にある物を渡す為、

 もう一つはアルノが倒れた事をお伝えする為です」


「……姫様が!?

 一体何があったのですか?」


「ここまで来る途中から具合が悪くなったのです。

 高熱が出て意識が度々(たびたび)なくなっています。

 現在も大森林の中で一人寝ております。

 原因不明なのです……デスリッチさんなら何かおわかりになるかと思って、

 ここまで来たのです……

 僕がついていながら何もできませんでした。

 申し訳ありません……」


「……高熱? 私も姫様が生まれてから具合が悪くなったと言う記憶がありません。

 ドラゴンの血を引く姫様が熱で倒れるなど……」


 デスリッチさんもひどく悩んでいるようだ……

 やはりオリジナル・ジェネシスの遺伝子を持つ『将軍』は普通病気にならないのか。


「……龍帝様ならご存じかもしれません。

 長い年月を生きておりますから……そのような知識もあるかと……

 もう一つの目的の『ある物』とはどのような物なのですか?」


「イイノさんから、封筒を渡されました……これです」


 スーツの内ポケットから材質が強化されている封筒を取り出す。


「……中を確認してもよろしいですか?」


「はい、構いません」


 デスリッチさんは両手を実体化して受け取ると中を確認する。


「……こ、これは……

 こんな物があったなんて……」


「何が入っていたんでしょうか?」


 そのまま見ていた物を封筒にしまってから答える。


「……これは直接、龍帝様にお渡しした方が良いですね。

 あのイイノさんが……何故これを持っていて、龍帝様に渡そうとするのか、

 考えがまとまりませんが、しかし……

 これを龍帝様が見れば……記憶が戻り、謎が解けるかもしれません」


「そんな重要な物なんですか……

 それでは一緒に玉座まで行ってくれますか?」


「……私は一刻も早く姫様のところへ行き、少しでも体力を回復させてあげたい……

 お一人では具合が悪化したら何もできないでしょう?

 回復の技が使える私が……先に向かいます!」


 そうだ、アルノがどうしてるのかがとても心配だ。

 一人しておいてはいけない!


「……あなたは龍帝様にお会いするのです。

 その封筒を渡せば真実と病気の原因がわかる可能性があります。

 姫様の大切な方なら全てを聞いておく使命があります。

 ここの一番奥の通路を行くのです……

 私が帰って来た時に全てを教えて下さい」


 封筒を再び渡された……

 護衛していた王様に敵だった僕を会わせるなんて……

 余程信用されているのか……


「……それでは、お互い急ぎましょう」


 デスリッチさんは浮遊して城門へ向かって行った。


「言う通りにするしかない。

 アルノの事はデスリッチさんに託そう。

 僕は王様に会って、話を聞かなければ……」


 大広間を駈けて抜けて玉座の間を目指す……

 今、真実の扉が開かれる……


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