15.城門の攻防2
サソリの毒が効いて来ている!
神経が麻痺して、手足が動かなくなってくる……
バタッ!
う、動けない……
前のめりに崩れ落ちる。
「もう終わりだ!
蠍の猛毒を受けて立っている者などいない!」
あ、あと少しと言うところで……
アルノを救う為に……
……
負けるわけには……行かない!!
強く、強く、アルノの事を想った。
細胞が再生して行くような感覚!
初めて戦った時と同じようだ。
全身から再び生命力が湧き上がって来る!
これは!? 何だ?
誰かへの『想い』が細胞を蘇生させるのか!?
これならば……
「……ライフ・ストリーム!!」
ヒュウウウウ……
レッドの体が光り輝いた。
熱い風が体から吹き出した!
体内の毒が熱風となって外へ抜けて行く……
「うぉぉー!」
「ダッ!? た、立ち上がる……だと?」
体中が光り輝く!
眩しい光を纏いながら、ゾルタクスへ向かって行く!
「……ドラゴン・スケイル……」
自分の体を抱くような格好で縮こまると、一気に解き放つ!!
「アロー!!」
ズガガガッ!
「ぐわっ!」
スキをつかれ防御が間に合わない!
無数のドラゴンの鱗が猛烈な勢いで飛び出し、ゾルタクスの体を貫いた!
ズンッ
尻餅をついて後方に倒れるゾルタクス。
何枚もの鱗が突き刺さっている。
「ま、まさか、俺が後ろに倒れるなんて……」
ダメージを食らってすぐには立てない!
「……チャンスだ! このスキに城門へ突入するんだ!
ダブル・ドラゴン・ウイング!」
背中にドラゴンの翼を発現し、城門へ飛んだ!
「薔薇の蔓」
無数の『蔓薔薇』の枝が伸びて来た!
バシッ! ビシッ!
「な、これは!? また『薔薇』のツルか!?」
城門には小さな女の子が両腕を薔薇に変化させている。
その薔薇はツルのように伸びてレッドに巻き付いていた。
「にょ! ゾル、また命令違反!
勝手に飛び込んで行って……何してるにょ!
入口を守りなさいッ!」
「おお、カレン! いいところに来たな!」
ツルはどんどん増えてさらに締め付けて来る。
成長させる事ができるようだ。
「……今までの薔薇はお前の仕業か?」
「にょにょ! 私は『花』の将軍、カレンシア!
悪いけど、グルグルに巻いちゃうから!」
ギュギュギュ、ギュルギュル!
ツルががんじがらめに巻き付いて動けなくなる!
「これでよし! スパっーと!」
チョンッ
枝を切ると重さで地上に落下する!
「えっ!? ちょ……
わぁぁ!」
ドォーン!
頭から地面へ激突した!
ツルは生きているように、蠢きながら締め付けてくる。
「ツルはそう簡単に取れないにょ!
もう、あなたも『捕虜』になるんだにょ!」
二人目の将軍……
たった一人で二人を相手にしないといけないのか。
しかし……それでもやられるわけにはいかない!
僕が突破しなければ終わりだ!
「……ドラゴン……」
「にょ?」
「スケイル……スパイラル!」
ギギギギギギ……ズバッ!
全身からドラゴンの鱗を放って自分の周囲をグルグル回転させた!
切れ味の鋭い扇風機の羽根のごとく、巻き付いていたツルを次々と切り刻んで行く……
「えー! 何でー!?」
縛っていたツルが跡形も無く消滅する!
「はぁ……はぁ……
行くぞ!」
肉体変換能力を全て解除して、ドーア火山を駆け上がる!
接近戦に持ち込めば勝機!
「ここまで来させないにょ!
砂漠の仙人掌!」
城門から無数のサボテンが落ちて来る!
斜面がサボテンに埋め尽くされて行く!
「うぁっ!」
鋭い棘がスーツを突き破る。
次々に刺さって身動きが取れない。
針は生きているように食い込んでくる。
これでは、前に進めない……
「針は私の意思でいくらでも増やせるし動かせる。
お前を針ネズミにする!」
花将軍と言うだけあって、植物の肉体変換能力の種類は限りない。
敵を捕獲する事に関しては最強……
棘が刺さった脚からは血が吹き出る……
「……火だ……
アルノがやったように……燃やすしかない!
ドラゴン……ヒート!!」
ゴゴゴォォ
両脚からドラゴンの炎を放出しサボテンを焼き尽くす!
そのまま炎を脚に纏いながら走り出す。
山の斜面を重力無視で駆け上がる!
「うぉぉぉ!」
「にょ! またドラゴンの炎か!」
城門に立ち塞がるのは、カレンシア一人だけだ!
「……ドラゴン・ウイング……」
ドラゴンの翼を右腕に生やし、風でカレンシアをどかそうと水平方向へ一閃する!
ブーン!!
「きゃあっ!!」
つむじ風を巻き起こす。
カレンシアの小さな身体は城門から山道に吹き飛ばされた!
「今だ! 突破できるぞ!」
……ガシッ!
「う……何だ!?」
片脚を何者かに捕まれた!?
「ダハッ! もう一人いる事を忘れたな!」
ゾルタクスが血だらけになりながらも、傷をもろともせず脚にタックルしてきた!
「行かせないぜ!!
センチピード・プレス!!」
両腕が『ムカデ』に!?
体があっという間にグルグル巻きにされてしまった!
もの凄い圧力で締め付けられる。
「ぐ……ぐわ……」
あまりの圧力で気を失いかけた……
「ダハッ、俺と道連れだぜ!
うりゃあああ!」
ゾルタクスはそのままレッドを締め付けて崖の上から転がり落ちる!
ガンッ ガンッ
ところどころに飛び出している岩に叩きつけられながら、二人共々一番下まで落下した!
ドォーンッ!!
滅茶苦茶な勢いで地面にぶつかり、二人の肉体変換能力は解除された……
レッドも、ゾルタクスも、ボロボロになりながら大の字になって気絶する。
二人とも血だらけで動けない……
「にょ……うう……将軍二人でやっと止めたにょ……
ドラゴンの能力……やっぱり恐ろしいものにょ」
カレンシアが崖下を覗くと二人とも倒れている。
「ゾルー! 大丈夫ぅ?」
呼びかけるとゾルタクスは微かに動き、意識を取り戻す……
「う、う~ん……カレン? お前も無事か?
やっと止めたか?」
レッドを確認すると、もう動けないように見えた……
「俺とした事が1対1で止められなかったか……
二人がかりとは卑怯な戦いだが……任務の為だ。すまねぇな」
ゾルタクスはレッドを捕らえようと腕を伸ばす……
「待て……」
機械的な声が森の方から聞こえる。
「誰だ?」
ズシン、ズシン……
交互に脚を上下しながら近づいて来る。
キラキラと全身を輝かせて眩しい。
全身メタリックな銀色のスーツ。
ヘルメットも銀色で顔が見えない。
「私は……ライザー・シルバー……」
銀色の戦士!?
イシュライザーの一人か!!
「シルバー……参謀殿が要注意と言っていた戦士か!?
大森林にいなかったが……どこから来た?」
「……遠い所からだ……」
無機質な声がヘルメットから一定の音量で流れてくる。
人間のものとは思えない声。
「なんだこいつ。気を感じない。
生きている感じがしない……」
「ゾル、気を付けて!
そいつ! 人間じゃない!」
ジジジ……ジジジ……
機械音を響かせレッドに近づく。
「……レッド君……助ける……」
シュンッ!
姿が一瞬で消える!
「ダッ! 何!?」
レッドの体も一瞬で消えた!!
「ゾル! 空!」
「何!?」
空を見上げるとレッドを抱えたライザー・シルバーが現れる!
「いつの間にあんな高くジャンプした!?」
「……じゃあ、レッド君頑張ってねー……そーれっ!」
レッドを城門の中へ猛烈なスピードで投げる!
ドーンッ!
あっという間に城の中に消え、何処かにぶつかった音が響く。
「にょ! み、見えない!」
「なんだこいつは!? もの凄い力!」
ライザー・シルバーは空中高くから二人の方へ首を向ける。
「……お前たちは私が相手する……レッド君が任務を果たす為に……」




