14.城門の攻防1
岩だらけの溶岩地帯が続く……
ドーア火山は目の前に大きく見えているが麓に辿り着くまではかなりの距離がある。
大森林を抜けてから、かなり走って来たがまだ到着できていない……
「ブレさんは足が速いんですよね?
僕に合わせてくれているんですか?」
「うん! 本気を出せばとっても速いよー!
でもあんまりエネルギーの無駄遣いしたくないから、ゆっくりでいいよー」
アンドロイドが動くにはかなりのエネルギーがないといけないのか……
何のエネルギーで動いてるんだろう?
電気とかかな?
補給が心配になる。
「これから戦いになるかもしれませんよ。
将軍と呼ばれる強敵が待ち構えていますから……」
「へー、将軍かー。
面白そーね」
「ブレさんは戦わない方がいいです。
肉体変換能力がないと、あっという間にやられてしまいますよ」
見た感じ、腕や足は細く、体も小さいタイプだ。
か弱い女性の姿をしている。
戦闘用のロボットには見えない……
「えー、つまんないー!」
「ダメです。か弱い女性は僕が守ります!」
「私がか弱い女性?
……ポッ、そんな事言ってくれるの? 照れるー」
本当に言ってるのか。
人間的なロボットだな……
溶岩地帯を走り抜けた。
急な斜面に行く手を阻まれるが少し広い場所になっている。
ついにドーア火山の麓に着いた!
見上げた山の中腹には入口らしき穴が開いている。
この火山自体がドーア城か。
自然の要塞のようだ。
入口までは斜面をジグザグに登る山道が続く。
この道を行けば入り込めそうだ!
「あそこが城の入口……『城門』か。
真っ正面からだけど、
誰もいないうちに潜入するんだ!」
斜面に人影はない。
ヘルメットを被って城の入口を目指し坂を駆け上がろうとした瞬間……
ゴゴ……ゴゴゴ!
「ら、落石だ! ブレさん避けて……」
巨大な岩石が二人を狙って落ちてきた!
「わー! 大きーい!」
全く避ける様子がない!
岩石はブレさんの頭上から音を立ててやってくる!
「危ない!」
ドカンッ!
ブレさんをさっと抱かえて間一髪、避ける。
勢い余って斜面を転がり落ちて元の場所に戻されてしまった。
「ブレさん! 気をつけて!
何者かに狙われている……見つかったみたいだ」
地面に倒れている二人は敵のいい的だ。
山の上からはよく見えてしまう。
狙ってきた敵は何処にいるんだ!?
探索系能力『ドラゴン・アイ』を使おうとする。
……が、城門から堂々と出て来る人影が……
「おいおい! 馬鹿正直に真っ正面から来るか? 普通?
丸見えで狙いたい放題だぞ!」
姿を現したのは巨人と呼べるほどの大男。
茶髪で長身の巨体、汚い軍服の間から覗くがっしりした筋肉質の体。
顔には赤鬼の面を付けて顔を隠している。
「ダハハ! お前が『イシュライザー』ってヤツだな!
そこにいるのは姫様と違う!?
姫様と一緒じゃないのか!」
「アルノはわけあってここにはいない!
お前は将軍の一人か!?」
「俺はドーア軍、『虫』将軍、『ゾルタクス』だ!
ここから先に進む事はできないぜ」
相当、肉体変換能力に自信があるのか、
わざわざ姿を見せて名前も名乗るとは……
「僕は『イシュライザー・レッド』だ!
仲間はこの中にいるんだな?」
「ああ。お前の仲間は全員捕まえてるぜ!
お前たち二人で将軍四人と戦うつもりなのか?」
見下ろしながらもの凄い威圧感を放っている。
いつでも向かってくる気、満々だ。
「俺はここの王様とデスリッチさんに用事があるんだ!
あんたとやるつもりはない。
何も言わずに、ここを通してくれないか?」
「残念だな。
俺はここを守るように、そのデスリッチ参謀に言われている。
通りたかったら俺を倒してから進むんだな!
おりゃあ!!」
ゾルタクスは躊躇なく城門前の崖を飛び降りた!
「……ビートル・ホーン!」
右腕が『カブトムシ』の角に! 変化しながら落下してくる!
「くっ! ドラゴン・アーム!」
ガツッ!
カブトムシの角とドラゴンの腕が激突する。
落下した勢いの方が勝り、防御したドラゴン・アームを弾き飛ばした!
「うわっ!」
ドンッ!
転がっていた岩石に叩きつけられた!
「ぐっ! くそ……
戦わなくてはいけないのか……」
「俺は強いヤツしか信じないぜ。
進みたかったら、力を見せてみろ!」
「ブレちゃん、君は離れてろ!
力を解放する!」
「見てるだけでいいのー?
じゃあ、離れてるねー」
そそくさと岩影に隠れた。
「……ダブル・ドラゴン・アーム!」
ドラゴンの両腕を振り上げるとゾルタクスの盛り上がっている両肩を握る!
「ダハッ!」
両手の握力を全開にして握り潰しだ!
「うぉぉぉぉ!」
グググ!
「ハハ、さすがドラゴンの力だ!
だが……力なら俺も負けん!
……ダブル・ビースト・アーム!」
両肩から先が虫の腕に変わった!?
「ダハハハ! うりゃあ!」
肩をドラゴンの腕で締められているにもかかわらず、強引に引き離す!
バリバリバリ!
両肩の皮ごと持ち上げると、そのまま投げ捨てる!
「何!?」
ズダァン!
「ぐわっ!」
力一杯、地面へ叩き付けられた!
何という腕力なんだ……岩石でできている地面は大きく削れ、地中深くまでめり込まされる。
「まだまだだ! 解除!
……ホーネット・スティング!」
続けて『雀蜂』の針で倒れているところへ追撃の一撃を見舞う!
グサッ!
「ぎゃあああ!」
ライズしていない脇腹に蜂の一撃が突き刺さった!
「ハハハ、もう一撃だぜ!」
逆の腕にも雀蜂の針が……!
一瞬の速さで逆の脇腹が狙われる!
「……ドラゴン・アイ!」
ガシッ!
寸前で身を捩り、針をかわす。
そして、自分の脇の下へゾルタクスの両腕を挟み込んだ!
「おっ? 動かん!?」
「く……ら……え!
……ドラゴン・バーニング!!」
グォォォォォ!!
ドラゴンの両腕から青い炎を放出する!
「……ぬ、ぬぅぅぅ!」
ゾルタクスの体を炎が包む!
「……いかなる生物も火に弱い……このまま終わりだ!」
「やるな! だが俺は火にも対抗できる肉体変換能力を身につけている!
アイアン・アント!」
ゾルタクスの体が硬い装甲に覆われる!
これは、鋼の装甲!?
「……ドラゴンの鱗にも負けない装甲だぜ!
うりゃあああ!」
ゾルタクスは力でドラゴンの両腕を引き剥がす!
「ダッ!」
ドカッ!
蹴り飛ばして脱出する!
「むっ!」
「ダハハ、力勝負もなかなかだな。
さすが姫様が見込んだ男……
俺も本気で行くぞ!」
ゴゴゴゴゴ……
気が迸る。
「何かが来る!」
「くらいな!
……スコーピオン・ニードル!」
ゾルタクスの腰から『蠍』の尻尾が!?
体が死角になっていて見えにくい。
真横から尻尾が襲いかかってきた!
グザッ!!
背中に毒針が刺さった!
「う、うわぁぁぁ!」
スーツを貫通して体深く刺さった。
「スコーピオン……蠍の毒だ。
秒単位で生命力を奪って行くぜ!」
うう……
目がかすむ……
意識がぼんやりと……
「うう……く……負けるか!
……傷の回復……『ライフ・ストリーム』だ!」
体の芯から生命力を絞り出す、が……
「!? 生命力が……足りない!?」
さっきまでアルノに全力で力を放出していたので体力を消耗しきっている……
ライフ・ストリームの光を維持できない!
体の毒を消滅させなければ……
「くそ!
このままでは……
……
力が……尽きる……」




