13.ドーア城で捕虜生活
「う……う~ん……」
ここは……どこだ!?
暗い……誰かの部屋?
硬いベッドの上に寝かされている。
何処なんだここは?
「ダハハ、気がついたかい?」
「お前は! ゾルタクス!」
そうだ、俺はこいつと力勝負をして……
気を失ってしまったのか!
「俺をどうするんだ!?」
「ダハハ、ここはドーア城の俺の部屋だ。
何もしねぇよ。
参謀殿に俺の部屋に捕虜を閉じ込めておけと言われてね。
しばらくここにいてもらうぜ」
ドーア城? 捕虜?
俺は捕まってしまっている?
「ダハ、さっきの戦い、お前の最後の執念……
凄かったぜ! 俺もなかなかの傷を受けた。
強いじゃないか、お前!」
強い? 俺が?
先にやられてしまったじゃないか……
「生き残ったじゃないか。
それは強いからだぜ。
生への執念。それに俺は感動したぜ。
お前の名前はなんて言うんだ?」
「俺は……リクト……
ライザー・イエローのリクトだ!」
「リクトか! そう呼ばせてもらうぜ。
俺の事はゾルと呼べばいい」
「おい、俺は捕虜だ。そんな対等な呼び方でいいのか?」
「何か問題あるか?
ライザー何とかなんて長い名前、言いたくないね」
……あまり面倒くさい事は嫌いらしい……でも……
こいつの強さは本物……俺が目指していたものだ……
正々堂々で何者にも臆さない鉄のハート、
鍛え抜いた筋肉、そして肉体変換能力の実力……
これこそ俺が求めていた強さ!
俺は……こいつに惚れた!
「ゾ、ゾル! 俺は……」
「あ? 何だ?」
「お前に惚れた!
俺の師匠になって欲しい!
教えを受けたいんだ」
「は……?」
意外に驚いて固まっている……
こんな一面もあるのか?
「何!? 俺に教えて欲しい?
まさか! 俺は敵だぞ?」
「もう敵とか味方とか関係ない!
俺は強さを追い求めている。
どうか……教えて欲しい……
そばにいてあなたに教えを受けたい……」
土下座をして頭を下げる。
このような事は今までしたいとも思わなかった。
「リクト……俺もお前の事、嫌いじゃねぇぞ。
それに一緒に体を鍛えるヤツがいた方が楽しいかもな!
別に全然いいぜ!」
……か、軽い。
あっさりした性格。
でも、わかってもらえてよかった。
「でも、お前の仲間が助けに来るんじゃないか?
俺は戦えるからどうでもいいけど……
お前は仲間と戦わないといけなくなるぜ?」
「俺はゾルと一緒にいるって言うよ!
俺の事はほっといてもらう!」
「ダハ! そううまく行くかね……」
◇ ◇ ◇
「お姉様……」
「……誰? 私を呼ぶのは」
背中が痛いわ。
硬い所に寝かされているよう……
「あ……ここは?」
石のベッドの上にいる。
上体を起こして回りを確認する。
あたりは煌々とランプの明かりが灯されていて明るい……
どこかの部屋の中だ。
「にょ! やっと起きたー!」
「きゃっ! あなたは……」
枕元に頬杖をついて私を見ているカレンシアがいる!
ずっと起きるまで見てたの?
「お姉様、怪我してたから参謀に治療してもらったの!
お体の具合どうにょ?」
首や肩をグルグル回してみる。
「ああ! 凄い快調! どこも痛くないわ。
有り難う!
ところで何お姉様って!?」
「にょ! 私、お姉様が欲しかったの……
ずっとずっと一人だったから一緒にいてくれる優しい人が……」
「私!?」
「うん! 戦いの中でわかったの。
とっても優しい人! 私の事、本当にわかってくれる人!
出会った時から何か運命のように感じてた……
きっと、この人が私のお姉さんになる人だって!」
ええ~! カレンシアの方からそう言ってくれるなんて!!
感激で涙が出そう!
「私もあなたを見た瞬間に全細胞がビビって来たの!
一目で好きになっちゃった!
体の底から可愛いと思ったの。
この子こそ私が一緒にいるべき子なんだって!
だから……私、あなたのお姉さんになる!」
「ああ……お姉様」
カレンシアが私の胸に飛び込んできた。
「カレン……寂しかった……100年以上も独りぼっち……
誰かを探してた……あなたが現れる事を願ってた……」
ボロボロ……
な、涙!
泣いてる!
100年も独りぼっちなんて可愛いそう……
「よしよし、お姉さんがずっとずっーと一緒だからね。
毎晩抱いて寝てあげる……」
「お姉様!」
石のベッドの上で抱き合う二人……
「……ん? 100年?
あなた何歳?」
「110歳くらいかな?」
「私より遙かにお姉さんじゃない!
いや、お姉さんどころか、おば……
い、いや、でもいいわ! 可愛ければ!」
「お姉様も私の事、『カレン』って呼んでね」
「はいはい、わかったわ。
カレン……」
「にょにょ! いい! とてもいいの~」
凄く感激している!
なんて幸せ!
カレンの頬をナデナデする。
「可愛いほっぺね……チュッ!」
頬にキスをする。
「にょ! 嬉しい!」
このままここでずっと一緒にいてもいい!
……でも、何か忘れているような……
「あ、隊長! アルノも待ってる事、すっかり忘れてた!」
ベッドから飛び起きて叫ぶ。
「アルノって、姫様の事?
やっぱりお外にいるのね? 私の薔薇に火を付けた人いた……」
「カレンとずっと一緒にいたい……
けれど仲間も外で待っている……どうしたら……」
「お姉様は外に行くことはダメ!
参謀にお姉様をこの私の部屋に閉じ込めておいてって言われたの。
お姉様は捕虜、私は見張りって事。これお仕事なの、ごめんなさい~」
そうか、ここはドーア城の中でカレンの居室。
私はそこに捕まっているって事ね。
「姫様と戦いたくないから徐々に敵の戦力を奪って行く作戦だって。
お姉様ともう1人も捕まえて、前の2人と合わせて4人にょ!」
「やっぱり、ヒショウ君とミミちゃんもここにいるのね。
それにリクトまで捕まっているの……」
「そう! お外にいるのは姫様と赤いスーツの2人だけ……
こっちは将軍4人に捕虜4人、もう勝負あったにょ」
これは外に脱出するのは絶望的ね。
仲間に会ってこれからどうするか相談できないか……
「ねぇ、カレン。私の仲間の捕虜に会えないかしら。
元気かどうか確かめておきたいの」
「すごく元気にょ。
参謀が皆、体力を回復させて食事もかかさず与えているにょ。
お姉様がお会いになりたいのであれば……
これから将軍同士の会議だから……そこで聞いてみるにょ」
「お願い……一目でも会わせて」
「じゃあ、行ってくるにょ。
お部屋は鍵をかけるね。待ってて……」
◇ ◇ ◇
ドーア城の大広間。
4人の将軍たちは自分たちの部屋から大広間にやって来た。
「にょにょ……」
「ダッハッハ!」
「ふん……」
「……皆さん、ご機嫌がいいようですね。
表情がとても良いように感じます……」
戦いの最中だが各将軍の顔色はいい。
少し笑顔になっているようにも感じる。
「ダハハ、参謀殿もな!
顔色は白いから表情がいいのかわからんが、
機嫌よさそうだな!」
「……いつも通りですよ」
「参謀やレオンの気持ちがわかったような気がするよ。
イシュライザーってヤツは俺たち将軍と同じオリジナル・ジェネシスの継承者だ。
細胞と細胞が共鳴しあうと言うか、相性の良さを感じるんだよな!」
「カレンもマリカお姉様を見た時からビビっと感じたにょ!
姫様や参謀、レオンが一緒にいたがる気持ちわかった」
各将軍は捕虜を隠すつもりで自室に閉じ込めているが、
一緒に住んでいると同じだ……
それが何故か皆一緒にいられる嬉しさを感じている。
「……イシュライザーか」
デスリッチはイイノが言っていた事を思い出す。
イシュライザーは10名の隊員を目指していると言っていた。
言われた時は全く気にしなかったが……
それにヒューマン・キャッスルでは男女完全平等法と言う謎の決まり(ルール)がある。
もしかしたら相性のいい人同士をペアにする為なのだろうか……
「にょ! 参謀! 相談があるにょ!」
「……どうぞ」
「マリカお姉様がご自分の仲間の捕虜に会いたいって言ってました!
会わせてあげたいにょ」
心情的に会わせてあげたいが……
仲間同士で何か合図があって行動を開始する為かもしれない。
相手はイイノ、油断してはならない。
「……会わせるのは、まだ外の姫様やタツオさんを捕まえてから……
決着がつけばいくらでもお会いさせていいです。
きっとタツオさんは仲間たちを何とか取り戻そうとするはずです。
だから、今から防衛の準備に入ります」
「ダハハ、最後の詰めだな。
戦いはとどめが肝心だ!」
「……ゾル将軍とカレン将軍は城の入口で迎撃態勢を取って下さい。
私とレオン将軍は大広間で玉座への通路を守りましょう」
「わかったぜ」
「了解にょ!」
デスリッチは相手の出方を読んで作戦を再開した。




