表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
科学防衛隊イシュライザー  作者: kuro96
三.ドーア城攻略編
55/247

04.遠征へ


 マリカは今日3回目のシャワーを浴びている。


「ああ……気持ちいい……

 明日から遠征だとシャワーを浴びる時間と場所がない。

 思う存分、浴びておかないと」


 肩、腕、腰、お尻……

 ゴシゴシと水を擦り込む。

 

 最後にシャワーを全身に浴びてから水を止める。

 長い髪が腰にまとわりつき水が滴り落ちた。


 ふぅーと息をつくと今日の事を思い出す。


「隊長とアルノはとっても仲が良いわね。

 相性と言うものがあるのかもしれない。

 あれが『好き』って事なのかな……

 私もあんな気持ちになる時が来るの?」


 ヒューマン・キャッスルにいる沢山の人間を見ても何も感じない。

 今日二人を見に行ったのも『好き』と言う気持ちがどんなものか興味があったからだ。

 

「私もそんな気持ちになってみたい。

 好きになる人はこの世界にいないかもしれないわね。

 いつか私の前にも現れてほしい」


 マリカは二人が羨ましかった。

 自分もそうなってみたいと願った。



 ◇ ◇ ◇



 リクトは自分の部屋にこもり日課になっている筋肉トレーニングを行っている。


「強くなるんだ! 強くなるんだ!」


 腕立て伏せ、腹筋……汗まみれになってもやめない。


「隊長とあのドラゴン以上の強さになるんだ!

 今回の戦いではきっとあっと言わせて見せる」


 タツオとアルノドーア、二人の仲の良さよりも強さが気になっていた。

 ドラゴンの能力者。自分の自慢の腕力が通じないほど強大。

 どうすればドラゴン以上になれるんだ。

 巨人なのに腕力で負けるなんて耐えられない。

 二人の強さとは何なんだ?


「強くなりたい。

 でもどうすれば……」


 リクトは心のどこかで自分に強さを教えてくれる者を求めていた。

 強さを追求する者に会いたい……



 ◇ ◇ ◇



 出発の日、隊員一同はいつもの如く、ミーティング・ルームに集う。

 皆、イシュライザー・スーツを着用し整列する。

 司令官デスクではまだヤマタケが放心状態だ。

 代わってイイノが檀上に上がった。


「ご苦労様、疲れは取れましたか?」


「はい。よく寝られました」


「わしもぐっすりじゃ。

 ここのベッドはとても柔らかいな」


 タツオもアルノドーアも部屋に帰ってからすぐに寝た。


「私も水分補給、充分にできたわ」


「アハハ、準備運動はバッチリだ」


 隊員たちのやる気を見たイイノは早速、作戦を伝える。


「今回は初めてヒューマン・キャッスルから離れての戦いです。

 私からのサポートも通信で伝える事しかできないでしょう。

 それに敵の本拠地の近くでは妨害電波を流されており、

 私からの声も届きません。

 だから、敵の城への潜入は、あなたたちの判断にお任せするしかありません」


 自分たちの判断が勝敗を左右する。

 今回は将軍が何人も待ち構えているところへ潜入しなければならない。

 アルノドーア以外の隊員は緊張して声が出なかった。


「幸い、ホワイトは周辺の地形や城内部の作りに詳しい。

 敵の将軍たちと知り合いだし、話し合いで捕虜を返してもらえる可能性も

 考えられなくないですが……」


「城の案内はわしに任せてくれ。

 ただ、将軍たちは皆、頭が固い者ばかりじゃからな。

 話は聞いてくれると思うが承知するとは思えん。

 特に血の気の多いゾルあたりはすぐに襲い掛かってくる」


「アハハ、面白いヤツがいるんだね。ゾルって言うの?」


「ああ、己の強さだけを信じている筋肉男だ。

 常に強い者との戦いを求めている」


「……強さを求めている……」


 リクトはその言葉に異常な興味を示した。


「ねぇ、将軍って他にどんな人がいるの?」


 また興味深々のマリカが口を挟んできた。


「一人目は今言った、『(ベルゼブ)』の将軍、ゾルタクス。略してゾル。

 不潔で鉄の筋肉を持つ男だ。

 二人目は、皆よく知っているドーア軍の参謀を務める、

 『不死生物(リッチ)』の将軍、デスリッチ。りっちゃんとも呼ぶ」


「あの傷を治してくれた女性ね。

 あんなに優しかったら今回も話を聞いてくれてもいいんじゃないかしら?」


「りっちゃんは優しそうに見えるだけじゃ。一番の頑固者じゃ。

 三人目はこないだ、わしとタツオが戦った男、

 『吸血生物(ソーン)』の将軍、レオンダルム。こちらも略してレオン。

 命令に忠実、暗闇の中で真価を発揮し諜報活動が得意じゃ」


「アルノが来てくれなかったらやられるところだったな。

 ミミが魅了(チャーム)と言う能力で操られていた。

 意思に関係なく操られてしまう恐ろしい能力を使っていた……」


「影の中にいるとわしでも見分けづらい困ったヤツじゃ。

 最後に四人目は『植物(ユグドラース)』の将軍、カレンシア。縮めてカレンじゃ。

 見た目は小さい女の子じゃ。可愛さに油断するな。

 能力は将軍たちもよく見たことないらしいからな」


「え、女の子がいるの?

 一目見てみたい!」


 可愛いものが好きなマリカの目が輝いた。


「何を考えているかわからんヤツだ。

 しゃべり方も変だ。何度も言うが油断してはいけないヤツだぞ」


 アルノドーアはイイノの方を見て話しのバトンを渡す。


「とにかく、将軍たちと正面から激突すると大きな被害が出て戻ってこれなくなります。

 ホワイトの案内で捕虜を連れて退却するのが第一の任務です。

 わかりましたか?」


「はっ」「はい!」「……」


「タツオ君、これを」


 イイノはつくえの上に置かれたリュックを指さす。


「なんですか? これは?」


「中身は極秘です。

 敵の本拠地までなくさないで持って行って下さい。

 結構重いですから、あなたかリクト君が持って行って」


「わかりました。

 イイノさんが言うんならその通りに致します」


 イイノは微笑を浮かべタツオを見ている。


「それと、ホワイト。いや、アルノドーアさん」


「道中、体に気を付けて……しっかり頑張って来てね。

 あなたがいるからこの作戦を考えたのよ」


 アルノドーアを優しい目で見つめる。

 隊員たちは人一倍心配しているように感じた。


「イイノ、心配するな。わしに任せてくれ!

 道案内も潜入も命令通りやってみせる!」


「お願いよ。

 今回は皆に任せる事しかできない。

 あなた方を信頼しているわ。

 宜しくお願いします」


「はい!」


 司令官をほっといて作戦は動き出した!



 ◇ ◇ ◇



 荒野が広がるヒューマン・キャッスルの足元。

 電撃がいつものように走ると4名のイシュライザーたちが姿を現す。


「アハハ、今回はちょっと違うな。

 敵がいないもんな」


「敵の城まではちょっと遠いわよ?

 歩きなんていつの時代よ!」


「わしはいつも大蜥蜴の乗ってやって来てたぞ。

 ここにはいないのか?」


「そんなものいないわよ!

 ここは怪物の国じゃないんだから。

 そういえばアルノ、あなたドラゴンでしょ? 乗せてもらいたいわ」


「イイノがなるべく能力を使うなと言っていたぞ。

 だまって歩くんじゃ!」


「まあ訓練でも走っていたんだし、

 数百キロくらい大丈夫だ」


「えー! お肌に悪ーい」


 未知の世界への一歩を踏み出した。

 四人のイシュライザーにすべては託されたのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ