表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
科学防衛隊イシュライザー  作者: kuro96
三.ドーア城攻略編
54/247

03.初めてのデート2


 タツオは約束の30分前に自分の部屋を出た。

 アルノドーアの部屋はすぐ近くにある為、バッタリと出会ってしまったら、

 待ち合わせの意味がなくなるからだ。


 科学技術庁のエレベーターを使って中央管理塔(タワー)1Fで降り、表に出る。

 ドラゴン・ウイングを出して飛んで行ってもいいのだが、

 住民が怖がるといけないので走って公園に向かう。


 公園は住んでいた団地からすぐ近くにあるので場所はよく知っている。

 ただ、全く公園に用事がなかったので中まで入るのは初めてだ。


 中はそれなりに広く、人工の木とベンチが並んでいる。

 憩いの場所なのだが住民たちはバーチャル環境でも充分なので人はほとんどいない。


「こんなに広いところだったのか。

 あまり人がいないなんて勿体ないな。

 畑にしたらどれくらい収穫できるんだ。

 う~ん、土は……人工の砂か……これでは植物は育たないな」


 地面に座り、土をいじる……。



「タツオ……何をやっとるんじゃ」


「ひぇっ!」


 びっくりして立ち上がった! えっ!? 見た事がない美しい子がいる。


「?! ア、アルノか?」


 美しく長い白い髪で、両耳の後ろにあるドラゴンの(ヒレ)を隠し、

 後ろでリボンを結んで髪をまとめている。

 エメラルドのような緑のドレスを着て、足元も人間の女性用のヒールを履いている。

 髪の毛の色以外、人間の女性と全く見分けがつかない……。


「待ったか、タツオ。

 約束の時間より、かなり前じゃが……」


 タツオはアルノドーアの変貌ぶりに衝撃を受けた。

 あの全身ドラゴンに変化した姿を知っているだけに、これほど可愛くなるのかと言う衝撃だ。

 その眩しい姿に思わず頬を赤らめた。


「タツオは赤い作業服か。いつもと同じ格好だな。

 『デート』と言うのは格好つけないとダメだぞ」


「ご、ごめん。外行きの服はこれしかないんだ。

 まあ、ここではあまり外に出ることがないから服は支給品のみだけど……」


「ふ~ん。まぁ、タツオらしくていいか」


「はは……それで、何処に行こうか。

 ヒューマン・キャッスル内に見物できるところなんて、

 中央管理塔(タワー)と商業エリアの店ぐらいか」


 いつも行き来している場所だ。

 面白くも何ともないのだが……


「わしは一日二人きりでいるだけで充分じゃ……。

 お互い敵同士で、障害が多かったからな。

 こうやってタツオと会えるだけで……幸せなのじゃ」


「……アルノ……」


 二人の間には数々の障害があった。

 正体を知らずに戦った事もあった。

 いくら会いたくても会えない日が続いた。

 その日々を考えると今日この日が何と奇跡的な日なのだろう。

 タツオは改めて喜びを噛みしめる。


「そうだね。

 どんなにこの日を待っていたか」


「会えない日々は長かったが今はそれが貴重に思う。

 苦労したから喜びも大きいのだ」


「アルノ、今日の君は綺麗だ」


 顔を伏せて照れるアルノドーア。


「……褒めても何もやるものはないぞ。

 トカゲの干物ぐらいしか……」


 あの苦い薬のような味を思い出す。


「いや、何もいらないよ。

 それじゃ、公園を歩くとするか」


 手を服でゴシゴシするとアルノドーアに差し出した。


「遠慮しなくていいぞ。

 これからはいつでも干物をやるからな……」


 そう言ってタツオの手を握り、二人は歩き出す。



 ◇ ◇ ◇



 公園がいくら広いと言っても二人の鍛えられた足ではあっという間に回り終えてしまう。


「……すぐに回り終えてしまうね。

 もう一周する?」


「これではただの訓練と同じじゃの。

 デートと言うものがどんなものか内容までは教えてもらっていない」


「とりあえずベンチがいっぱいある。

 座って休まないか?」


「そうするか」


 近くにあったベンチに腰を下ろす。


「そういえば前に来た時、ここでイイノに会ったな」


「えっ? イイノさん、ここに来ているの?」


「その時はイイノとはわからなかったがベンチに座って何か考えていた」


 あまり科学技術庁から外に出るイメージがない。

 指令室のコンピューターを操作しているばかりだと思っていた。


「イイノさんは不思議な人だな。

 頭いいし、優しいし、何でも知っているし……」


「わしはイイノに何か親しみのようなものを感じた。

 イイノの言う事には何だかその通りだと思ってしまう」


「どことなく似てるんだよな、アルノとイイノさん。

 顔とか雰囲気が……」


「わしはあんなに綺麗ではないぞ。言葉使いも悪いし……」


 今こうやって会えているのはイイノさんがイシュライザーに抜擢してくれたからだ。

 イイノさんに会えなかったらこの日はなかった。


「イイノさんがいなかったら僕とアルノが会えなかったし、

 ヒューマン・キャッスルはどうなっていたのか……」


「タツオ……」


「えっ!?」


 アルノドーアがタツオの腕に手をまわし、顔を肩に付けてきた。


「こうしてる方が『恋人』みたいじゃ……」


「……そ、そうだね。

 触れていられるなんて今までできなかったから……」


 タツオもアルノドーアの頭に自分の顔を付け、寄り添い合う。

 しばらく二人はそのままで喜びに浸った。



 ◇ ◇ ◇



「グー……グー……」


「くー……くー……」


 二人はそのままの状態で寝た……

 眠ってしまった!!


 確かに、タツオは連日任務で忙しかったし、

 アルノドーアは昨日の夜、寝ていない。

 一晩中、服を作っていたのだ。

 

 せっかくの休みだが、時間は過ぎ、空は暗くなって行く……


「あ……く、暗い! アルノ!」


「む……う~ん、タツオ……どうしたのじゃ?

 あっ!!」


 暗い! 真っ暗だ! 寝てる間に時間が!


「なんで寝とるんだ!? 歩いて座っただけではないか!!」


「疲れて寝不足だったからね。

 あ~あ、よく寝れたよ」


「あ~あ、じゃない!!

 デートじゃないのか! 寝てただけではないか!

 他に何もしていない!」


「もう夜になっちゃうよ」


「夜でもいいじゃないか。一晩中一緒にいる!」


「夜は外出禁止だよ。それにイイノさんに夜会う事は禁止されているじゃないか」


 寝てしまったことを後悔するアルノドーア。


「う~、なんで寝てしまったのじゃ~!

 こうなったら!」


 ガバッ


 アルノドーアはタツオの胸に飛び込んだ。


「な……」


 そして肩に腕を回し、ぴったりとくっ付く。


「タツオ……恋人同士は『キス』をするらしいぞ」


「なにそれ?」


「唇同士を触れさせる行為じゃ」


「えっ!? この前、アルノが寝てる時にやった?」


「何!? お前はわしが寝とる時に何をやっていたんだ!」


「いや、つい……」


「寝てる時じゃなくて、起きている時にやってくれ」


「そ、そっち!? じゃあ今なら……」


 タツオはアルノドーアを抱きしめるとその唇に近づく。

 アルノドーアも目を閉じて顔を近づけた。



「アハハ、何やってるの?」


 二人の唇が触れる寸前だった。

 よく知っている声が聞こえて動きを止める。


「リクト! 話しかけちゃダメじゃない!」


 マリカとリクトが向かいのベンチの影に!?


「マリカさん! リクト!」


「ごめ~ん、遅いから探しに来ちゃった。

 いいところだったからここから見てたの。

 リクトが声出しちゃってごめんね」


「アハハ、すごい気になっちゃって声が出ちゃった」


「お……ま……え……ら……邪魔するな!」


 ドラゴンの(オーラ)を出して切れるアルノドーア。


「わぁ、許して~」


 マリカとリクトが一目散に逃げて行く。



「いい雰囲気じゃったのに!

 ムードを壊しやがって……」


 その時、タツオがアルノドーアを再び抱きしめ、

 一瞬のうちに唇にキスをして怒りの言葉を封じ込める。


「ん……」


 アルノドーアは目をパチリとする。


「怒らないで。今日はこれで充分だよ」


「……そ、そうだな。ずっと一緒にいれたし……。

 無事に帰って来れたら……また、ここに来るとしよう!」


 二人はまた手をつなぎ、公園を後にする。


 久しぶりの休みはあっという間に過ぎて行った……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ