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科学防衛隊イシュライザー  作者: kuro96
三.ドーア城攻略編
53/247

02.初めてのデート1


 敵の本拠地『ドーア火山』への遠征の日は決まった。


 出発までの準備期間に3日間の猶予が与えられていた。

 これはドーア火山までかなりの長い距離がある為、

 食料など物資の準備や隊員の体調管理に当てる為だ。


 開発された転送装置を使って移動しようと試みたが、

 ドーア火山周辺に妨害電波が流されている為、使用不可能とわかった。

 ドラゴンの能力を持つタツオとアルノドーアは翼の発現によって飛行できるが、

 速さがない為、一日にそれほど距離を移動できない。

  それにタツオは飛行はあまり得意でなく戦闘でも宙に浮かぶぐらいしか使用できていない。

 マリカとリクトは勿論、飛行できないのでタツオとアルノドーアに持ち上げてもらうか、

 歩くしか方法がなかった。

  だが人を持ち上げての移動はかなり体力を消耗するので残された方法は徒歩しかない。

 飛ぶ事が得意なヒショウと走る事が得意なミミの離脱はここに来て大きい。

 徒歩でも少々体力を消耗するがイシュライザーたちはこんな時の為に訓練されている。

 長距離を長い時間歩いても筋肉痛で歩けなくなることはないだろう。

 そういう判断で三日後、体調を整えてから徒歩で遠征となった。

 

 初日と二日目は物資の準備や地図の確認などで時間を費やしたが、

 三日目は隊員たちに休暇が与えられた。



「皆、明日は何して過ごす?」


 久々の休暇だ。

 イシュライザーになってからは訓練や度重なる敵との戦闘で負傷して入院と、

 ほとんど休みという休みはなかった。

 一般労働者だった時は規則正しい日程だったが、ここでは緊急出動が多すぎて休みどころではない。


「何もない一日なんて久しぶりね。

 休日かー。

 隊長、一般の労働者って何をして休日を過ごしているの?」


 イシュライザー歴の長いマリカは労働者時代がほとんどない。

 リクトも15歳ですぐイシュライザーになった為、一般労働をした事がない。

 労働者の経験があるのはタツオだけだ。


「僕は植物の情報をコンピュータで調べたり、掃除や洗濯だったな。

 僕以外の労働者はおそらく『バーチャル環境』で遊んでいるんだと思う」


「バーチャル環境?」


「うん。

 ひとり一台支給されているコンピュータにはバーチャル体験機能が付いていて、

 脳に直接映像を映し出して仮想空間で身体を動かすような感覚を味わう事ができるんだ。

 昔の人間の趣味が体験できる。

 釣りとか、ゴルフとか、山登りとか、旅行とか。

 ただ、そういう娯楽を体験するには口座のお金が必要で給料をこれに使ってる人は多いよ。

 釣りだと、いい竿や道具を買うためにはお金を使うし、

 ゴルフだと、いいクラブを買うにはお金が必要だ。

 もちろん道具も仮想のものだけど……

 ちなみに僕はバーチャル図書館で図鑑を見てるけどね」


「ふーん。科学技術庁が人間を働かせるために考えてるんでしょうね。

 イシュライザーなんて給料はいいけど時間がないから使い道がないわね」


「アハハ、そういえばヤマタケ司令官はバーチャル環境で遊んでいるそうだぜ。

 何して遊んでいるかわからないけど。

 給料がゼロになって遊べなくなって落ち込んでるらしい」


「私たちには働かせるくせにいい身分ね。

 少しはいい薬だわ」


 隊員たちはクスクス笑う。

 そんな時間が過ぎてアルノドーアが司令室から出てくる。



「アルノ? どうしてたんだ?」


「イイノにいろいろ教えてもらっていたんだ。

 男女の関係がどうのこうの……」


「??? 何それ?」


「……お前は知らなくていいのじゃ!

 それはそうと何してたんだ? こんなところで」


 隊員たちが丸くなって相談しているのを見て不思議に思う。


「明日は一日休みだそうだ。それで何するか考えていたんだよ」


「……あの、タツオ。わしはイイノに聞いたのじゃが……」


「何?」


「結婚前の男女と言うのは『デート』と言うものをするそうじゃ」


「デート? 聞いたことがないなぁ」


「待ち合わせをして一緒にどこかに行って遊ぶことだそうだ。

 そういえばわしとタツオはそのような事はしていない」


「前は一緒の家にいたじゃないか。いまさらそんな事……」


 あまり取り合わないタツオを見て……


「お前はわしを喜ばす事を少しくらい考えろ!

 わしがここに来てから何もしてくれないじゃないか。

 せっかくの時間があるなら、わしと一緒にいる事を考えてくれ」


「そうよ!

 隊長はみんなの事は考えるけどアルノの事は後回しにしすぎ。

 少しはアルノとゆっくりどこかに行ってきたら?」


 頭を掻いて恥ずかしがるタツオ。

 確かに戦いの連続で大切なアルノとゆっくり話もしていなかった。


「そうか、ごめん、アルノ。

 明日はどこかに行こうか」


「もっと、『恋人』らしく誘ってくれ」


「恋人って何? イイノさん、いろいろな言葉を教えすぎだよ。

 ……うーん」


 タツオはアルノドーアをじっと見て話す。


「アルノさん……明日、僕とデートしてくれませんか」


 手を差し出してお願いする。

 

「うん。お願いするぞ、タツオ」


 赤くなって頷き、手を握る。



「あ~あ、二人は御用が出来ていいわね。

 私は一日シャワーを浴びて、何か飲んでようかしら。

 それが一番お肌にいいから。

 長い旅だとお肌の調子を整えるのが大変だし、明日くらいは、ね」


 二人を見てお邪魔だと気を利かせて帰るマリカ。


「アハハ、俺も明日は一日食っちゃ寝するぞ。

 俺もそれが一番の体調管理だ」


 後を追って自分の部屋に向かうリクト。



 タツオとアルノドーアは久しぶりに二人っきりになって、

 何をしゃべっていいかわからなくなってしまった。


 握った手をどうしよう……なんて考えているが、ここは通路の真ん中。

 科学技術庁の職員が行き交い、珍しそうにチラ見してくる。


「……僕たちも部屋に帰る?」


 頭を掻きながら照れる。


「うん……ゆっくり帰るのじゃ」


 そのまま手を繋いで宿泊施設のあるエリアにゆっくり歩いて行く。


「明日はどこで待ち合わせしようか」


「イイノはよく『公園』で待ち合わせをした、と言っていたぞ」


「イイノさんが? 誰と?」


「知らん。誰かここの人間じゃないか?」


「待ち合わせってデートだよね。男の人? イイノさんが? まさか」


「イイノは詳しかったぞ。

 恋人はちゃんとしたお付き合いが大事だの。

 順序がどうのこうのだと……」


「そんな事を話していたのか……。

 でも、今のヒューマン・キャッスルでそんなお付き合いとかしてる人はいない。

 イイノさん、よく知ってるな。

 データベースから昔の情報を探してくれたのかな?」


 宿泊施設のそれぞれの部屋の前まで来ると、アルノはそそくさと自分の部屋に戻ろうとする。


「タツオ……

 待ち合わせは公園に朝10時じゃ。

 明日楽しみにしてる……」


 可愛い笑顔を見せると自分の部屋へすぐに入ってしまった。


「あんな顔、見せた事なかったな」


 アルノドーアの事が凄く愛おしく感じた。

 タツオも少し照れて自分の部屋に戻って行った。



 ◇ ◇ ◇



「デートは何か新しい服を着て方がいいか」


 アルノドーアが急いで自分の部屋に入ったのは

 明日の準備をする為である。

 何もこの時間からじゃなくてもいいが、アルドーアにはひらめきがあった。


「わしはいつも同じ服じゃ。

 違う姿と言っても『ドラゴン』に肉体変換(ライズ)したりしてるだけじゃ。

 可愛いわしも見て欲しいものじゃ」


 確か、自分の父は服を作ることが得意だった。


「……よし、見よう見まねでやってやるか」


 自分の髪の毛を数本抜いて、(オーラ)を込める。


「ドラゴン・スレッド!」


 髪の毛はグルグルと回転し細長い糸に変化して巻き上がった。


「これで『糸』は完成じゃ。次に『服』か」


 ベッドの上に乗って、腕を組み、う~んと頭をひねってイメージを考える。

 考えつくのはマント姿やドクロのマスクばかり……


「……だめじゃ、わしには、あまり服のセンスがないのう。

 そういえば……カレンの服のようなものがいいのか」


 カレンシアが『ドレス』を着ていた事を思い出した。

 あれを参考にしよう。


「……ライフ・ニット……」


 精神集中し生命力を糸に込める。

 すると糸が勝手に動き回り、機織り機のように服の形を作って行く……


「凄い! こんなにうまく行くとは!」


 自分でもびっくりだ。

 あっという間にドレスが出来上がる。

 カレンシアの姿を想像すると頭にも何か付けていた。


「それと……頭の飾りか……」


 また糸を作り、飾りを作成する。


「髪の毛をまとめる『リボン』じゃ。

 カレンのように華やかではないが、これでいいか……」


 アルノドーアはそれを試着すると、うんうんと頷いた。


「いい出来じゃ。明日が楽しみじゃ」


 目的を達成し両手を挙げて喜んだ。

 ……今夜はいい夢を見れそうだ。


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