01.プロローグ
誰も起きていない深夜の司令室で一人の女性が操作パネルで何かを検索している。
「……早く……何とかしてあの人に伝えないと……」
一心不乱に過去のデータボックスの中からあるファイルを探し当てる。
そして中身を確認すると操作パネルのプリントアウトボタンをタッチした。
椅子から立ち上がり、ヨロヨロとむしり取るように印刷物をトレーから引き出す。
「これを見れば……わかる……はず」
印刷物を見てから折って特殊な耐衝撃素材で作られた封筒の中にしまった。
そして、机の上に置いてある白いイシュライザースーツの胸のポケットにしまう。
「……アルノを……守らなければ……」
◇ ◇ ◇
誰も起きていない深夜の司令室で一人の女性が操作パネルで何かを検索している。
「……何をしていた?」
操作履歴を漁るがクリアされているのか何もわからない。
「……本当に何もしていなかったのか……」
女性はあきらめて椅子から立ち上がったがヨロヨロと苦しそうに頭を押さえ床にしゃがみ込む。
「……あまり力が残っていない……
何故なんだ……」
ふと机の上を見ると白いイシュライザースーツが置いてある。
「ホワイト……白……
まさか……
あの者が……」
◇ ◇ ◇
中央管理塔最上階では緊急の協議会が開かれていた。
「今日は特別防衛隊イシュライザーの出動を決議する為、緊急に集まって頂きました」
「イイノよ、ヤマタケはどうしたんだ?」
ひとつだけ誰も座っていない席がある。
ヤマタケが欠席のようだ。
「はい。体調不良で欠席との事です」
「体調不良? ヒューマン・キャッスルの人間は簡単に病気にならないんじゃないのか?」
「いえ。精神的なダメージがあるそうです。
代わりに私が答弁致します」
「まぁいい。どうせ給料を減らされたくない為の仮病だろうからな。
それに実際に指揮を執っているのはイイノだしな。
それで、敵襲でもないのに出動するのか?」
ヒビキはいつもの如く、鋭い突っ込みを入れる。
「我が隊員の二名、ブラックとピンクが敵に捕らわれております。
一刻も早く奪回したいのです。
隊の戦力が不足しますし、二人の安否も心配です。
ここに残っている隊員全員を出動させたいのです」
確かに隊員減少は防衛能力のマイナスになる。
早く取り戻したい。しかし、別の問題もあった。
「敵の本拠地まで遠征するのか!?
それはいいが……その間のここの守りは大丈夫か?」
「そ、そうですよ。こんな時に敵が襲ってきたら……」
留守中の心配をする各長官たち。
ヒューマン・キャッスルの主戦力はイシュライザーしかいないのだ。
「しばらく襲ってきませんわ。
敵の将軍二人は重傷を負っており、回復するまで攻めてこないと思います。
逆にこちらの攻撃を恐れているのでは……」
「前回の戦いでイイノの読みはほとんど当たっていたそうじゃないか。
君がそう思うならそれでもいいが……」
「もしもの時はどうするの?」
「すぐに引き返させます。
それに私やあなたたちがいるではないですか」
長官たちはその言葉に沈黙する。
「はーい。みんなー。
ブラック君とピンク君の救出をイシュライザーたちにまかせましょうー。
守ってばかりでは駄目よー」
ブレちゃんがそんな攻撃的な事を言うとは誰も予想していなかった。
キャッスル・ブレインが敵襲のない事を計算しているのだろうか。
そう考えて長官たちは納得する。
「わ、わかりました。出動に賛成です」
「初めてだね。いいじゃん」
「キャッスル・ブレインの判断なら文句はない」
決議が採れた。
ブレちゃんは協議会の決定を宣言する。
「それじゃー、イシュライザーさん、出動して下さーい!」




