04.イシュライザー恋に悩む
「アハハ、ビッグ・フット!」
「ドラゴン・アーム!」
レッドが巨人の脚元を守りながらイエローがビック・フットを繰り出す。
「イエローは攻撃はいいが防御は甘い。二人で連携して攻撃するんだ!」
「はは! 頭いい、隊長!」
「パンサー・レッグ!」
「エレキ・ウィップ!」
ピンクがブルーの前に立ってガードする。
「そうだ! ブルーが戦闘不能になると傷の手当ができなくなる。
ブルーをあまり前面に立たせるな!」
「はい、隊長!」
「ファルコン・ウイング!」
ブラックが空に飛び立つ。
そして、レッドを抱えて上昇する。
「ブラックはなるべくサポートにまわるんだ!
危機に陥った隊員を抱えながら回避したり一緒に急降下攻撃したりするんだ!」
「了解!」
空中高くから急降下して来る。
「ドラゴン・レッグ・シュート!」
ドカッ!
レッドの蹴りで地面が抉れる。
ブラックがレッドを放して二人とも着地した。
「今まで以上に強い敵が来るかもしれない。
僕たちは連携して戦うんだ。二人、三人で協力しよう!」
「おう!」
イシュライザーたちは日々実戦訓練を行っている。
レッドの意向により隊員同士の連携を重視しての訓練である。
それにより格段に息の合うチームになって来た。
「よーし! 今日の訓練は終わり!」
「はーい」「ふぅ」
「今日も夕食は一緒に食べよう!」
「おう」
これもレッドの意向により一緒に食事をする事によって結束を諮っている。
一致団結して食堂に向かう。
◇ ◇ ◇
食堂に着くと一つの机に5人で座る。
一人一人座っている他の職員は驚いて見ている。
リクトはいつも通り三人前頼む。
他の隊員は思い思いの夕食を注文する。
「皆で一緒に食べると美味しいよ。
一人きりで部屋にいると、『うぁぁぁ』とか騒ぐ人いるんじゃない?」
「ギクッ」「ギクッ」
「なんか二人ぐらいギクって言わなかった?」
「なんでもありません。隊長」
「そうよ。何でもないです」
食事が来ると皆一気に食べる。
肉体変換能力はかなりのエネルギーを消費する。
大量のエネルギー補給が必須だ。
「前にも聞いたけど、皆はどんな人が好きなの?
できれば応援したい」
「私はとにかく可愛い子が好き!
ヒューマン・キャッスルでそういう人いないのよね」
マリカが微笑みながら答えた。
「子供が好きと言う事ですか?」
「そう言うわけじゃないけど小さくて可愛いものが好きなのよね」
「リクトはどういうタイプが好きなんだ?」
リクトは食べるのに夢中だ。手を止めないで答える。
「俺? もちろん強い奴! とにかく強い奴が好きだな!」
「なんだそれ? 戦いたいだけじゃないか?」
「戦いたいよ。それに強さに憧れるんだ。
自分が小さいから特に。昔から小さいと言われてたから悔しくて」
「そうか。強さに憧れるんだ」
「隊長、私は……」
ミミがモジモジ答える。
「どうしたの?」
「わからないんです。この間からその事ばかり考えてしまうんです。
なんか、最初は隊長が好きと思っていたけど……」
「おい!」
「なんか……わかってきたけど……」
激しくモジモジし出す。照れてるようだ。
「うん」
「命令されるのが好きなんじゃないかと……」
「えっ」「は?」「……」「アハ」
「ミミちゃん、もしかして責められるのが好きなの?」
マリカは興味深々に聞く。
「わからないんです。自分でも……」
「まぁ、人それぞれだから……」
タツオは話を反らす為、ヒショウの方を見るとうつ向いている。
いつも目を合わせないので不思議ではないのだが、それでも異様な感じだ。
「……ヒショウさん、どうしたんです?」
「うう……」
激しく震えている。
「大丈夫ですか」
「……隊長、隊長に相談があるんです!」
「えっ、何? いつもと違……」
ヒショウは意を決して立ち上がった。
「……気になっている人がいるんです!」
辺りにも聞こえる大声。
「そ、それは好きな人がいるって事?
具体的な個人がいるんですか」
「何々、もしかして、この科学技術庁にいるの!?」
耳年増マリカはさらに興味深々に聞く。
「この間、夜に敵が攻めて来た時、最後に見たあの人……」
「あの人?」
「俺たちの傷を治してくれた……顔が白い……髪の長い着物の人……」
「はっ?!」「あ?」
隊員たちは顔を見回して確認する。
「あの人って、敵の『参謀』じゃないの?」
「アハハ、死神の格好してなかった?
怒ると本当に殺されそう」
「綺麗な人でしたね。
ドラゴンの将軍並みの威圧感でしたが……」
ヒショウは顔を真っ赤にして続ける。
「あの……人を見た瞬間……衝撃を受けた……心臓を握り絞められたように苦しくなったんだ」
「それ、怖いだけじゃ?」
「あの日からあの人の事ばかり考えてしまうんだ。怖いけど……それがいいと言うか……」
拳を握り、力を振り絞っている。
「ヒショウさん、あの人の事はアルノから聞いています。
敵の将軍で参謀、『デスリッチ』と言う人だそうです。
愛称りっちゃん、そう呼んでるのは一人のみ」
タツオは骸骨マスクの通信機で聞いたことを教えた。
「う……デスリッチ……そういえば、そう名乗っていた……」
「だけど……すでに死んでいるとか……幽霊のようです」
「!!……
えっ?!
なんで? 話してるのに?!」
「意識だけ電波のように存在していると言ってました。
どんな仕組みなんだろう」
目を見開くヒショウ。
「幽霊……どうりで、だから見ただけで恐怖を感じたのか……でも……
いい! 死んでても……それが好きだ!」
「えっ? 死んでる人が好きなんですか?」
「俺、怖い物は苦手だけど、あの人と一緒なら全て大丈夫になると思う!
凄い優しそうだった……」
幽霊と聞いても全然引かないようだ。
さぁぁと引く隊員たち。
「隊長とあのドラゴンの将軍を見た時、いいなぁと思った。
種族を越えてもいいじゃないですか!」
その言葉にマリカとミミは感動する。
「いいわ! それ! 応援する」
「私もいいと思います!
凄くいいです」
「アハ、俺はどうでもいいよ。勝手にどうぞ」
人間と幽霊ってどうなるんだろう?
手も握ることができないのではないだろうか。
タツオは複雑な気持ちになった……
しかし、隊員たちの盛り上がりを見て嬉しくなった。
自分とアルノドーアも種族に関係なく恋愛関係だ。
隊員も同じようになれば嬉しい。
隊員の幸せが嬉しいのだ。
タツオは隊員たちにも好きな人ができてほしいと思っていた。
「皆も好きな人と両思いになれるよう協力して行くよ」
隊員たちの夜はさらに盛り上がった。
荒野の彼方にはヒタヒタと近づいてくる影があった。
次なる危機が迫っていた。




