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科学防衛隊イシュライザー  作者: kuro96
二.キャッスル防衛編
28/247

02.ブレちゃんと協議会

「ヤマタケくーん、先日の敵襲の件を報告しくださーい」


 中央管理塔最上階にある会議室では各エリアのトップが集まり協議会を開催していた。


 参加者は以下のメンバー。

 ・工業エリア長官、顎ヒゲおじさん『ヒビキ』

 ・農業エリア長官、気弱な女性『シミズ』

 ・商業エリア長官、キザな男性『ハヤオカ』

 ・居住エリア長官兼任特別防衛隊司令官、サングラスおじさん『ヤマタケ』

 ・科学技術庁長官兼任特別防衛隊副司令官、白衣の女性『イイノ』

 ・ヒューマン・キャッスル管理者、女性型アンドロイド『キャッスル・ブレイン』


 円卓に座る六人。

 一際目立つのは一番奥の席にいるアンドロイド。

 見た目は16、7歳ぐらいの女の子だが格好は体にピッタリ張り付くメタリックなスーツ、銀色の長髪、

 そしてアンテナとして特殊なウサギの耳のヘアバンドをしている。瞬きすることがなく常に同じ姿勢だ。


 困惑し汗を拭く『ヤマタケ』。

「キャッスル・ブレイン、いつも思うのですがなんでその格好なのですか?」

「はーい。協議会のメンバーがおじさんとおばさんばかりで華やかじゃないからでーす。

 名前が長いから『ブレちゃん』と呼んでねー」

「でーす、って本当にコンピューター?」

「早く報告しなさーい。給料減りますよー」

「は、はい」


 キャッスル・ブレインの本体であるサーバーはタワー頂上の球体の中に設置されている。

 協議会に参加する為、アンドロイド型端末をリモート操作し映像・音声データを取得している。

 それを本体で分析してアンドロイドの音声を介して各部門に指示を出すのである。


 各部門の長官は指示に従わない場合や実績が伴わない場合、

 給料(月給)が減らされる。もちろん実績をあげればあがるのだが……

 このアンドロイドの気分次第なのでその言葉に戦々恐々としている。


「特別防衛隊の状況です。

 3日前になりますが夜半に異形種の軍勢約50体が我がヒューマン・キャッスルの

 真下より攻め来んで来ました。

 敵は人間が寝静まる時間を狙って攻めてきました」


「よく人間が眠る時間がわかったな」

 参加者のひとり『ヒビキ』がアゴ髭を触りながら感心する。


「敵の攻撃も変化して来ています。どんな作戦で来るのか予想は難しいです」


 困り顔のヤマタケにヒビキの厳しい声がかかる。


「それを予想するのが君の役目だと思うが。

 その為に防衛隊と言う特別な部署をわざわざ作ったんだ」


「……そうですね」


「ま、まぁ敵も進化していると言うことでしょう。イイノさんもいる事ですし任せましょう」

 優しげで控えめな女性『シミズ』がなだめる。


「はぁ、続きになりますが敵の攻撃に対し隊員が出動。

 登って来た敵は撃退したのですが、

 新手の敵が現れて隊員たちが大怪我を負い、危機に陥りました」


「そんなに強い敵が現れたの?

 想定外じゃなーい、ヤマタケ君?」

 髪の毛を気にしてる『ハヤオカ』が馬鹿にしたようにしゃべる。


「ブレちゃん! ヤマタケ君の給料さげよう!」


「いいのー? やったねー、ちゃりーん、経費削減ポチッと!」


「わぁぁ……待ってぇ」


「じゃあ、ちゃんと仕事しなさーい。

 あなたはすぐ楽するから」


「わ、わかりました……から給料さげないで」


「わかればよろしい……続きしなさーい」


「はい……敵は、

 ……おかしな骨の仮面を被った怪物でした。

 『ドラゴン』の肉体変換能力(ライズ)を使ったとの報告があります」


「何? ドラゴン……もしかして『ドーア』の力?」

 声を荒げるヒビキ。


「その可能性は高いです。しかしこちらにもドラゴンの肉体変換能力を扱える者が現れました」


「肉体変換能力を使えるのはオリジナルの遺伝子を受け継ぐ者だけのはず。

 しかも受け継げるのは何故か一人のみ。

 突然現れるわけない」


「それが突然、能力を発現したのです。

 『タツオ』と言う農園で働いていた人間です」


「ドーアは1000年前に外の世界へ去ったはず。

 他の隊員のようにオリジナルの遺伝子を受け継いだわけでないとすると……どういう事だ?」


 科学技術庁の長官『イイノ』が立ち上がり困り果てているヤマタケに代わって報告する。

「それは今我々、科学技術庁で研究しています。

 タツオ君はドラゴンの怪物と接触したことがあるそうです。

 その時何かあったのかもしれません」


「接触するだけでドラゴンの力が移るのか? そんな事あるまい」


「とにかくタツオ君のおかげでその怪物を退ける事ができました。

 タツオ君の能力は隊員の中でも群を抜いて高いです。

 隊員をまとめる為に隊長にも任命致しました」


「そ、その怪物がまた来ても現状対応できると言う訳ですか。

 しかし敵にはまだ強い怪物がいる可能性が高いのですね?」

 心配性のシミズは一応確認する。


「はい。ドーアだけでなく、『ベルゼブ』、『ユグドラース』、『ソーン』の力を受け継いでいる者がきっといます」


「確か、その他のオリジナル・ジェネシスの1体『リッチ』の遺伝子は

 君の後輩が受け継いでいたのではないのか?

 その後輩は今どこにいるのかね」

 ヒビキが強く質問する。


「17年前、リッチの肉体変換能力を全開にして戦った為、

 体が耐えきれず亡くなってしまいました。

 遺体は研究の為、冷凍庫に保存しております。

 リッチの遺伝子もそのままです」


「そうか、外の世界でリッチの力を受け継いでいる者はいないのか。

 ヤツの力は生物相手ではほぼ無敵。

 あれがいないのは少し安心だ」


「……しかし、対策だけはしておかなくてはなりません」

「対策などあるのかね?」

「はい。考えている事があります」

「ふーむ。これもイイノ君に任せるしかないのか」


「みなさーん。

 敵の心配だけでなく、内部の問題はないのですかー?」


 キャッスル・ブレインが敵を強く警戒する協議会の空気を変えようとする。


「ブレさん、内部の問題もありますが外からの対策が第一です」

 イイノが提案した。


「特別防衛隊の力を強化するしかないですねー。

 5人になったって言ってましたがー、

 ちょっとバランスが悪いねー」


「男性3人、女性2人の事ですか。

 男女完全平等法のルールに合いませんね。

 これも考えている事があります。

 もう一人増員したいのです」


「へぇー。そんな人材がいるのですか?

 もう、ここにはリッチと10番目以外、オリジナル・ジェネシスの遺伝子はないよー」


「内部からの人選も限界です。

 遺伝子がコピーされたタツオ君のケースは特別中の特別です。

 これからは外部の者を起用できないかと考えています」


 キャッスル・ブレインは顔を驚いた表情に変える。


「凄い事を次々に考えるねー。

 しかし、外部の者はこちらの言う事を聞かないのではないのー?」


「外の世界には1000年前、地下シェルターに移り住み宇宙へ行かなかった人間もいたと聞きます。

 オリジナル・ジェネシスと人間が出会い、その遺伝子を受け継ぐ者がいるはずです。

 半分以上人間ならばこちらの話も聞いてくれるかもしれません」


「人間を滅ぼそうとした者たちだよー。

 同じ思想を持っていたら近づくのも危険なのではー」


「その時とは違います。きっとわかってくれる者もいるはずです」


「そう? それならば隊員を増やす事は特別防衛隊に任せるねー」


「ちょ……また特別防衛隊の仕事ですか」


「ヤマタケくーん、居住エリアの長官でもあるのに仕事してないじゃなーい。

 そのくらいの仕事はしなさいー」


「う……わかりました」


「じゃー、内部の問題の会議に移ろー。みんな、報告してくださーい」



 ◇ ◇ ◇



「くそ、キャッスル・ブレインのヤツ!」


「司令官、そう言わずに」


 ヤマタケとイイノがエレベーターの中で言い合っている。


「コンピューターのくせに人間の姿で参加しやがって何様だ!」


「キャッスル・ブレインはコンピューターに感じませんね。

 本当に人間みたいな考え方です。

 開発した方の感情でも移行されているのでしょうか」


「もう一人隊員を増やすなど簡単ではないぞ。

 17年経ってもやっと5人だけでないか。

 しかもレッドは偶然見つかったようなものだし」


「一人は何とかなるかもしれません」


「あてがあるのか?」


「タツオ君が鍵になると思います」


「お前はいつも何を考えてるかわからんな。レッドがどう関係あるんだ?」


「私に任せて下さい。

 その前に再度の襲撃に備えなければ。

 敵も今までのように慎重と言う訳には行かなくなるでしょう」


「さらに強敵が来ると言うのか」


「先日の戦いでこちらの戦力を見せてしまいました。

 敵の戦力も確認できましたが、こちらの戦力に対抗する者が攻めて来るはずです」


「ドラゴン並みの能力の者が来るのか」


「きっと攻めて来るのはあの者……もしかしたら複数の将軍かもしれません」


「大勢で来られたらこちらの戦力では対抗できないぞ」


「敵にオリジナル・ジェネシスの遺伝子を継ぐ者がいるとしたら

 最大4人の将軍と参謀が1人でしょうか。

 全員で来られた場合、こちらも5人で相手しなければなりません」


「オリジナルの遺伝子の能力と戦うには相当な覚悟が必要だろ?

 我々はまだ実戦経験の少ない者ばかりだ。

 先日の戦いでもたった一人の将軍とこちら全員との実力差が大きかった。

 敵の将軍とやらは生きて行くためにライズを日常から使っている熟練者ばかりだろう」


「しかし、いきなり全面対決となると双方とも犠牲が出ます。

 敵の参謀は仲間や人間が傷つく事を非常に嫌がる者。

 ……おそらく敵は特殊な能力を持つ者の奇襲を、第一に考えるはずです」


「何なのだ。お前はどこまで考えてるんだ」

 イイノの頭脳にヤマタケは薄気味悪さを感じた。


「敵の参謀の考えはよくわかるのです。よく知ってる者ですから」


「そうか、またお前に任せてもいいんだな」


「はい。司令官は今まで通りどっしり座っていて下さいませ」


 イイノの目が赤く光る。


 ヤマタケは何も言えず沈黙するしかなかった。



 ◇ ◇ ◇



 誰もいなくなった会議室。


 一人座っているのは銀色の長い髪の女の子、の姿を借りたキャッスル・ブレイン。


「1000年前の人間の行いが今もなお火種となって戦いを起こす。

 私の知らないところで勝手に作り出したオリジナル・ジェネシス、その力を受け継いだ者同士がまた争う。

 人間が平和に暮らして行くために私は作られたと言うのに。

 結局、人間の未来は人間が決めなければならない。

 私は与えられた任務をこなすのみだ」


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