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科学防衛隊イシュライザー  作者: kuro96
一.怪物襲来編
24/247

24.告白

 奇跡は起こる。離れていても想いは届く。

 信じていれば……


 見つめ合って動かない二人。


 戦況を見ていたデスリッチもイシュライザーたちも固まる。



 アルノドーアの髪が風でヒラヒラと舞い、タツオはアルノ本人である事を確認する。


 懐かしいタツオの顔だ。アルノドーアはあの時の寝顔を目の前にある顔と重ねる。



 遠くから見ていたデスリッチはアルノドーアがさらに力を使う事を恐れ近づいて行く。

 隊員たちもタツオを心配し近寄る。


 しかし……



「アルノ……」「タツオ……」

 ドラゴンだった腕がみるみる元に戻る。突き出した腕を下ろし直立する。


「う……うぇ……」「え……えっ……」

 お互いの顔がめちゃくちゃになり涙が溢れた。

 頬を一本の線となった熱い涙が滔々と流れる。


「アルノーーー!」「タツオーーー!」

 思いっきり抱き合い、離すまいと強く抱き締める!


「うぁーー!」「ううう……」


 号泣しながらお互いの存在を感じ合う。

 ついに出会えた喜びが爆発する。



「はっ?」

「えっ!?」

「……」

「何で?」

 何が起こったか理解できない隊員たち。

 ずっと固まったままポカンとするしかできない。



 デスリッチも元に戻ったアルノドーアを見て安心した。そして呟く。

「……何で……抱きついてるの?」



 抱き合っていた二人はハッとして見つめあう。


「どうして何も言わないで行っちゃったんだ?」

「あそこにいる奴に連れ戻されたんじゃ! いきなりで何もできなかったんじゃ!」

「とても心配した。僕の事なんか忘れてしまったと思っていたんだ」

「タツオの事は忘れなんかせん! わしもお前が怒ってると思っていた」

「そんな事ないよ。悲しかったけど……。

 そういえば何でこんなところに来たの? しかもこんなめちゃくちゃ戦ってるし」

「そういうタツオもそんな格好して、いつから戦闘要員になったんじゃ!」

「君がいなくなった後、ドラゴンに変化する力が発現したんだ。

 それでスカウトされたんだよ」

「実はわしは異形種の王、ドラゴンの娘なんじゃ。

 本当の名はアルノドーア。

 やりたくなかったんじゃが軍勢の将軍に任命されたんじゃ」

「アルノがこんなに強いなんて知らなかったよ。体中痛いし」

「あんなもん被っとるからじゃ! ボコボコ殴ってしまったじゃないか!」

「とにかく会えてよかった。もう二度と会えないんじゃないかと思っていた」


 もう一度ぎゅっと抱き締める。


「わしもお前に会いたかった。会いたくてつらかったぞ」

 タツオの胸に顔を強く擦り付ける。


 二人は相手を愛しく想った。



「こんな時、あの言葉を言えばいいんだろうか?」

「わしもこういう時の言葉を教えてもらったぞ」


「アルノが……」「タツオが……」

 もう一度見つめ合う。



「好きだ!」「好きじゃ!」



 隊員たちが驚愕し思わず言葉を発する!


「えっ?」

「はっ?」

「げっ!」

「きゃっ!」


 デスリッチは状況がわかってきた。

「……姫様……それで泣いていたの……」



 お互いの気持ちを確かめ合い赤くなる二人。

 アルノドーアがちょっと目線を反らしてモジモジする。


「あ……あの……もうひとつ言いたいことがあるんじゃ」

「な、何?」

「わ、わしと……」

「うん」

「結婚してくれ!!」



 デスリッチは驚く。

「姫様、そんな事まで……」

 あまりの展開に気が動転する。



「結婚? って何?」

「あ奴が言うには一緒に住む事を言うそうじゃ」

「今までと同じじゃないか。もちろんアルノとずっと一緒にいたい」

「本当か?」

「うん!」

 嬉しさでまた抱き締める。



「……デスリッチ……デスリッチよ……」

 デスリッチのドクロの仮面を通し声が聞こえてくる。仮面には通信機能がついていた。

「あ、龍帝様!」

「デスリッチよ、聞いていたぞ。アルノドーアを連れて戻ってくれないか?」

「今、いいところですが……」

「……城に戻って来なくなるぞ。強引にでも連れて来てくれ……」

「……承知致しました」



「姫様が……正体をバラしてしまったので

 私も……もう正体を隠す必要はないですね……」


 デスリッチがドクロの仮面と黒いマントを脱ぎ捨てると

 紫色の長い髪が地面まで着き、白い着物の女性が姿を現す。


 そのまま二人の方へ近づいて行く。


「お二人とも……邪魔するのは本意ではありませんが……ご命令です」


「あ、りっちゃん!」


 デスリッチは叫んだ!


「デス・スリープ!」


 死神の能力が発現する。無防備だった二人へ死に誘う催眠波が直撃する!

 ふらふらと崩れ落ち、その場に倒れる。


「……アルノ……」

「タツ……オ……」

 眠り落ちて行く二人。


「力を抑えているから眠くなるだけです……しかし……このまま……

 二人を引き離すのは……可哀想……これぐらいは」


 デスリッチは自分の仮面を拾いタツオの手に握らせる。


「これを……持っていて下さい」

「……う……」


 意識朦朧で聞く。

 立ち上がると戦場を見渡し、イシュライザーたちに近付く。



 見下ろしているその目は冷たく顔は青白い。

「お前は誰だ!?」

「私は……参謀のデスリッチ……」

 無機質な声は不気味だ。


 感覚の鋭いブラックはただならぬ気配を感じる。

「こ……こいつは……さっきのドラゴン以上の恐ろしさを

 感じる……」

 警戒するブラックをじっと見つめる。

「う……うう……」


 デスリッチは静かに目を瞑ると

 重傷で身動き取れない4人に向かって両手をかざす。


「な、何するの?」

「とどめを刺す気か!」


「……ライフ・ストリーム!」


 そのまま横に広げた両腕の間から心地良い風が放たれ4人の中を吹き抜ける。

 細胞に命が吹き込まれているようだ。


「えっ!?

 なんだこれ心地いいぞ。

 何だか傷が塞がって?」

「す、凄い!

 腕が再生して行く……」

「……からだ中の……

 刺し傷がなくなって……」

「胸の……

 痛みがなくなって行く!」


「さて……こちらの軍勢も……」

 倒れている蛇人(スネークマン)たちにも同じ能力を放つ。みるみる元気を取り戻し立ち上がる。


 デスリッチはアルノドーアを蛇人の一人に抱えさせ号令をかける。


「さぁ、皆の者……城に戻りますよ」


「ははーッ!」

 デスリッチを先頭に荒野を退却して行く。

「イシュライザーの皆さん、ご迷惑をおかけしました……また来ると思います」




「何なんだ、あいつは!」

「まさか、いい人なの?」

「……はぁ、はぁ……何だか……ドキドキする」

「これで終わったのかしら?」


 荒野にはタツオと4人しかいなくなった。


「取り敢えず、帰還しましょう。お肌が焦げてるし」

 ブルーが先導する。

「タツオ君、起こして。転送できないから」

 そう言うと転送室に通信する。

「……副司令。戦闘が終わったので帰還致します」

「了解!」



 ◇ ◇ ◇



 イイノは、モニタールームで今回の戦いの録画映像を見ていた。

 ドラゴンの能力者同士が戦いを繰り広げている。


「この仮面は……」


 画面に映る龍の骨のマスクを取った女性の顔。

 そしてドクロの仮面を取った女性……。


「はっきりと見えないわ……

 もっと拡大しないと」


 画像を拡大し顔を確認する。


「こ、これは……

 りっちゃん。ではこちらは……」


 驚きの表情を浮かべた。


「無事だったのね」



 ◇ ◇ ◇



 医務室では、5人ともベッドに寝かされて治療を受けている。


 デスリッチに致命傷は治療されていたのでその他の戦傷の治療とライズ能力の回復の為だ。

 一晩中寝てなかったので皆爆睡だ。


 タツオ一人だけはアルノドーアの事が気になって眠れなかった。


 ……せっかく会えたのにまた離ればなれに……


 ドラゴン族って何処に住んでいるんだろうか。

 また将軍として攻めて来るんだろうか。

 その時は再び戦うのか。

 そもそも何で攻めてくる?


 様々な疑問が頭の中を駆け巡り全然眠れない。


「そういえば、あの女性から仮面のようなものをもらったな。あれは何だろう?」


 スーツの中に隠し持っていた仮面を取り出す。

 ドクロ?

 裏側は機械みたいだ。

 マイクとスピーカーみたいなものがある。


「ビー……ビー……」


「わっ!」


 いきなり雑音が聞こえてビックリする。


「あー……あー……聞こえますか?」

 あの女性の声が聞こえる?!


「聞こえます。こちらヒューマン・キャッスル」


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