23.アルノドーアvsイシュライザー4
レッドは、あまりの威圧感を受けて後退する。
地鳴りのような足音を響かせ近づいて来る!
「グウォォォ!」
ドラゴンの鳴き声のような声!
腕を振り上げるとレッドへ向かって横から振り回す!
ドガッ!!
「う、うわぁ!」
ドラゴン・アームで防ごうとしても当たった瞬間踏ん張れず、
はるか後方まで吹っ飛ばされる!
ドラゴンの腕、脚、体、そして翼が同時に発現されるとドラゴンの力も数倍になる。
普通の人間なら一撃でバラバラにされたところだ。
アルノドーアは素早く倒れたレッドに迫り
ジャンプし膝によるニードロップ攻撃を行う!
レッドも必死に防御態勢に取った!
「ドラゴン・アーマー!」
ドコォッ!!
「ぎゃっ!!」
ドラゴン・アーマーをも突き破り、腹に重大なダメージが入った!
バキッ!!
そのまま蹴り飛ばされて数十メートルぶっ飛ぶ!
背中から叩きつけられ勢いのあまり転がりながら岩にぶつかった。
「ウォォッ」
ガンッ!!
さらにそこに岩石を投げられ、体が岩と岩に挟まれる!
「ぐはっ! な、なんて……力……」
「……ドラゴン・トルネード……」
ドラゴンの怪物が翼を羽ばたかせると竜巻が巻き起こり
レッドの上に巻き上げた無数の岩が落とされる!
ガキッ! ガンッ! ガスッ!
巨大な岩の下敷きになった!
隕石の如く次々に落ちてくる岩がぶつかり粉々に散らばる。
何トンもの岩の圧力に意識を失いそうになる。
「ウォーーーーーッ!」
叫び声とともにドラゴンが上から襲い掛かる!
理性のない怪物のようだ!
容赦ない脚による踏み潰し攻撃!
何重もの岩がレッドの上に積み重なっているが、それを突き破り
鋭く重い強靱な脚が何度もレッドの体を踏み潰す!
ガンッ! ガンッ! ガンッ!
踏み潰す! 踏み潰す!
情け容赦ない攻撃、相手がどうなろうと構わない、
無慈悲な攻撃!
体中の骨が折れ、血が噴き出す。
レッドは薄れ行く意識の中、自分がどうなってるのか微かに実感する。
スーツがボロボロになって行く……
……
体が壊れて行くようだ……
……
肉体変換能力が元に戻ってしまう……
……
こんな怪物だったなんて……
……
自分の力ではここまでで精一杯だ……
……
その時、レッドの視界にそこに来るはずもない仲間たちが現れた。
「……レッド!」
いつの間にブルーがイエローに支えられ目の前に。
そしてブラックとピンクもそばまで来ている!
「レッド……負けるな!」
「イ、イエロー」
「信じてる、レッド君、あなたを……」
「ブルー!」
「頑張れ……レッド、立て」
「ブラック!」
「レッド! 立って! 人間を守って! あなただけが私たちの願い!」
「ピ、ピンク!
まさか皆が……俺を……
うぉぉぉ……」
仲間の初めての励ましに……
新たな力が……
再び体中の細胞が蘇生して行く!
全身が光り輝くレッド!
仲間からの想いが細胞を動かしたのだ!
光の中、起ち上がる。
体の奥底から力が湧き上がってくる。
「うぉぉ……
ドラゴン……チェンジ!」
地響きと共にレッドの体もドラゴンの姿に……!
「な……ぬ……!?」
ドラゴンとドラゴンが相対する。
まったく同じ姿、違うのはマスクのみ。
技の探り合いではなく力と力の戦い!
「だぁぁぁっ!」
「おのれッ! また同じ姿に!」
ガッ! ドガッ! ガツン!
レッドが殴ると、アルノドーアが蹴る!
お互いガムシャラに殴り合い、蹴り合うのみ!
ドン! ガシッ! バキッ!
両者が動くたびに地震が起こり、相手に拳が当たった音があたりに響き渡る!
ガンッ! ズド! バシッ!
レッドもアルノドーアも、意地と執念で戦い続ける。
◇ ◇ ◇
イエロー、ブルー、ブラック、ピンク、
さらにデスリッチが見守る戦いは数時間に及んでいた。
「……なんなんだよ、こいつら……
無茶苦茶だよ。
笑う力もないよ」
「両方とも怪物よ……
驚くのも疲れちゃったわ」
「……こんなめちゃくちゃな……無限じゃないか……俺たちは何だったんだ……
何時間『肉体変換能力』して戦っているんだ……」
「両方ともなんだか呼吸あってる……
でもレッド、頑張って! 負けないで!」
遠くで見ているデスリッチはアルノドーアのマスクが壊されない事を祈る。
あのマスクは頭の変化を防止する力を与えてあるのだ。
マスクを壊されると力を全開にした時、元に戻れなくなる。
記憶も肉体変換能力も失いドラゴンそのものになってしまう。
「姫様……その時はこのデスリッチが守ります!」
◇ ◇ ◇
二人は戦いは果てしなく続く。
もう夜は明けようとしている。
朝焼けの中、荒野の中央でまた睨み合った。
「はぁ、はぁ……」「はぁ、はぁ……」
お互い体のあちこちは傷つき、ぼろぼろに崩れた箇所もある。
「はっ!」「やっ!」
ドシッ! ドカッ!
キック同士が強烈に空中で鉢合わせになり破壊音が響く。
まったくの互角のパワー、そして同じ形の攻撃。
千日手のように無限に続くと思われた。
二人の動きが呼吸を合わせるように止まった。
「これで終わりにしよう……」
「そうだな。時間がかかりすぎている……」
双方とも両手を前にあげる。
手は交差され、内側に手のひらを向けて叫ぶ!
「ドラゴン……」「ドラゴン……」
瞬間、手のひらを外側に向けて交差しながら相手側に突き下ろす。
「ヘッド!」「ヘッド!」
重ね合わせた両手がドラゴンの頭に変わる!
「ダブル・ドラゴン……」「ダブル・ドラゴン……」
ドラゴンの口が開いた。
「ブレス!」「ブレス!」
超高温の炎が凄まじい勢いで吐き出される!
巨大な光線が一直線に相手に襲いかかった!
ゴオオオオオオオッ!!
お互いの間でぶつかり合い爆発した!
凄まじい爆風でそこらじゅうの岩が粉々になって四散する。
見ていた隊員たちも、あっという間にふっ飛ばされる。
「きゃあああ!」
「……ぬぬ……!」
「うわぁっ!」
「うう!」
熱風と砂埃があたりを覆った……
だが少しずつ風がおさまって行く。
全員の視線が二人に集中する。
「どうなったッ!?」
二人は『ダブル・ドラゴン・ブレス』を放った時と同じ状態で静止している。
しかし、体は熱を帯び、煙が立ちのぼっている。
「うわっ……!」
「くっ……!」
二人とも地面に膝を落とし、手をつけた。
ドラゴンの姿から徐々に元の姿に戻る。
レッドはヘルメットにひびが入りマフラーも散り散りになり焼け焦げている。
アルノドーアもマスクに亀裂が走った。
気づいたピンクが叫ぶ!
「レッド! マフラーが!
今、ライズを全開にしたら駄目!」
デスリッチも止めようと飛び出す。
「姫様……!」
しかし、それより速く二人は力を振り絞り、立ち上がった!
そしてまったく同じ能力を発現する!
「ドラゴン……」「ドラゴン……」
お互いに接近し、右腕の突きで相手の顔面を狙った!
「クロー!!」「クロー!!」
バキッ!! バリッ!!
ドラゴンの爪がお互いの頭を掠めて肩口で止まった!!
その時!!
……バリンッ
アルノドーアの被っていたマスクが2つに割れて落ちる。
……バリバリ!
レッドもヘルメットが粉々になり飛び散る。マフラーも切れて飛んで行く。
すっかり朝日が昇り、明るくなった荒野。
ドラゴンの腕を交差しながら動かなくなる二人。
あらわになった顔をしっかりと見つめ合う。
それは今まで夢にまで見ていた顔だった。




