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科学防衛隊イシュライザー  作者: kuro96
一.怪物襲来編
21/247

21.アルノドーアvsイシュライザー2

 デスリッチは命令通り動かなかった。


 アルノドーアが戦う事を龍帝から禁止されていたがそれには意味があった。


「姫様は……まだ全然……力を、使っていない……

 全力で戦う相手ではなかった事をわかってらっしゃる……」


 龍帝とデスリッチが心配していたのはアルノドーアが全力で戦う事であった。

 ひとまず様子を見ていたが、そのような敵でなかったので安心していた。


「全力で戦うような事が……あったら止めなければいけない……」



 ◇ ◇ ◇


 ブラックとピンクは同時に動き出した。


「はっ!」

 一人は天高く飛び上がり、一人は地を走る!


「……こっちから行くぞ!

 コンドル・クロー!」

 空中から急降下しての『コンドル』の爪攻撃だ!


「ドラゴン・アーム!!」


 ガキッ!


 左腕のガードが弾き返す!

 そちらに意識させながら地面を這うような一撃を見舞う!


「キャット・ネイル!」

 下から『猫』の爪攻撃!


「ダブル・ドラゴン・アーム!」

 もう片方の手で爪を掴む。


「やっ!」

 放り投げる、がピンクは空中を回転して着地する!


「ベアー・ナックル!」

 着地と同時に横殴りの『熊』の一撃だ。


 しかし2本のドラゴンの腕をクロスさせる鉄壁のガードでびくともしない。


「イーグル・ダイブ!」

『鷲』の爪が獲物を狙う!

 そこに集中して急降下攻撃を連発する。


 ズガッ!

 ドカッ!


 攻撃は確かに当たっているが何もなかったように立っている。

 2人とも少し離れて変化を解除し呼吸を整える。


「はぁ、はぁ、当たっているのに……」

「ふぅ、ふぅ、結構な大技なんだけど……」


 敵が攻撃してこないのが不気味に感じる。


「私が連続で攻撃します。

 ブラックは空中に待機してスキをついて攻撃して!」

「……気をつけろ。ヤツには腕を斬られる攻撃があるぞ」

「わかってる。敵より速く動いてみせる」

「……では、行くぞ!」

 ブラックがまた空中へジャンプするとピンクが新たな能力を発現する。


「エレファント・ノーズ!」

 右腕が『象』の鼻になり、ムチのようにしならせる。


 八の字に振り回し、目で捉えられない程の速さで敵にぶつける!


「これならどうだ!」


「……ドラゴン・ファング!」

 アルノドーアの右腕が鋭い牙に変化する。一本の槍のように空中を突いた!


 グサッ!!


 見えなかった象の鼻を正確に串刺しにした!


「ぐっ! ……なんで見えるの?」

 激痛が走るが無理やり引き抜き能力を解除する。


 血が地面に滴り落ちるがそれでも次の能力を放つ。


「パンサー・レッグ!」

 再び『豹』の両脚に変わると地につく程の姿勢になる。


「今度は最速の脚……これが見えるか!」


 ダッ!


 一瞬で姿が消える! 足音だけが聞こえるが肉眼で捉えるのは不可能だ。

 ピンクの得意技、高速移動……

 姿を見せた時には切り裂かれてしまう。


 シャッ!

 シャッ!


 黒い残像、舞う砂埃。足音がアルノドーアに近づく。


「ドラゴン・アイ!」

 アルノドーアの瞳孔が赤く光る!


 ピンクの動きがスロー映像のようにゆっくり見える。


「鈍いのう。本当の速さというのはこういう事を言うのだ!

 ……

 ドラゴン・テイル!」


 腰のあたりからドラゴンの尻尾が伸び、体を瞬時に回転させた!


 ズガァンッ!


 地面にいる全ての者を凪払う瞬速の鞭!

 例え高速で移動していても意味はない。


 強く逞しい尻尾がピンクの右脇腹へ、まともにめりこみ肋骨を2、3本へし折った!


「うぐっ!」

 メキメキと音を立てて骨が粉々になるのがわかる。


 さらにドラゴンの尻尾をもう一撃加えようと反対回りに体を回転しようとする。


「ピンクッ!」

 上空より降下したブラックがピンクの体を持ち上げ上空に逃げる。


「はぁ、はぁ、……ブラック、有り難う……」

 獲物が逃げてしまったアルノドーアは反転をやめ変化をすべて解く。



 ピンクを離れた地面に置くと再び急上昇し天空高くから必殺の攻撃に出る!


「ピンクのカタキだ! ……イーグル・フェザー!」

 空中で大きく両腕を広げると無数の『鷲』の羽根が大地に降り注ぐ!

 一本一本が鋼鉄の針のように固く鋭利な刃だ。

 それを一ヶ所に集中して打ち込んだ威力を上げた一撃! しかし……


「ダブル・ドラゴン・ウイング!」

 背中にドラゴンの双翼が生えると一瞬のうちに空中高く飛んだ!


 ドカカカカッ……!

 無人となった地面に羽根が突き刺さる。


「! い、いないッ? あッ!」


 自分の真上に怪物が大きな翼をはためかせている。

「空はお前だけのものじゃないぞ!」


 アルノドーアは自分を抱き締めるような格好になり声を発する。


「ドラゴン……スケイル……」

 両手を一気に広げた!

「アロー!」


 無数のドラゴンの鱗が鋭利な刃物となって逆に襲いかかる!

 ブラックは避ける事ができず直撃を受ける。


 ズガガガガガガガガガッ!


 スーツを突き破りいくつもの鱗が突き刺さった。

「あががッ!」


 よろよろと落ちそうになるのを懸命に堪えて何とか、もう一度攻撃に転じる!


「ま、負ける……かぁ!

 ウッドペッカー・ピーク!」

 右腕が『キツツキ』の嘴となりフェンシングのような突きを見舞う!


 しかしアルノドーアはそれより素早く変化能力を放った。


「ドラゴン……レッグ……シュート!」

 右脚がドラゴンの脚になり、さらに長く伸びる!


 上空から打ち下ろすキックがブラックの頭部へ強烈にヒットし

 ヘルメットの部分が陥没した。


『ウッドペッカー・ピーク』はアルノドーアの手前で止まっている。


 ブラックは脳震盪を起こし、そのまま落下して行く。


「ブ、ブラック!」

 地上で右胸を押さえているピンクが救出に向かう。


「モモンガ・ウイング!」


 両腕の間に皮の膜を張り、落下してくるブラックを受け止める。

 衝撃で前に倒れるが何とか二人とも無事だ。


「……うう!」

 ピンクは胸の激痛に襲われるが、追ってくる敵に身構える。



 アルノドーアは着地して変化を解除し、何事もなかったかのように直立した。


「戦えるのはお前だけのようじゃのう。まだやるのか?」

 不気味な低い声が響く。


「倒れるわけにはいかない!

 私が倒れたら人間の世界は終わりなんだから」


「そんなことはないのじゃが……邪魔するのなら叩き潰すだけじゃ!」


「うぁぁッ!」

 ピンクが最後の力を振り絞り、走り出す!


「ライノ・タスク!」


 右腕を『サイ』の角に変化させ、突撃する!


「ドラゴン・アーム!」

 アルノドーアは正面からそれに受けて立つ。



 ◇ ◇ ◇


 ヒューマン・キャッスル最下層にある転送装置の前ではタツオがイシュライザーの装備一式を

 まとい転送を行っていた。


「ふん! ……それッ!」


 装置の操作をしているイイノの目が怖い。


「タツオ君、肉体変換能力(ライズ)を発現しないと転送できないのよ。

 落ち着いて、焦らないでライズしてみて。」


 転送が初めてのタツオは緊張でなかなかライズできない。

 いや戦闘も初めてなら外に出るのも初めてなのだから。


「落ち着け……ライズするには……そうだ!」


 いつも能力が発現する時にはアルノの事を考えている。

 何かそれがきっかけなのかも。


 アルノ……


 顔を思い浮かべ会いたい気持ちを一点に集中するように意識を高めた。


 同時に左腕が光り輝きライズが発現した。


「あ……ドラゴンの腕に!」


「タツオ君、行くわよ!地上がどうなっているかわからないけど

 戦いがどのようなものか肌で感じるのよ!」


「わかりました!」


 敬礼のポーズを取ると転送が始まる。


 巨大な転送装置はアンテナのような突起がついている。

 そこから電撃がタツオの腕めがけて放たれる。


 腕の先から電気に代わり見えなくなる。

 そしてヒューマン・キャッスルの底に付いた針から地上に向けて発射された!


 一瞬のうちに地上に現れ、電気から人間に変わって行く。


 初めての地上……


 風が吹き、土の大地、高い山々。

 まだ、夜半で暗闇の中だが地上の大きさを感じる。



「地上……やった……やっと来た!」


 全身で喜びを表し、感動に浸る。しかし、回りを確認するとそれどころではない状況だ。


 蛇頭の兵士がそこかしこに倒れ、岩がくだけ散っている。


「あっ! あそこにいるのは……リク、いやイエロー!」


 外ではコードネームを使うように厳しく言われているのでそちらで呼び掛ける。


「お、おい!」

 イエローを抱き上げる。

 腹に重傷を負っている!

 ネバネバした液体のようなもので固められているが、両腕も裂傷で血だらけだ。


「おい! イエロー! しっかりしろ!」


「うう……あ…あんちゃんか……」

 意識を取り戻したようだ。


「かなりの重傷だ。何かあったのか?」


「うう……」


「!」


 突然イエローが涙を流し嗚咽する。

「う……俺は弱かった……弱すぎた……

 ただ力を与えられ……いい気になっていただけなんだ……」


「何を言ってるんだ……あれだけ強いじゃないか」


「本物の怪物の前では、ゴミみたいなものだ……あれは、正真正銘の化け物だ……」


 あの自信過剰で毒舌のイエローが……

 何があった!?

 身動きできないイエローを静かに寝かせ他の隊員も探す。



「ブ、ブルー!」


 少し離れた場所にブルーも倒れている。

 スーツが焦げて煙が出ている。ブルーを抱き上げるとじゅっと熱い。


「熱い! な、何だこれ!?」


「うう……レッド君? ……来てたの?」


 こちらも意識はありそうだ。

 よく見ると左腕がない。粘液で止血しているみたいだが。


「イエローもあそこに倒れていましたが、何があったんですか?」


「あんな……怪物に戦いを挑もうなんて……思ってはいけなかった……」


「怪物!? また怪物ですか?」

 二人とも怪物と戦ったようだ。


「二人とも隊員の中では1、2を争う強さのはず。こんな事が……」

 戦慄するタツオ。


「レッド君……あの怪物にみつかったら……あなただと殺されてしまう。

 遠くまで逃げた方がいいわ」


「僕に皆を見捨てろと……」


 確かに今なら『ヒューマン・キャッスル』も見捨てて、逃げられるかもしれない。

 アルノも探しに行ける……


 でも……


「僕は逃げません。人間ですから」


「レ、レッド君……」


 自分だけ良ければいいのではない。

 それは今の人間の世界と同じだ。

 皆の幸せがあって自分も幸せなのだから。


 タツオはアルノと出会って相手を想う、という心が大きく育った。


 タツオはこの心こそ人間の世界で一番大切にして行かなければならない、

 それを広げて行こうと隊員になった時、強く決心した。


 ここで逃げては何のための決心か。


 タツオは今、『イシュライザー』として戦う心がふつふつと燃え上がった。



 ブルーをイエローのそばまで運び寝かせるとまたあたりを探す。


「あと二人はどこだ?」

 歩いて行くと岩影にブラックが!?


「ブラック! お前も!?」

 頭を打っているらしくヘルメットが凹んでいる。


 体にも鱗のような尖った物がいくつか刺さっている。動いたら出血しそうだ。

 揺らさないように話しかける。


「ブラック、大丈夫か!?」


「……お、レッドか……」


「よかった。生きていたか。」


「俺の事を……心配してくれるのか?」


「当たり前だ。仲間だろ?」


「仲間……」


「お前も怪物とやらにやられたのか?」


「ああ……二人がかりでも……

 かすり傷一つ与えられなかったよ……あんな奴、いるんだな」


「ピンクは?! どうしたんだ?」


「怪物にさらに挑もうとしていた……俺は先に気を失ってしまったんだ」


「まだ戦っているのか?」

 急いで見つけないと危ない!


 ブラックはこのまま寝かせておく事にし、ピンクの行方を探す。



 耳をすますと暗闇の中を走る音がする。

 近くで戦っている!


 岩影の向こうで2つの影が交差する。



「ライノ・タスク!」

 ピンクの右腕が『サイ』の角に変わる。


 それに向かい合っている『ドラゴンの骨のマスク』を被った

 白いマントの人物がいる!


「あ、あれが怪物!?」


 怪物が左腕を上に向けて叫ぶ!


「ドラゴン・アーム!」


「えっ!!」

 左腕がドラゴンの腕に!!

 自分と同じものだ!


 ガツンッ!


 ドラゴン・アームがライノ・タスクを下から弾くとピンクは態勢を崩す。


 1発、2発、ドラゴンの拳でピンクの顔面を殴ると脚が震え立つのもやっとになる。


 後ろにかわして気力で踏ん張るが攻撃に転ずる事ができない。


 ピンクの右腕が元に戻って行く!

 もうライズするパワーがほとんど残っていない。


「くっ……」

 怪物がゆっくりピンクに近づく。

 左腕を振り上げとどめを刺そうとする!


「ピンクッ!」

 レッドが飛び込んでピンクを抱く。二人は地面を転がりながら倒れる。


「レッド!」


 ピンクを守るように立ちふさがる。


「大丈夫ですか?」


「……何とか大丈夫よ! でも……もうライズできない」

 ピンクは立ち上がる事ができない。


「そこで待っていて下さい。

 僕が……僕が戦います!」

 レッドは仲間を傷つけられた怒りで震える!!



 アルノドーアは一度変化を解除し相手を睨む。


「もう一匹いたのか……お前も邪魔するようなら許さん!」

 自分の行く手を邪魔され怒りをあらわにする!



 二人は怒りの感情をぶつけ合いながら、荒野の中央で向かいあった!


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