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科学防衛隊イシュライザー  作者: kuro96
一.怪物襲来編
12/247

12.発現

 中央管理塔(タワー)の回りは商業エリアが取り囲んでいて

 入口が何処にあるかわからなくなっている。

 タツオはしらみ潰しに路地に入ってみるがどれも行き止まりだ。近づくのも容易ではない。

「ここもダメか。きっと隠し通路になっているんだ。

 そういえばアルノに最初に会った場所の近くにゴミ捨て場があったな。

 あれはタワーのゴミ捨て場かも」

 記憶を頼りに路地を曲がる。

「おっ、ゴミが大量に置いてある。何のゴミだ?」

 何か書類のようなものが沢山あるが暗号みたいなものでわからない。

 ゴミの間にフェンスがあり扉らしきものを発見した。

 鍵が掛かっているが昇れば越えられそうだ。

「よし、やったぞ」

 飛び越えるとタワーに続く通路だ。

 ぐるりと円のような形をした通路を回ってたどり着いた。

 ここがタワー入り口だ。

 タツオは素早く茂みに身を隠す。


  巨大なタワーは上まで見る事ができない。

 入口は狭く一人通れるくらいだ。

 警備用ロボットが入口の前を行ったり来たりしている。

「やはり居たな。一体だけか」

 警備用ロボットは『セキュリティー・ポリス・レーダー』と言われる

 三輪車タイプの見回りロボットだ。

 侵入者を発見した途端警報が鳴り他のロボットに合図を送る。

 侵入者の確保には『セキュリティー・ポリス・キャッチャー』と呼ばれる

 ネットによる捕獲を得意とする箱型の四輪車ロボットがいる。

 でも一番恐ろしいのは『セキュリティー・ポリス・ハンター』と言う

 戦闘を得意とした人型ロボットだ。

 逃走を許さないスピード、相手を弱らせる警棒による殴打、

 そして拳銃による狙撃が最終手段だ。こんなやつが出てきたら最後だ。

「とりあえずレーダーしかいない。こっちを見ていないタイミングで突入しよう」

 なかなか難しいタイミングだ。左右に動いているとはいえ頻繁にカメラが回転している。

 茂みから様子を伺いながら入口から離れるタイミングを待った。

 そして最も離れるところに来た時、意を決して入口に向かった。

 うまくこっちを見ていなかったようで入口に飛び込めた。

「やった……あっ!」

  ガツンッ! 硬いものに頭をぶつけた。

 頭を上げてみると何と運悪くセキュリティー・ポリス・ハンターが入口を塞いでいる。

「さ、最悪だッ! こんな入口にも配備しているのか!」

 スマートな人型で頭はツルツル、目も鼻もなく不気味なメタリックボディー。

 右手は拳銃、左手は警棒になっていて足は細くしなやかでいかにも速そうだ。


 ウーーーッ!


 ヤバい!

 うしろでレーダーの警報が鳴った。気付かれてしまった!


  目の前のハンターは身構えて戦闘態勢になった。

 すぐに元いた地点に走ったがハンターはさらに速く回りこまれる。

「まずいッ!」


 左手の警棒が振り下ろされる。


 ガンッ!


 物凄い衝撃!

 肩口にヒットして前のめりに倒れる。


  後ろの方にはタワーの職員だろうか。

 何人かが出て来て興味ありそうに見ている。

「おい! 侵入したやつがいるぞッ! 早く捕まえろ!」


 ガンッ! ガンッ!


 警棒がさらに上から連打された。

 頭から血が滴り落ち意識が飛びそうになる。

 こちらを弱らせての銃撃が得意パターンだ。

 ハンターはとどめをさそうと今度は右手の拳銃をこちらに向ける。


「銃口が!

 うわーッ! ……アルノーッ!」


 最期の時が来た…と目を瞑り大切な人の名前を叫んだ!


 バーンッ!


 弾丸が発射されて自分に当たった気がした。

 死んだ、と周りの人間も思った。


 しかし……


 タツオの左腕が巨大な怪物の腕に変わっている!

 硬い鱗が何枚も重なり合い指先は鋭い爪が生えていた。

 弾丸はそれに弾かれ地面に転がっている。


「なッ!」

「なにぃーッ!」


 タツオも見ている人間も唖然とする。


「ラ、ライズだッ! 『肉体変換』の能力者だーッ!」

 職員の一人が叫んだ。

「ライズ!? ッてなんだ?」


 そのスキにハンターは再度警棒で殴打しようとタツオの頭めがけて振り下ろした!

「うわーッ!」

 タツオはとっさに左腕で頭を防御する。


 ボキッッ!


 砕けたのはハンターの警棒の方だ!

 ハンターに内蔵されているコンピューターは想定外の出来事で動作を躊躇する。


 タツオは自分の体の中に別の生物が動き出すような感覚に襲われた。

 あの時と同じ感覚だ。ベッドでアルノを見た時の感覚。

 獣のような何かが叫んだ!


「……ドラゴン・レッグ」


 すると今度はタツオの右脚が光り輝き、みるみる怪物の脚に変わった!

 右脚も左腕と同じく硬い鱗で覆われた丸太のような強靱な脚だ。


「なんだッ!? 今度は右脚から……すごい力が!

 こ、これは……なんだ……

 うぉーーーーーッ!」


 左腕でハンターの腕を払い、ボディーをがら空きにした。

 そこに怪物の右脚キックが炸裂する!


 ドカァッ! バリバリバリッ!


 人間には目に見えないような速さ!

 たった一撃でハンターの胴が真っ二つに破壊され上半身は数十メートルぶっ飛んだ!


「ひーッ! ライズの能力者! 来るなーッ!」

 一瞬のうちに最強のロボットが消し飛んだ。

 あまりの出来事に見ている職員たちは恐怖で後ずさる。

 タツオはそちらを睨み直立した。

 普通ではないその姿はまさに怪物だ。

「う、うぁーッ!」

 職員たちはタワーの中へ逃げて行く。

 その時、タツオの左腕と右脚は力をなくしたように元に戻り、

 頭の痛みにとてつもない疲労感が加わり気を失ってしまった。


 ◇ ◇ ◇


 タワーの地下深く、白衣をまとった科学者たちが忙しく働いている。

 その中心の長官デスクに座る女性の元に職員が報告に来た。

「イイノ長官、『肉体変換能力(ライズ)』を発現した人間が発見されました」

「何ですって?!

 それで何処にいるの?」

「それがタワーの前に倒れて寝ているそうです」

「何でそんなところに?

 とにかくこの科学技術庁で保護するのよ。

 キャッスル・ブレインには私が申請しておくわ。

 すぐに研究室に連れて来るのです」

「はいッ」


 ◇ ◇ ◇


  どのくらい時間が経ったのだろうか。

 タツオはハっと目が覚めベッドに寝かされている事に気付く。

 頭の手当てもされているし、左腕と右脚は元に戻っている。

 でも左腕には注射の後がある。検査されているようだ。


「気がついた? タツオ君」

 ベッドの横には綺麗な大人の女性が座っている。眼鏡をかけて知的な感じだ。

「私は科学技術庁長官のイイノです。

 申し訳なかったけどあなたの事はいろいろ調査させてもらいました」

「科学技術庁の?

 う、頭がイタッ……

 僕は一体どうなってしまったんですか?」

 強烈な頭痛に襲われるがそれより自分がどうなったのかが気になる。

「左腕と右脚が怪物に変化したと聞いたわ」

「自分でも何もわからないんです。

 ハンターに撃たれそうになって無我夢中で」

「それは肉体変換能力(ライズ)。『異形種』の遺伝子を持った人間だけが発現できるのよ」

「な、なんですか!?

 『異形種』の遺伝子って?」

「異形種はこの世界の外に生息している怪物の事です。

 タツオ君。あなたの体には異形種のひとつ

 『ドラゴン』の遺伝子が存在している。

 何故あなたの体に移植されたかわからないけれど

 ドラゴンの遺伝子に産み出される細胞があなたの細胞と強く結び合っている。

 まるであなたを守るように……」

「ドラゴン? トカゲの大きなやつですか!?」

「伝説上の生き物だけど1000年前の科学者が恐竜や爬虫類の遺伝子を操作して

 作り上げたと言われる巨大で全身を鱗で覆われた強靭な怪物よ」

「……鱗?」

 そういえばアルノには鱗がついていた。何か関係あるのだろうか?

「普通は人工的に移植して初めて発現するのだけど

 あなたは何もしていないのに発現している」

「ライズとか遺伝子とか何がなんだかさっぱりわかりません。

 僕は外の世界に行きたいのです」

「外の世界に行ってどうするの? 外は怪物たちが支配している世界よ?」

「あ、会いたい人が……いや外の世界を見てみたいんです」

 本当の理由は恥ずかしいのでそれっぽい理由を言った。

「それだけでタワーに侵入したの? ライズが発現しなかったら死んでいたわよ」

「す、すいません」

「このまま帰っても不法侵入罪とロボットを破壊した罪で捕まるわ。

 捕まったら一生牢獄に入れられて二度と出れないわよ。

 どうかしら? 『科学技術庁』に転入しない?」

「えっ、ここに?」

「君の能力が活かせる部署があります。

 うちが預かるならキャッスル・ブレインも罪を許してくれるでしょう。

 それにこの部署だけが外の世界に出られる権限があるのです!」

「本当ですか? 外に出られる!」

 願ってもいない事だ。

 捕まってしまったら二度とアルノに会えなくなってしまうし、

 ここにいれば合法的に外に出れる。

 未来が開けて行く思いがした。

 タツオはベッドから立ち上がる。

「是非ともお願いします!」

「よく言ってくれたわ。

 手続きは私が行います。あなたは今日から

 科学技術庁所属特別防衛隊イシュライザーです。」

「イシュライザー?」


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