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科学防衛隊イシュライザー  作者: kuro96
四.ヴェルドーアの過去編
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29.帰って来たドラゴン


「ウルサイ! キャッチャー、ダマラセロ!」


 巨体アンドロイドは片腕を大きく振り上げた。

 そのままヤマタケにとどめを刺すべく、振り下ろす!


「うう……」


 ヤマタケは目を瞑る……これで終わりか……


 ザンッ!!

 裂けたような音と共に地面に硬い物が落ちる。


「うん? な、何だ!?」


 目の前にアンドロイドの腕が!?

 キャッチャーの鉄の片腕が千切れてなくなっている!


 3体のアンドロイドの後ろ……キャッチャーの脇から見える、キラキラと光るその姿は……。


 黄金の戦士、イシュライザー・ゴールド!

 遠くに去ったと聞いていた戦士が……帰って来た!


「ま、まさか……お前は……ヴェル!

 帰って来たのか……」


 目を疑う光景だった。

 もう皆やられてしまうと思っていた。

 もう誰も助けはいないと思っていた。

 絶望に包まれていたヤマタケに一筋の希望の光が……

 ヤマタケは我も忘れて涙を流す。


「ヤマタケよ。よく頑張ったな!」


「ヴェ、ヴェル!」


「あとは……わしに任せろ!

 ゴールド・ドラゴン・ウイング!!」


 右腕の側面に黄金の翼を発現させた!


「はっ!!」


 ザクッ! ザンッ! ズガッ!

 空中で3回腕を振るった!


「ナニッ!?」

「グガッ!」

「……」


 3体のアンドロイドの胴体に一筋の傷が現れ、遠くまで吹っ飛ばされる!

 科学技術庁の壁に激しくぶち当たる!


「グワァッ!!」


 すっ飛ばされたアンドロイドたちは壁にめり込み動けない!

 そのスキに倒れている仲間の元へ急ぐ。


「ヒビキ、シミズ、ハヤオカ、それに……リュウヤ! お前まで!!」


 全員負傷している。

 特にリュウヤは体がボロボロになっている。


「いかん……傷の回復じゃ……

 ライフ・ストリーム!!」


 ライザー・ゴールドの体が太陽のように輝き、心地よい光と風が放たれる。

 地に伏しているヒビキ、シミズ、ハヤオカ、ヤマタケ、そしてリュウヤに向かって、

 強く、強く生命力を送り込んだ。


 胸の傷、頭の傷、火傷がみるみる元通りに……

 出血も止まって、一人またひとりと意識が回復して来た。


「う……何だ……私は今まで何をやっていた!?」


「ヒビキ! よかったな、気がついたか!」


「お前は……金色のイシュライザー……ヴェル! ヴェルか!!」


「ヴェ、ヴェルさん! 帰ってこられたのですね!」


「ヴェル、助かったー。よく助けに戻ってくれた……」


 イシュライザーたちはフラフラしながら立ち上がって手を取り合う。

 絶望しかなかった状況が一変して皆、喜び合った。


「お前達! まだ負傷部分を元に戻しただけじゃ。

 流した血の量は元に戻っておらん。

 また戦って負傷したら今度こそまずいぞ。

 いまのうちに逃げろ!」


「でも……私たちだけなんて……」


「いいんじゃ!

 わしが決着をつける!

 ……

 ん? リュウヤ! リュウヤの意識が戻らん!

 リュウヤは普通の人間だ。

 オリジナル・ジェネシスでなければ細胞はボロボロになる。

 こんな禍々しいエネルギーが満ちている空間に長時間いられるわけが無い!」


「そ、そうです! 我々のように、

 オリジナル・ジェネシスの強化された遺伝子を持っていないと耐えられません」


「わしの作ったこの『赤い作業着』を着せよう。

 これはオリジナル・ジェネシス、『ドラゴン』の髪の毛でできている。

 少しは汚染を防げるはずじゃ。

 何も付けて無いよりはいい」


 パッと手を開くと小さく折りたたまれていた赤い作業着が現れる。

 ボロボロになっていたリュウヤの白衣を取り払って、皆で着させた。


「さぁ、行ってくれ。

 お前達が科学技術庁舎の中に連れていけ! 早く!」


「わかった。リュウヤは連れて行く。

 必ずヴェルも戻って来いよ!」


 ヒビキを先頭に建物の中へ消えて行った。

 だが一人だけ残っている……


「ヤマタケ、どうした。

 お前も行っていいんじゃよ。

 充分、責任を果たした。心配するな」


 動く事無く立ち尽くして俯いている。

 肩が震え、嗚咽が聞こえた。


「うう……す、すまねぇ……俺がもっと強ければ……

 リュウヤや……仲間たちをこんな目に……合わせる事なかった」


「意外と涙もろいヤツだのう。

 もう泣くなよ。

 皆、ここまで持ちこたえられたのはお前の力だ。

 クヨクヨするで無い!」


「……ヴェル……」


 責任を痛感していたヤマタケはその言葉で心が軽くなった。

 ヴェルの優しさがヤマタケを救った。

 人を想う一言が人を救うのだ。


 ヴェルはあたりを見回し、ヒューマン・キャッスルの地下空間の異様な状況を危惧する。


「大急ぎで戻ってみれば……何じゃこの状況は!?

 ヤマタケ、避難する前に教えてくれ。

 一体、わしがいない間に何が起こったのじゃ?」


「実は……イイノが……イイノの能力が暴走してしまったんだ……」


「イ、イイノ……やはりイイノか!」


中央管理塔(タワー)の催眠波を防ぐ為、皆、イシュライザー・スーツを装着したんだ。

 イイノの着た白いスーツは、能力を最大級に発現するよう、

 キャッスル・ブレインが細工していたらしいんだ」


「何!? スーツを着たのか?

 じゃが白いスーツはオリジナル・ジェネシスの能力を高める設定にはしていなかった。

 むしろ抑制するよう設定していたはずだ。

 何故、キャッスル・ブレインはそんな事を!?」


「イイノに逃げられたくなかったんだろう。

 それにイイノの力をもっと欲しがっていた。

 計画がどうのこうのと……」


「ぬぬ……もしやイイノはキャッスル・ブレインが何か行動を起こす事を察知して……

 わしやアルノドーア、りっちゃんを避難させたのでは……

 だとしたら、わしは何で気付かなかったんじゃ……」


「ヴェル! お前も悩むんじゃねぇ!

 もう済んでしまった事じゃねぇか!

 これから反撃するしかねぇよ!」


「ハハハ、お前に言われるとはな。

 そうじゃ、もう先に進むしか無い。

 わしは、イイノを救いに行く!

 お前は仲間たちを守れ!」


「わかっている……この体では足手まとい……

 悔しいがお前に頼るしかないな」


 お互い笑みを浮かべ、肩をたたき合う。


「イイノは訓練場に閉じ込められているぞ。

 キャッスル・ブレインが扉を守っているはずだ」


 そう言い残すとヤマタケはよろけながら建物の中へ歩いて行く。


「そうか……イイノ、待っていろ。

 わしが、わしが元に戻す!」



 イイノの能力、『星』の力は誰もが制御できるような力では無い。

 いくらアルノドーアに継承したと言ってもまだかなりの力を有している。

 だから白いスーツはいつも能力を抑制する方向にスイッチを入れていたのだ。

 それが強化の方向へスイッチするなどと……

 遺伝子から光の細胞が次々に生み出され、どのように変化してしまうか誰もわからん。

 既にわしの手にも負えんようになっているかも……

 その時は……わしも……命を捨てねばならない。

 イイノの為ならば全てを捨てても構わん。


 歩みを訓練場へ向ける。

 必要ならば能力を全開にしてでも進む。

 覚悟を決めて走り出そうとした時……


 ドンッ! ドン、ドスッ!


 眼前に3体のアンドロイドが再び立ち塞がった。

 ヤツらも命令を達成するまで向かってくるのだろう。


「オマエモ、フクメテ、オリジナル・ジェネシスハ、トラエヨトノ、メイレイダ。

 ワレワレハ、ミッションヲ、スイコウスル」


 一番真ん中にいる女性型アンドロイドだけがしゃべれるようだ。

 マイクを持っているのはその為なのか。

 左に巨大で要塞のようなアンドロイド、

 右にはヒョロヒョロでのっぺらぼうなアンドロイドが陣取っている。

 それぞれ横に間隔を取ってわしを包囲して来た。


「お前達も必死というわけか。

 じゃが、わしも目的を達成する為に先に行かなければならない!

 戦わせてもらうぞ!」


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