27.イシュライザーvsスーパーズ2
巨大なエネルギー弾がヤマタケとシミズを焼き尽くそうと向かってきた!
あっと言う間の出来事で二人は反応できない!
ズドドドドォォォン!
宿泊棟の壁が吹き飛ばされた!
粉々になった建物の破片があたりに散った。
「グガガ……」
ビルディングのような巨体のアンドロイドは標的の位置を確認している。
炸裂した地点には何も残っていない。
バラバラになって飛び散ってしまったのか?
その時、上空に鳥が羽ばたく音が聞こえた。
何かが飛んでいる!?
「間一髪だったな! シミズ!」
「ヒ、ヒビキさん!」
鳥類の遺伝子で背中に翼を発現させ、空を飛んでいた。
シミズを片腕に抱えて救出していたのだ。
「こちらの方がやばそうだったからな。
向こうの戦場から飛んで来たのだ」
「あ、有り難う。助かりました」
「まだ助かっていないがな」
見下ろしている地上には大砲を撃ったアンドロイドがこちらに気付き、
また大砲を起動させようとパワーを蓄えている。
「あ、あれ?
ヤマタケさんは!?」
ヒビキは顔をぷいっと巨体アンドロイドとは逆の方向へ向ける。
離れた地上にはハヤオカが『豹』の脚を発現させて、ヤマタケを助けていた。
「ぶ、無事だったんですね!
よかった!」
ハヤオカも自分の戦場を放棄してこちらに救援に来てくれたようだ。
「ヤマタケくーん、危なかったねー」
「ケッ……余計なお世話だ……
自分の担当しているアンドロイドはどうしたんだ?」
「近寄れないから逃げて来ちゃったよー。
音を操るアンドロイドなんて聞いてないよ。
全部はじかれちゃうんだからね」
「何? お前の敵は『音』が武器だったと!?」
「ヤマタケくんの敵はあの巨大アンドロイドだったね。
あれは武器の集合体か。
いくら砲門を壊しても次から次へと出てくるみたいだな」
「ああ。歩く要塞と言っていい。
腹の砲門は破壊できたが、まだまだ武器を大量に隠し持っている。
壊してもきりがねぇ」
上空からヒビキとシミズが降りてきて4人が合流した。
分散して倒せる相手ではなかった……
対策を考えているうちに他の2体のアンドロイドもこちらにやって来てしまった。
3体の戦闘用アンドロイドが横に並んで近づいて来る。
「どうするよ。命を捨てて決戦するのか?」
「同時に攻撃されたらひとたまりもないじゃなーい」
「こ、こんな時、ヴェルさんかイイノ課長がいれば……」
「く……人に頼るんじゃねぇ。
こういう時は……」
「こういう時はどうするのだ、ヤマタケ」
「逃げるんだよ! 走り回ってな」
「何だよ、それは作戦じゃねーぞ」
「僕、走るのは得意だよー」
「わ、私は苦手です!」
ヤマタケが科学技術庁舎に向かって先に走った。
その後を3人も一目散に追って行く!
◇ ◇ ◇
アンドロイドたちの移動速度はこちらより遅いようだ。
イシュライザー・スーツを纏って能力を強化しているオリジナル・ジェネシスの継承者たちなら、
走って引き離せる事が何とかできた。
しかし遠くからドシン、ドシンと言う足音が近づいて来るが……
科学技術庁舎の陰に身を潜める4人。
この僅かな時間に息を整える。
「逃げたのはいいがこんな地下の狭い空間をいつまでも逃げていられるのか?」
「あんな凶暴な奴らでも、ヒューマン・キャッスル全てを破壊するつもりはないようだね。
この建物ごと攻撃されたら、たまったもんじゃない」
「こ、このまま、エレベーターで地上に逃げたり、
あるいは外の世界へ出て遠くまで行けばいいんじゃないかしら?」
「おい、お前たちは何のために戦っている?」
ヤマタケはいつになく真剣な顔で聞き返す。
「私は未来まで人間の世界を継続させる為だ!」
「僕は人間がいなくなったらつまらない世界になってしまうから、
人間の為に頑張ってろうって思ったんだ」
「イ、イイノ課長の目指す世界に惹かれて……
そう言うヤマタケさんは何の為にこんなに戦っているんですか?
一番面倒くさがりだと思っていました」
「お、俺は……
……
自分の子供の為だ……」
「あっ!?」
「はぁ!?」
「えっ!?」
「……黙っていたんだが……科学技術庁に務めている、ある女性と一緒に住んでいるんだ。
それで……最近……子供ができたみたいなんだ……」
皆、驚愕で動けなくなっている。
恋愛とは一番縁遠そうなヤマタケが自分たちと同じように……
「その女性と子供のためにキャッスル・ブレインなんかに支配されたくない!
記憶も消されたらたまったもんじゃない!
もっと金を貯めて遊びたい!
子供と遊びたい!
ヴェルを一発殴りたい!
イイノをぎゃふんと言わせたい!
生意気な『キャッスル・ブレイン』に文句を言いたい!
まだまだ生きてやりたい事がある!」
ヤマタケは抑えていた感情を全て吐き出す。
いつも格好つけていたが普通の人間なのだ。
3人はプッと吹き出して笑った。
「アハハハ……ヤマタケよ! お前らしいぞ!
お前こそ本当に普通の人間だ。
思っている事を素直に言葉にする……」
ヤマタケをポンポンと叩くヒビキ。
「そうだね。僕も愛する女性と子供がいる……
君と同じだな」
「ヤ、ヤマタケさん。
お子さんが産まれる時には私に手伝わせて下さいね!」
「はぁ、はぁ……
お前ら、笑うんじゃない!」
ヤマタケはいつものように意地を張るが、
皆の顔を見て初めて『笑顔』になる。
その顔を見ると3人も再び戦う意欲がフツフツと湧いて来た。
「俺たちは逃げてはいけないんだ。
遠い外の世界に飛んで行けば、俺たちは助かるかもしれない。
自分たちだけ助かるかもしれない。
だけど、それではこのヒューマン・キャッスルの人間たちが救われないじゃないか!
今までたった一人で未来を思い描いていたイイノを見捨てるわけには行かねぇ!
皆で一緒に戦おうじゃないか!」
「お前らしくもない言葉だな、ヤマタケよ。
だけど皆、お前と同じ想いだよ」
「そうだね。僕たちを待っててくれている人がいる」
「戦いましょう。皆で、生きて行く為に!」
「よし、それでは全員で戦闘用アンドロイドたちを一体ずつ倒して行く。
そしてキャッスル・ブレインも機能停止させて、イイノを救出する。
それでいいな!?」
「ああ!」「おおっ!」「はいっ!」
アンドロイドの1体、
マイクを持った女性型アンドロイドが4人が隠れている物陰を探索しに来た。
「行くぞっ!
ジャイアント・スイングー!!」
ヤマタケがスキをついて飛び出し、巨人の腕を繰り出す!
こちらに気付いた時はもう遅かった。
アンドロイドはマイクを使う事ができず、音の障壁を張れない!
ドゴォォォッ!
横殴りのジャイアント・スイングがもろにヒットして数十メートル先に吹っ飛ばした!
「おい! 攻撃の手を止めるな!
全員で追撃しろーっ!」
「イーグル・フェザー!」
ヒビキの体から数百の鳥の羽根が鋭利な刃となってアンドロイドに襲いかかる。
ズガガガガガッ!
羽はナイフのように突き刺さり、アンドロイドは針ネズミのようになった。
「エレファント・レッグ!」
ドシッ!!
右脚を象の脚に変えたハヤオカが上から踏み潰す!
バリッ! バリ……
体のあちこちにヒビが入り、アンドロイドの動きが止まった。
「や、やったぞ……
アンドロイドを倒す事ができた……
俺たちでも勝つ事ができるんだ!!」
腕を上げて勝ちどきを上げる!
皆の力がアンドロイドに勝った!
「あっ!
み、皆さん! アンドロイドが……」
「えっ!?」
粉砕されたアンドロイドの中が見えるが、空洞になっている!
「中身がないぞ!? どうなっている!!」
アンドロイドに近づいて覗き込んでいるヒビキの背後に人影が現れた。
ザンッ!
「ぐわぁっ!?」
ヒビキの胸に針の穴のような刺し傷が!?
その背後には人間の女性と見間違えるようなアンドロイド……が!?
「アナタガタガ、コワシタノハ、アーマードスーツ。
ワタシガ、ホンタイノ、スーパーレーダー。
アンドロイドタチハ、ワタシヲ『レダ』トヨブ!」
銀色のボディーに水着のような上着。下は短めのスカート……
やはり銀色の長い髪の毛に……カチューシャのような髪留め……
キャッスル・ブレインに似ている……
その右腕の持っているのは槍のように変形したマイク……
光輝く『レーザー・スピアー』だ!
ヒビキの胸を後ろから突き刺し、そして引き抜いていた。
「ぐ、ぐわっ!」
胸から血を吹き出して倒れるヒビキ。
「おいっ!」
「ヒ、ヒビキーっ!!」




