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科学防衛隊イシュライザー  作者: kuro96
四.ヴェルドーアの過去編
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25.白の暴走


 イイノは出勤途中のオリジナル・ジェネシス継承者たちに出会う。

 走るイイノは珍しい。

 ただ事でない事態が起こっているのか。


「イイノ課長!

 そんなに息を切らせてどうしたのですか?」


「早く……このスーツを着て下さい。

 『キャッスル・ブレイン』が何かを仕掛けて来ます!」


「キャッスル・ブレイン!?

 あれは塔の一番上に設置されているのでは?」


「あのコンピューターはキャッスル・ブレインではありませんでした。

 本当のキャッスル・ブレインはアンドロイド……

 自分の意志を持ち、動き回れます。

 まるで人間のよう……

 いや人間の意志がそのままアンドロイドに乗り移っている。

 1000年前の人間たちの意志が……」


「アンドロイド!?

 あのふざけたヤツがか!?

 では、今まで私たちをそれとなく監視していたと?」


解除(リバース)!」


 ドサッ ドサドサッ


 息を整えていたイイノは重力(グラビティ)肉体変換能力(ライズ)を解除し、

 空中に浮かべていた5つのスーツケースを地面に落下させる。


「私たちのやろうとしている事が見破られていました。

 ヴェルやりっちゃんを昨晩脱出させてよかった……

 催眠のような電波を使って私たちを操るつもりです。

 記憶をすり変えられてしまうかもしれません。 

 このスーツを装着していれば妨害電波が出ているので抵抗できます。

 早く装着して下さい!」


「わ、わかりました……」

「皆、早くしましょう」

「記憶を変えられるなんて怖いー」

「……ケッ、そんな恐ろしいヤツがこの世界を支配していたのかよ」


 ケースを開けて各々急いで装着する。

 特訓して来たせいか着るのは皆、早い。


「あの中央管理塔(タワー)はただの塔ではなかった……

 人間を操る為の催眠電波を発生させる塔。

 管理とは人間を管理すると言う事だった。

 だから、あのようにヒューマン・キャッスルの真ん中に……

 何処からでも見えるように建っていたのです」


「何? どうして塔なのか今まで不思議だったが、そんな目的だったのか……」


「イ、イイノ課長も早くスーツを……

 イイノ課長が操られたら終わりです」


「わかったわ。私も早くしなければ……」


 イイノは白いイシュライザー・スーツを慣れた手つきで装着して行く。

 あっという間に全身へ装着した。


「そ、そういえばイイノ課長、さっき能力を使っていませんでした?

 空中に物を浮かばせていたような……

 もしや、イイノ課長も『オリジナル・ジェネシス』の継承者……」


「話は後です。

 キャッスル・ブレインを破壊する事はできません。

 彼女の命令でヒューマン・キャッスルのすべての機関が動いているからです。

 彼女を破壊すればすべてが停止し、キャッスル内の人間は死んでしまいます。

 遺伝子課の部屋に行きキャッスル・ブレインのコンピューターをハッキングして、

 乗っ取りましょう。皆でやれば突破できるはず……」


 5人のイシュライザーたちはうなずき、その場を離れようとする。

 その時だった。



「!!

 うう……ううう……」


 白いイシュライザー・スーツの中でイイノの苦しむ声が聞こえる。

 (うずくま)り動けなくなってしまった。


「イ、イイノ課長! ど、どうしたんですか!?」

「お、おい。しっかりしろ……」


「ううう……

 う、く……

 力が……抑えられない……

 ……も……しやスーツの細胞調節スイッチが……切り替えられ……う……

 皆……離れて……」


 グウォォォォォ!

 イイノの体から眩しすぎる光が止めどなく放たれた!!


 直視できないほどの光……イイノが強烈な光に包まれ見えなくなる。

 光は地下の側壁を突き破り、遙か遠くまで伸びる。

 まるで光の柱のごとく、外の世界を照らした。



 ◇ ◇ ◇



 ヒューマン・キャッスルから遠く離れた荒野。

 ヴェルドーアがアルノドーアの揺り籠と、リツを抱いて飛んでいた。


 ズドォォォン!!


「うん!? 何事じゃ?」


 地震のような揺れと轟音。

 振り向くと見えなくなったヒューマン・キャッスルの空に光の柱が斜めに現れている。

 妙に白い、星が輝くような光……


「……光……だと?

 星の光……白……イイノ……

 もしや……イイノの身に何かあったのか!」


 10番目のオリジナル・ジェネシスの能力は星の力と言っていた。

 この距離でも確認できるほどの光、星の力としか考えられない。


「りっちゃん、ここで待っていてくれ!

 イイノに何かあったようじゃ。

 早く戻らなければまずい事態じゃ。

 わしはすぐに行く!

 アルノドーアを頼んだぞ」


 地上にリツを置くと能力を全開にし、ヒューマン・キャッスルへ向かう。


「……ヴェルさん、お一人で大丈夫なのでしょうか。

 星の力……お一人で立ち向かうのは……危ない!」



 ◇ ◇ ◇



「イイノ課長ー!!」

「おーい! 何処にいるんだ!?」

「やばいんじゃない?」

「心配しとらんで探せ」


 イイノは光の中に消えてしまった。

 ヒューマン・キャッスルの地下は光に支配され、何処を見ても光の中。

 4人のイシュライザーも手探りで進みながらイイノの居場所を探す。


「イイノ課長の体から大量のエネルギーが放出されているようです」

「エネルギーって何だ!?

 まさか……融合や……分裂……」

「スーツを着ていない普通の人間にはやばいんじゃないか?」

「すぐに科学技術庁のシャッターを下ろせ!

 地下と地上を分断しろ!」



「皆さーん、騒がないで下さーい!」



 光の中から銀色のアンドロイドが姿を現す。



「お、お前が……キャッスル・ブレイン!?」

「おい、来てしまったぞ」

「ケッ、出たな。アンドロイド!

 人間みたいな姿しやがって! 気にくわねぇ」


「もうこの周囲のシャッターは閉めていますし、

 地下にいた人間たちも避難させていまーす」


「何!? 予測済みだと!?

 もしや、白いスーツに何か細工をしたのはお前!?」


「イイノさーん!

 イシュライザー・スーツはなんと言う素晴らしい発明品でしょうー!

 イイノさんの眠っていたエネルギーが目を覚ますとは……

 これだけのエネルギーがあれば計画も思い通り!

 ヒューマン・キャッスルもこれまで以上に維持できまーす」


「あ、あなた、イイノ課長のエネルギーを狙っていたのですか?」


「そーです。

 イイノさんの研究が完成するまで待っていたのでーす。

 それで白いスーツの調節スイッチを最大にしておいたのでーす。

 さらにーあなたたちオリジナル・ジェネシスの成長も待っていました。

 あとは外の世界にいる3人のオリジナル・ジェネシスをおびき寄せて捕らえれば、

 計画は達成ですね。

 これだけのエネルギーがあって、

 10体のオリジナル・ジェネシスを思い通りにできれば、

 ここはどんなに素晴らしい楽園になるのでしょーか! アハハハ」


「ヒューマン・キャッスルを地上に落下させたのもお前の仕業か!」


「そうだ!

 イイノが成長して、充分地上で活動できるエネルギーが確保できそうだったからな。

 残りのオリジナル・ジェネシスを探せる時期が来たと判断したからだ」


「ケッ、お前、人格がクルクルと変わるな。

 それで、これからどうするつもりだよ!

 お前もイイノを制御できないんじゃないか?」


「イイノは訓練場にシャッターを下ろして閉じ込めた。

 エネルギーを放出し充分蓄積した後、スーツのスイッチを切って元に戻す。

 オリジナル・ジェネシスの力を持つお前達は、記憶を操作して私の支配下に置く。

 抵抗すれば痛い目にあうぞ」


「お前の思い通りにはならねぇ。

 そう簡単にあのイイノを元に戻せるわけないだろう!

 それに俺たちも抵抗するに決まってるだろ!

 こちらは4人。お前は1人、しかも戦闘能力などないだろ?」



「1人……ではないのだが……な」



 キャッスル・ブレインの後ろから轟音を響かせて、巨大な物体が近づいて来た。

 光の中から3つの影が浮かび上がる。



「な、何だ!?

 これは……違うアンドロイドが!?」


 影が人の形に変わる。

 それは人間型のアンドロイド、3体。


 1体は細身で顔がのっぺらぼうの全身ツルツルのメタリックなボディ。

 1体は巨体で箱のような部品が沢山結合しているようなロボットタイプ。

 1体は人間の女性の形をしてマイクのようなものを持っている。


「このアンドロイドたちはー、私の配下でー、

 『スーパーハンター』、『スーパーキャッチャー』、『スーパーレーダー』と言いまーす。

 表にいる警備ロボットの進化バージョンのアンドロイドでーす。

 動かすには膨大なエネルギーが必要で、今まで動かせなかったけどー、

 イイノのエネルギーがあれば、充分動かせるー。

 さぁ! このオリジナル・ジェネシスたちを大人しくさせなさい!」


「わ、こんなアンドロイド、何処にいたのですか!?」

「来るぞ! やっつけるしか道はない!」


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