転生早々ブチ切れました
よろしくお願いします。
_____気がついたら、知らない場所にいた。
なんてのは、転生小説にありがちな始まり方だ。
でも、ちょっと物申したい。
(……なんで私、こんな蔑まれてんの……?)
私は今、何故か豪奢な金ピカの椅子に座っている。お世辞にも座り心地が良いとは言えない。
そして長い長い階段の先に設置されたこの場所から、この広大な部屋を見下ろしている。
状況からして、私はとても偉いのだろう。なんか沢山の方々がこの広い部屋に所狭しと並んで私を見上げているし。
ただどうも、彼らの雰囲気からして敬われているわけではなさそうだ。むしろマイナス感が溢れ出ている。
あっれ〜、なんでこんなことになっているのかな〜……。私、さっきまで普通に寝てたよな……?
そして普通の社畜だったはずなのに……。
なんなんだよこれ。
「女王就任、誠におめでとうございます、ユリフェア 様」
全くおめでたくなさそうな声で正面の先頭にいる人が言った。
……ん?あれ?
よく見ると、壮年の彼の額からは立派な一本角が生えている。ユニコーンみたいな。
……はい?
周りを見渡すと、他の人達もどこかしら人外の特徴がある。え?なんなの?この方々の正体以前にこの方々が頭を垂れてる私なんなの?
……女王って言ってましたね、はい。
……頭が痛い。
「……挨拶に、返答すらも出来ないのですか、あなたは」
私が頭を抑えて黙っていると、不意にさっきの男が蔑んだように呟いた。いや“よう”じゃないわ。バリバリ蔑んでるわ、目が。
_____何こいつ。
全くもって、今の状況を把握できていないけれど、なんなら今自分が誰として見られているのかも分からないけれど、私を見下すこのオッサンにただただ無性に腹が立つ。
キレていいよね?え、キレていいよね?
青筋を立てて私が口を開きかけた瞬間、私の右後ろから冷淡な声がした。
「言葉を慎め、グレイアス卿。この方はたった今から女王となられた。今までのような振る舞いは容認出来ない」
「……申し訳ありません」
後ろの男の声にグレイアス卿と呼ばれたオッサンがスッと頭を下げて下がった。
……何今のやり取り。
私は頭の中がふつふつと煮えたぎっていくのを止められなかった。
一見私を庇ったかのような男の言葉。けれども奴は“今までのような振る舞いは容認出来ない”と言った。それは今まで後ろの奴もこの男の態度を容認してきたということだ。
しかも私を嘲った男は後ろの奴に素直に従っている。
私は侮辱してきたくせに、自らが女王と呼んだ者を蔑ろにするのも甚だしい。
見れば、誰一人としてこのやり取りを咎める者はいない。
_____どいつもこいつも。
不愉快だ。
「言葉を慎むのはお前だ、ゲルグ」
静かな怒りに任せて口を突いて出た言葉に、驚愕したように息を呑む音がそこかしこから漏れ出る。
私の頭に浮かんだ名前は、この口調は、この身体の元々の持ち主の記憶からだろうか。
ユリフェアという、あの嘲りに晒されながらも立っていた女性の。
「お前誰の許可を得て話している?王は、私だ。故に、お前が口を出す権利は、欠けらもない」
一言一言、言い含めるようにゆっくりと。
誰しもが分かるように尊大に。
その度に、この部屋の空気が冷えていく。
「グレイアス」
「……何でしょうかな?」
私が目を眇めて名を呼んでも、その舐めた男は嘲りを含めて私を見上げる。
あぁ、ムカつく。
「_____我を侮辱するとは、いい度胸だなぁ?」
空気が、一気に低下した。