表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

異変の時・・外伝・赤の火焔の王・火竜王アジェンダの物語

作者: のの

・・時が流れ去る・・・


黒の女王・火焔の女王ヴァルジニテと白の宗主アルソスの時代の数百年後・・


歴史中期の終わり頃・・・



心優しき白の宗主アルソスと同じ気質を持った白の宗主ウイリアムが・・


一人で密かに当時のリュース公の湖畔の城を訪れた・・


・・・火焔の女王達とその父親・風の王ヴァルーダ達が望んだ平和を望んで・・


再び 長年の戦争をやめて 平和条約を結ぶ為に・・・



当時の魔法の王は運よく・・優しい穏やかな気質の水の女王エルテア

相手の夫は異母兄・・側室の息子・・赤い火焔王・火竜王・・しかしすぐに病死する



・・・過去の時代の三代目のリュース公が火焔の女王ヴァルジニテの命を護り


当時のリュース公は長年に渡り 白の王族達と交流があり・・


白の宗主ウイリアムとは 公然の秘密の付き合いがあった・・


長年の努力・・・・ようやく二度目の平和条約が結ばれた・・



だが・・しかし 六年しか持たなった


また・・あの穢れた神が邪魔をした・・

二千年の戦乱の時代を作りだした追放された神


彼が白の国に内乱を起こし・・

・・その戦場で白の宗主ウイリアムを暗殺した・・


・・・その暗殺を黒の女王・・水の女王エルテアのせいにした・・


また偽造した証拠を残した・・・怒り狂う・・息子のシューツオン


宥める家臣達の言う事も聞かず・・


白の国へ 黒の人質として滞在していた母親と同じ青の瞳の美しいシルフィア王女を

手籠めにした上・・即座に剣で首を斬り落とした・・・シルフィアはまだ16歳だった・・


・・しかも・・年の離れたシューツオンの異母弟ヴェントレと恋仲であった・・



シューツオンが突然 ノックもせずにシルフイア王女の部屋に飛び込んできた


「・・あの?どうされたのですか?シューツオン様・・

それにその表情・・何を怒っていらしゃるの?・・とても怖い顔を・・・ああ!!


な!! 何を!」


彼女の服を引き裂き ベットに押し倒し シルフイア王女に乱暴した・・


「い!!いやああ!!やめてええ!!

 ヴェン・・トレええ! 助けてええ!!」


「きやああ!!いやあ!!」


「・・・」


「あ・・・あ・・あうう・・ひ・・」


「酷い・・何故こんな事を?・・ううっ」


ベットの上で 裸のまま 泣きじゃくるシルフニア王女


「・・貴様の母親が 我が父ウイリアムを暗殺した・・

この平和条約は終わりだ!! 姫!!


・・次はその首を貰う! 城下のそ門に晒してやる!!」


「ひ・・」震えて泣きながらシーツを握りしめて 

ベットの上を後ずさるシルフニア王女・・


剣を抜き シューツオンが横に一振り 剣を振り


あっと言う間に 悲鳴を上げる間もなく 首が転がり落ちる・・

ベットの上にまだ若い美しい娘の胴体が崩れ落ちる・・


白いシーツは鮮血で真っ赤に染められた・・


・・・・

シルフィニア王女と恋仲のヴェントレは19歳・・


異母兄シューツオンとはいつも喧嘩ばかりしていた・・

二人の仲を繋いでいた優しい父ウイリアムはもういない・・


そして・・何より 恋しいシルフイア王女が彼に乱暴された上に・・

無残に殺された・・・


ヴェントレは 偶然 その時 政務の手伝いで城を離れていた


父の死を知り 城に駆け付けると ・・城の門の上には


誰より愛しいシルフイア王女に首が晒されいた・・


「・・な・・・」絶句するヴェントレ


「いけません!! 今 城に入らないでください兄さん!!」


年の離れた弟と家臣の一人ヴァルドレンド伯爵が

声をかけて こちらへと手招きする


「・・・何故だ?・・何故私のシルフニア王女が・・」


涙を流す弟フェルナンド


「・・僕にとっても シルフイア王女は大事な方でした・・

いつも声をかけてくれたり お茶会に誘ってくれたり


綺麗で優しい方・・僕の初恋の人・・


・・シューツオン兄様達が・・父様を殺したのは

黒の女王 水の女王エルテア様だと・・


・・・だからシルフニア王女を汚して

首を刎ねて・・う・・うっ・・」泣きじゃくる弟


「な・なんだと!彼女に乱暴をした・・」絶句して蒼白になるヴェントレ


崩れ落ちそうになる彼を家臣の一人ヴァルドレンド伯爵が支え 耳元で言う



「・・・ヴェントレ様は次の白の宗主となられるシューツオン様とは

仲があまり宜しくない・・それに もう父のウイリアム様もいない


・・シルフイア王女とは恋仲だったのは皆も知っておりますし


今となっては シュ―ツオン様に近づくのは危険です

このままでは 何の罪を着せられるか・・・


とりあえず 今は 逃げてください・・危険です」


「・・・シルフィニア王女様がああなった以上


 こちら側の人質である 白の人質の

貴方様の妹姫リーヴニア姫様も危険ですから 私の方から


あちらにおられる リーヴニア姫の婚約者のアラム様に急ぎの使いを出して

リュース家に逃げる様に 連絡します・・」 



「・・・・わかった・・そうする・・

さらばだ・・・もう会えないだろう フェルナンド・・元気で・・・


・・長年 世話になったな ヴァルドレンド伯爵 有難う


・・アラム殿に急ぎの連絡を頼む・・」

涙を流しながらヴェントレは言った


もう一度 門に晒されてるシルフニア王女の首を見る・・


「・・首を・・取り戻す事も出来ない・・なきがらを

どうする事も・・・許してくれ 私の愛するシルフニア・・私のシル・・


まだ16歳だったというのに・・」



それからしばらく後 

あらぬ罪を着せられたヴェントレは やがて 内乱を起こした


・・内乱が数年後に鎮圧されるとヴェントレは黒の国のリュース公のもとに

逃亡した・・・


ヴェントレは匿われて・・五年後にリュース公の一人娘の

アグリア姫と結婚して・・次のリュース公になった・・・




その頃 まだ何も知らない リーヴニア姫達は楽しく茶会を楽しんでいた


「あら このお菓子 初めて見るわ」


白の国の王女・・名目上の平和使節・・白の国人質の15歳のリーヴニア姫が笑う


父親譲りの淡い金髪に加え・・黄緑と黄金のオッドアイの両性体

未分化で・・天使のような愛らしい顔に肢体に白磁の肌の少女・・


側室の子で シューツオンとは異母兄妹・・ヴェントレとの兄妹・・・


「うふふ・・リーヴニア姫・・女官長が作ったオリジナルレシピのお菓子よ」

黒の国の女王 水の女王エルテアが微笑みながら言う・・


「・・そうなんですね・・では 一口・・ああ 美味しい」


「良かったねリーヴ・・こっちも食べてみるかい?」

婚約者で 黒の王族の一人アラムが勧める・・


黒の王族の一人であるアラムは水の女王の今は亡き弟の子供・・

母親は弟の側室で人族の娘・・


年齢は17歳・・片眼のみ 赤き火焔の瞳・・


「ええ 有難うアラ・・」嬉しそうにリーヴニア姫が微笑む


そんな美しいりーヴニアを 切なそうに 水の女王の息子・・跡継ぎである

20歳になったばかりの赤き火焔の王子・・

後の火竜王・赤き火焔の王アジェンダが片手にテイ―カップを持ち見てる・・


ちらりと水の女王エルテアが息子を見る・・・心の中でそっと思う


・・あの子・・アジェダ・・

アジェはまだ リーヴニア姫の事を想っているのね・・ふう・・


・・アジェンダとアラムは仲がいい従弟同士・・まるで兄弟の育った・・



・・アジェンダとアラムは 白の国から平和使節・・


人質としてやって来たリーヴニア姫に

一目見て 恋をした・・・


しかし・・リーヴニア姫はアラムを選び 


手紙でその事を伝えて父親の白の宗主ウイリアム達にも祝福されて

正式に婚約者同士となり・・・


大事なアラムの為にも 彼女の事をあきらめた・・・


「こっちも食べないか?母様 リーヴ アラム」

 にっこりと笑うアジェンダ・・


「あら 可愛いトッピングが乗ったクッキー」


「・・私が焼いてみた・・ふふ」アジェンダ


「ええ!・・あら 美味しい」

皆はアジェンダを褒め 嬉しそうにクッキーを食べる


「今度 皆でピクニックに行きませんか?

今は花が美しい季節です・・・」アジェンダ


「うふふ そうねアジェ・・」皆も微笑み頷き合う


しかし・・この頃 すでにシルフィニア王女は首を刎ねられて

その首を晒されてるとも知らずに 穏やかな最後の一日を過ごしてしていた


明日には 悲劇が訪れずとも知らずに・・


・・・翌朝 早く アラムは白の国からの使者から

シルフィニア王女と白の宗主ウイリアムの死を知り


急ぎ 黒の王宮に訪れると・・


・・・すでに第二の悲劇が始まっていた・・



騒然となっている黒の王宮・・


女官の一人に声をかけるアラム・・


「一体 この騒ぎ・・何があった?」


「た・・大変なんです!黒の女王・・・

我らの水の女王エルテア様が毒殺されました!!」


「なんだと!!」


「女官長の部屋で 毒と沢山の手紙が発見されて・・それから・・あ!」


近くの大広間で 

大勢に囲まれて怒り狂ったアジェンダが女官長を問い詰めていた


扉の影からアラムがアジェンダと女官長を見る・・


「・・・長い間・・私達の世話をしていたお前が白の国の間者で

白の宗主の息子のシューツオンの差し金で・・


私の母・・大事な私の母・・水の女王エルテアを毒殺するとは・・」


震える手で証拠の手紙の束を握りしめて 怒りを込めた声で

問い詰めるアジェンダ・・


「そんな! 私は無実です!!毒殺などしておりません!!」


「・・・ここに証拠もある・・観念する事だ・・


一番激しく恐ろしい火焔の世代を怒らせて・・ただで済むと思わぬ事だ・・」


「・・・我は火焔の王子・・いや 赤き火焔の王・火竜王アジェンダが

命を下す!! 炎!! 我敵を焼き尽せ!!」


「ひ・・き・・きゃああ!!」

あっという間に女官長の身体に炎が包まれ焼き尽される


「あ・・アジェンダ様・・」家臣の一人が声をかける


「・・・これだけの証拠もある・・裁判など必要ない・・


それに 母・・水の女王エルテアが死んだ今

私が王だ・・」


「はい・・」


「・・・葬送の義を行い 数日後に戦争を始める・・


・・・結ばれた平和条約は破棄だ・・


我らの大事な女王が毒殺されたのだ・・


急ぎ 白の国の人質になってる我が妹シルフニアを救い出して 

黒の国に連れて帰る・・


ああ・・・そうだ・・妹の恋人ヴェントレも連れて来よう・・

シューツオンとは仲が悪いと聞いている・・彼も来るだろう・・


・・・白の国の人質のリーヴニア姫をどうするかだな・・


・・人質交換と言う手だてもあるが・・

婚約者であるアラムはどう思うだろうか・・」


「は・・はい 王・・」


「・・・シルフニアが戻ったら すぐに戴冠式だ・・」


何時の間にか アラムはその場から立ち去っていた・・


・・・あんなに穏やかで優しかったアジェンダが・・アジェが

あのような事をするとは・・


・・赤き火焔の世代は気性が激しいと皆は言っていたが・・

アジェもやはり赤き火焔の子・・


アジェは身内には優しい・・

卑しい人族の息子である私を大事に大切に可愛がってくれた・・


・・私を疎み苛める義理の母親から何度も私を庇ってくれて・・


そしてアジェは 誰より母と妹のシルフニア王女の事を溺愛していた・・


・・もし・・?


・・・もし・・シルフニア王女が惨殺された事を知ったら?

私のリーヴは・・間違いなく殺されるだろう・・しかも・・恐らく残酷に・・


・・逃げなくては・・一刻も早く リュース公の元に・・


・・・この後・・赤き火焔の王火竜王・・アジェンダ王は歴史に残る

火焔の王の一人となる・・


誰より冷徹となった・・戦上手だった


・・その後の生涯続く・・白の国との激しい戦争で二度程


白の国を滅ぶす手前までいった・・国境の街も沢山手に入れた

・・・・住人は殺されるか・・皆追放された・・・


・・ただし・・もし生きていたら従弟のアラム


リュース公と娘は別扱い

・・・・家族となった妻達や子供達は別扱い


・・・・これにあの白の宗主の異母弟ヴェントレも別扱いとなる

後のリュース公も・・・溺愛した・・


・・・彼らには・・以前同様・・本来の性格をのぞかせた

以前と変わらずに深く愛した・・


・・だが従弟のアラムは・・すぐに死んでしまう事になる・・



白の国から来て人質となったのは・・

シューツオンの異母妹のリーヴニア姫・・


ヴェントレとは母親も同じ・・


父親譲りの淡い金髪に加え・・

黄緑と黄金のオッドアイの両性体

未分化であった・・


天使のような愛らしい顔に肢体に白磁の肌・・

・・まだ15歳であった・・


・・黒の王宮に来てすぐに・・

アジェンダ王子の従兄アラムと恋仲になる・・


アジェンダも恋に落ち・・好きになるが・・

アラムと彼女の事を知り・・彼女を諦めた


水の女王も皆・・二人を祝福して・・


父親の白の宗主ウイリアムも手紙で知るなり

すぐに了解した・・・

二人は婚約者となった・・・アラムは17歳・・


・・彼女の肖像画も一枚だけ残っている・・アラムが持っていたもの


ペンダントの中の微笑むアラムとリーヴニアの二人の姿・・小さな絵・・

神殿に奉納されて残った・・本当に美しく愛らしい


アラムが黒の王宮の離れの屋敷にあるリーヴニア姫の部屋に

ノックもせずに飛び込むなり叫んだ・・


「大変な事が起きた・・」


「この平和条約は破られ無効になる!!

リーヴニア・・私のリーヴ泣かずに落ちいてくれ・・頼む・・」


「貴方の命に関わる事だ・・いいね・・私にまかせてくれ!」


「・・・大事な物があれば・・少しだけなら持って行ける

・・どうしても必要ならリュース公にお願いする・・」


「・・今すぐここから逃げるんだ・・私も一緒だ・・


万が一・・黒の兵士に攻撃されたら・・私が戦う・・


片眼のみの赤き火焔の瞳・・

アジェには劣るが 私も赤き火焔の力がある」


「はぐれたら・・


あの何度か訪れたあのリュース公の湖畔の城に

逃げろ・・


もう白の国には戻れないだろう・・シューツオン殿・・

君の兄君はルーヴを溺愛しているが・・


・・・廻りの連中が何をするか・・


リュース家の先祖の白の王女や貴族の娘達が

いい例だ・・・庇い切れると思えない・・」


「・・私の瞳はオッドアイ・・片方だけ火焔の瞳・・


片方は人族の側室の母と同じ薄茶・・魔力は・・半分以下だ

アジェンダ王子には・・とてもかなわない・・だが黒の兵士達には通じる・・」


「剣の勝負ではアジェンダ王子と互角・・魔法も修練している」


「・・・水の女王エルテア様が・・たった今死んだ・・毒殺された・・


・・犯人は女官長・・誰か知らないが黒の者たちと内通したらしい


アジェンダ王子はまだ知らないが・・密かにリュース公から知らせが来た


・・貴方の父・・少し前に白の宗主ウイリアムが暗殺された・・


・・誰かが裏で糸を引いている・・すべてほぼ同時期だ・・」


・・・・茫然とした後に泣きじゃくるリーヴニア


「・・すまないが・・泣いている暇がない・・

声は上げちゃダメ・・気づかれる


可哀そうに・・少しだけ耐えてくれ・・」


「・・リュース公の知らせには残酷な続きがある・・


ウイリアム宗主の暗殺の犯人の証拠がでた・・恐らくありえない偽の証拠だ

水の女王エルテア様が黒幕とされていた・・」


「シルフィア王女がシューツオン様に手籠めした上に・・即座に首を斬り落とされた


・・・・あの美しいまだ16歳の少女の生首が宗主の城の門の傍でさらし者にされている


母に加え・・溺愛していたシルフィア王女が惨たらしく殺された・・」


「・・・もし・・逃れなかったら・・どうする?


・・一緒に自害してくれるか・・」


「・・・・ここに一人分だが・・毒薬もある・・私なら魔法で心臓を止められる」


「・・はい・・本当にともに死んでくれますか?・・人質になったから


万が一の時の為に私も毒薬を持っています・・父がくれました・・」

涙を流しつつ姫は言う


「・・今は生き延びる事が先決だ・・荷物は?」


「父たちの小さな肖像画・・これだけです・・」


・・・・そこに恐ろしい顔をしたアジェンダ王子が入って来た・・

沢山の護衛の兵士達もいる・・・・


・・封じられた獣のような火焔の本性・・そのもの・・顔


「・・・今の会話全て・・聞いた・・償ったもらおうか・・


リーヴニア姫・・貴方は人質・・何されようが・・

仕方ない・・覚悟の上で来ただろう」



・・・怯えるリーヴニア姫を背で庇うアラム


「・・・正気か?アジェンダ王子・・アジェ・・

・・裏で誰か間違いなく糸を引いている・・・本当の真犯人はそいつだ・・」


「・・それにリーヴニア姫・・リーヴに何をする気だ・・

まだ15歳だぞ!!まだ幼い天使の未分化の身体だ・・・?」



「私の大事なシル・・シルフィア王女がされた事以上の報復をさせてもらう・・

生贄はリーヴ・・」


「・・・まず私が手籠めにする・・それから兵士達に与える

・・・舌を噛み切らないように麻痺の呪文もかける・・


・・その後・・火で焼き殺したいが・・それは許してやる・・せめてもの情けだ」


「なんなら・・お前アラ・・アラム

最初はお前がするがいい!  


次に俺が抱く・・それから兵士達に与える


本当は欲しかった・・いい機会だ


お前は彼女の婚約者だ・・王として

・・・主として命令してもいいぞ!」


「・・・気が触れたか?・・


本来の恐ろしい赤い火焔の本性が出てしまったとはな・・」


「・・・・つい昨日の茶会を忘れたか?


・・あんなに楽しそうに穏やかに笑っていたのに

リーヴとも仲良く茶菓子を食べてお茶していたのに・・」


睨みつけながら涙を流すアラム・・

その背で震えながら泣いているリーヴニア姫


「・・その通り・・・毒を飲みたいならそれでもいい  

相手が死体でも気にしない


・・・・ああ・・そっちの方が情け深いか・・一度は深く愛した仲だ・・」


「・・・妹のシルフィア王女・・シルの仇は直接シューツオンに返してもらう


・・戦で闘い・・ひきずり出す・・内臓を引き裂いてやる・・

ゆっくりと切り刻む・・ふふ」


・・・・蒼白になり絶句しているアラム・・


「・・・・魔法で心臓をともに止めて欲しいです・・」


リーヴニア姫が後ろからアラムの身体を振るえがら抱きしめる・・


「リーヴ?・・」少しふりかえるアラム・・


「毒薬を飲ませる気がない・・麻痺の呪文で止める気です


・・・・私は白の王族です・・視えましたアジェンダ王子の心・・


アジェ様の心が・・嬲り殺す気です・・」


「貴方も巻き込まれました・・すいません・・私のせい・・・」


「その前に炎の呪文で

この身を焼き・・灰塵にしましょう・・それがいい・・


貴方はともに自害してくれると言いました・・


無理なら私だけでも殺して焼いてください・・」


「貴方は許し願れば許されます・・・牢にしばらく繋がれるだけで済みます」


「・・・もうアジェ様に御心は・・冷酷な・・

敵には情けをかけない火焔の竜の王です・・


歴代の魔法の王一人になる・・

火竜王サラマンデイア・・・未来も少し・・視えました」


抱き締めらた手をそっと重ねる・・


「私はリーヴと共にいる・・許しは願わない


・・・そうするか・・そうしよう・・それがいい・・」


「・・人族の側室の子だった私・・正室に苛めらてるのを庇い護ってくれた

優しいアジェ様はもういない・・」


「どちらにしても・・魔法に・・護衛の兵士が大勢だ

逃げるのは・・もう無理・・・戦争が始まる・・


必要なのは冷酷な火焔の火竜王・・・・」


「・・覚醒されただけの御話・・私達はその生贄・・・」


・・・・さよなら・・アジェ様・・・

今でも大好きだよ・・自分が信じられないが・・


・・・だって・・それは宿命・・運命で・・いなくなってしまっただけの事・・」


「・・婚約した仲なのに・・護ってあげれなくて御免ね・・」


「私の美しい天使のリーヴ

・・・愛している・・これがせいっぱい」


「・・・・十分です・・愛しています・・

巻き込んで御免なさい・・アラム様・私のアラ・・」


「・・・さようなら・・恨みません・・アジェ様・・

それは貴方の宿命・・運命だから・・」


「シルフィア王女に以前逢いました


・・互いに人質としてそれぞれに国へ向かう途中ですれ違い様でしたが・・

少しだけ御話をしました・・」


「長い艶やかな黒髪に青の瞳・・綺麗で優しい方でした・・

私より一つしか違わないのに・・」


「・・・私の兄が酷い事をしました・・帰す事が出来たのに・・・

だから・・報復は当然の権利ですから・・」


アラムを抱き締め・・涙を流しながら言う


・・さっとふりかえり・・アラムは少しだけ唇を重ね合う・・


・・・強く抱きしめあい・・アラムは叫ぶように呪文を唱えた!


「・・・・・炎!!・片眼の火竜王サラマンデイアが命を下す!


我らの灰塵に還すまで・・焼き尽くせ!! 光の力・・我に従え

我らの心臓の鼓動を止めよ!!・・ぐふっ・・」


「・・・ああ!・・ぐぐうっ・・」


崩れ落ちる二人・・赤い炎が包み灰塵に還す・・


・・ただ冷たく・・見届けている・・アジェンダ・・黒い塊二つが風で塵に返っていた・・


小さく呟く・・・さようなら・・愛する二人・・すまない・・


・・・・もう自分が抑えられない・・必要なかった・・もう覚醒した・・


私を無意識に抑えていた・・母親の優しい水の女王エルテアはいない・・


もうリーヴが言いたように私が赤い火焔の火竜王サラマンデイア


・・さようなら・・無邪気に笑った少し前まで私アジェ・・

消えるがいい・・


・・・もう泣いている暇はない・・戦争がはじまる・・


・・確かにおかしい・・一度にこれだけの悲劇が続いたありえない・・


・・・・・だがもう・・残酷な運命の歯車が廻りだした・・誰も止められない・・


・・・他の一人殺した・・焼き殺した女官長・・私が幼い頃からいた者・・


・・万が一・・・無実なら惨い事をした・・せめて家族たちは助けよう・・・


リーヴが予知して告げた・・私は歴代の魔法の王の一人になると・・


・・・それはまた悲劇と嘆きを私が沢山沢山・・造り・・歴史に塗る事だ・・・


・・有難う・・信じられない事に恨まないと言いた・・心が少しだけ軽くなった・・


・・・・まだ15歳のリーヴ・・17歳のアラ・・

16歳だったシルフィア・・妹のシル・・

御礼とお詫びをする・・・


水と癒しの神殿を創設して・・年の終わりに鎮魂を祈ろう・・


・・・・もちろん母の水の女王エルテアや妹のシルフィア王女・・父の名前も・・


・・・・遺書を残し・・私が死んだ後に・・あの勇気のある

1700年の戦乱を終わらせようとした・・白の宗主ウイリアム様を讃えよう・・


・・私の名は・・必要ない・・癒しと水は無関係・・・

私は赤い火焔の王・・火竜王・・戦の為に出現した赤き火焔の世代


・・・・もう大事な二人を殺した・・あの無実かも知れない女官長も・・

もっと殺すから・・・


・・・・この・・お前達がどうゆう風に死んで・・

どれだけ私やシューツオンが残酷な事をしたかも・・・


一言 一言・・全て書き残す・・私は残酷な火竜王になる運命・・・


・・せめてこの悲しい悲劇を伝える・・当事者は加害者の私だけ・・


忘れ去られるには忍びない・・

まだ皆十代の子供だ・・私もまだ20才になったばかり・・


もし私の生存中に無理でも・・裏で糸を引いた者を探しだす手がかりになる


・・・終わりかけた・・1700年の続いた戦争が

また始まった・・長い戦乱の時代


誰がこれを止めるのか・・止める事が出来るのか・・


私にも先読み・・予知・・黄金の力があればいいのに・・



・・・真犯人はまたしても穢れた神・・手を下したのは魔法使いの手下・・

操られた黒の大貴族の一人・・


彼も数年後・・穢れた神に不要と判断された・・


・・惨殺された・・家族一人・・血族全て殺された・・・ 

混乱の戦の最中に死んだと思われて・・そのまま・・忘れ去られる・・・


彼アジェンダ王の想像通り…残酷な悲劇の時代が再び始まる・・・

想像通りの運命が待っていた


激戦の幾度かの戦争の戦場で白の宗主シューツオンを彼自身が言ったように

虐殺した・・


少しばかりの情けをかけて・・晒し者にした彼の首を

原始的な装置で国境にある白の街の一つに投げ返した・・・


彼アジェンダ王もまた・・天寿をまっとう出来なかった・・


・・・・戦の最中に壮絶な最後を遂げた・・片目を矢で射ぬかれて

無数の槍や魔法の大地の槍で身体貫かれた・・槍が支えとなり・・


息耐えた・・死に様は少しセルトに似ている

まだ43歳であった・・


姿は二十歳で成長を止めていた・・・


・・激戦で・・運悪くその時は白の王国側が勝ち・・

彼の首は斬り落とされて晒された後で・・

同じく装置で国境の黒の街一つに投げ返された・・


・・少しだけ運がよい事もある2つ


・・次の白の宗主フェルナンドは

前の白の宗主シューツオンの年の離れた異母弟・・

兄はヴェントレ・・


彼の兄シューツオンとは仲が大変悪かった・・


・・その上にあの惨殺された・・人質の黒の王女シルフィア王女に

密かに恋焦がれていた・・


彼女シルフィア王女が頭を撫でてくれたり・・話をしたり


茶会に呼ばれる日がいつも待ちどうしかった・・

彼女の恋人の兄ヴェントレともども大の仲良しだった・・


彼は亡命した兄のヴェントレに・・


後のリュース公に密かに連絡を取った・・街のどこに首を投げ込むかも

・・胴体のある場所も・・取りにくれば無事に帰すと確約した・・


だから廻りの家来達が反対するのに

首を投げ返した・・・


竜人が主である王のアジェンダの胴体を取り返すのも

わざと見逃した・・・見張りの兵士を置かなかった


もう一つの幸運は・・あの穢れた神・・

魔法使いが彼の死体に手が出せなかった事


手下の黒の大貴族の一人に重傷を負わされて・・


癒しの為に2年の眠りについていた・・その間に狙っていた火焔の力の持ち主

魔法の王アジェンダが戦死したから・・


・・・もちろん・・重症を負わせた手下は虐殺した・・


・・狙っていた炎・・


赤き火焔の魔力は・・300年後・・


テインタル王女と彼を殺したアーシュランの二人から奪う事となる・・


・・・命がけで・・アジェンダ王の守護者である竜人が

白の領地となったあの戦地に行き・・


ボロボロになり放置された残りの胴体を取り戻した・・


・・遺体は彼が創設した神殿に埋葬されて・・


彼の息子が年の終わりの詠唱に名を・・願いでた


名を入れるなという遺言は無視して入れらる・・もちろん・・遺言にもちゃんと従った

白の宗主ウイリアムの名前とその功績を讃えた文章も・・・


・・その後・・神殿の主な護り神はリアンやアルテイシア・・エイルになった


・もちろん創設者たちや悲話も彼らも忘れてないが・・

魔法の呪文の中に名前が織り込まれる事はめったにない・・


年の終わりの詠唱の始まりは


彼創設者アジェンダから始まり・・一旦白の宗主ウイリアムの名や功績讃えた処で終わり・・


次に・最初の白の宗主フェアアインの名前から始まり・・エイル達の名前と


死んだ先祖達への鎮護の祈り・・供養で終わる・・


これは二番目に栄えている癒しと水と(追加された光)の神殿での

詠唱の御話・・・


・・・・・今の現世はにやんこ達が主役である・・・・

普通の人間達の国も沢山あるが・・



アジェンダ王の子


次の魔法の王は黄金だった・・しかし予知は苦手だった・・


攻撃魔法には優れていた・・


彼も沢山の逸話を残している・・・十代半ばで戦地に立っていた・・


・・そして・・真犯人はにっっと笑っていた・・



彼の願い・・赤い火焔の火竜王の一人が願った戦乱の時代が終結するのは・・

300年後の事である・・


もう一つの彼の生存中になしえなかった事も実現する


・・真犯人がわかる事・・それも叶う・・安息の時間で彼は知る事になる・・・


・・・安息の時間で・・


戦乱の時代を終結してくれた事と真犯人の者を殺したアーシュラン達に

礼を伝えてくれと時の番人に伝えた後・・


彼は眠り・・再び目覚めた時には記憶をほとんど無くしてした・・

アーシュのように少年の姿になり・・


無邪気に母親の水の女王エルテアやリーヴにアラムやシルフィア王女たちと

遊んでいると言う・・・


白の宗主シューツオンは死ぬ少し前に狂っていた・・


白の国の中で大虐殺事件を

五度起こした・・・自分の城でも多くの大貴族や王族を暗殺した


罰として・・時の番人たちが他の凶王達のように魂を凍結した

・・・8年後・・魂は消滅した・・


・・リーヴ達は当然覚えているが・・余計な事は言わない・・


・・・大好きな彼を苦しめるだけだから・・


彼が神殿を創り・・また彼が聞き残したその伝承のお蔭で消えずに済んだ・・


・・ある意味恩人でもある・・


時々・・無理やり時の番人たちの仕事も手伝わされる・・なにせ・・異変以降は


時の狭間も安息の時間もボロボロ・・現世も怪しい・・


・・リアン達に偶然出会う・・何かか感じて彼は礼だけ述べて

頼まれた仕事をかたずけに向かう


「・・・・何?今の・・」アルテイシアが問う・・


「・・さあ・・でも可愛い魔法の王でしたね・・


御自分の名前・・アジェンダと名と言われた・・」


「・・そうか思い出した・・あの癒しと水と光の神殿の創設者・・


・・しかも戦上手な歴戦の魔法の王の一人・・最後は戦死・・壮絶な死を遂げた


・・・多分・・多くを忘れている・・無理もない・・あの生涯では・・

日記を見たがあれだけ正直な人は少ない・・書き残すのも辛かったろう


・・あの姿・・大半の記憶がない・・感じた・・」


「・・多く救う・・・癒しの神殿を創設したから・・


時の力と情け深い神達の贈り物だろう・・・


時には大きな善行も幾つも行ったから・・


・・・申し訳ない事に今では私やエイルとアルが全面になり


影が薄い・・そういえばアーシュ殿が会いたがっていた・・

前に時の番人バステイルも逢うのを勧めていた・・」リアン


「・・・今度・・茶会か食事でも招待しましょうか?」アルテイシア


「そうしよう・・ふふ」リアン


・・・見た目年齢が近い感じだし・・


アーシュはいつの間にか・・仲良しになり・・


たま起きている時に

数度・・エイルやリアンを伴い菓子を持参して訪ねて・・


お茶して会話をしていたり・・皆で遊んだという


FIN



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ