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第?話「エレベーター嫌いのゆた」
わたしが生きているうちに軌道エレベーターを発明した人間は、
「殺す」
というのが、エレベーター嫌いのゆたの決意である。
軌道エレベーターに乗る、という可能性がこの世に生まれること、それ自体を許さない…!
ウチから海に出るためには、必ず、街のどこかのエレベーターを降りなければならない。
自分はもう少し、街の低い階層に住めべよかったんじゃないか? と、この夏休み、毎日思っている。
自分よりりんご3つ分も背の高い、桃子の背中に顔をうずめ、目を閉じてぐりぐりと額を押し付ける。
ゆたが最近発明した、エレベーター搭乗中のやり過ごし方が、これだ。
「ぐふふ、帰り道もこの至福の時間を過ごせるのだよ、私は」
桃子が同乗の俊助にゆたのハグを見せびらかすのも、恒例となった。
クラスメイトで唯一、自分からゆたを奪い去りうる恋敵に対して、絶好の牽制球だ。
エレベーターが止まった。
声にならない呻きを漏らし、ゆたはエアロフロートの大柱に手をつき、体重を預ける。
帰り道を考えると、今から地獄の思い。