生きた神殿
最初はただの気のせいだと思った、いや、そう思いたかっただけなのかもしれない。
最初に違和感を感じたのは道がいくら何でも長すぎるという些細なものだった。
そして次の違和感はこの道の特性とでも言うべきかこの道を歩いても疲れないし喉もかわかない、この道の上に存在する全ての状態がベストなものに固定されているかのような違和感。
そして最後の違和感、これが決定的なものだった。
この道を破壊しようとするとこの道は自衛するのだ。
いや道だけではない、この空間が自衛してくるのだ。
まぁ自衛とは言うもののそこまで大したものではない攻撃しようとした空間が歪んだり、透過したりするだけとものだ。
でもこの道、いや、神殿が生きているとするならばこの神殿にいるという人たちは何故捕まってしまったのだろうか…
いや、今はそんなことよりもだ…
「この道どうしたら終わるんだよ…」
「さっき攻撃した時みたいに空間が歪んでるなら正直どうしようもないぞ」
「攻撃するつもりは無いんだかなぁ」
ハァとため息をついて壁を背もたれにして座り込む。
「今、外はどのぐらい時間がたっただろうか…」
そんなどうしても知りえないことを呟くとライノスは落ち着くためにも少し休憩を取ることにした。
─きて、──て、───起きろっつてんだろうがよ!
「グフッ」
腹にめり込むいいパンチだった。
いいことはもうしばらく無さそうだ…