H国って言ったら、コーヒーだよね? その四
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駅周辺のほとんどの建物がくずれて瓦礫の山と化してしまっていた、A市解放戦は激しい戦闘だったらしくあちこちに銃創や赤黒い後が残っていてここが平和な日本ではないんだと改めて肌で感じた。
「まあ、コーヒー豆とかはA市郊外の貨物駅からの積み込みだからどれだけ被害がでても問題ないんだけど。」
それはクールではなく無感動に分類されるのでは?だが戦争になるべく関わり合いたくないのは皆一緒だから気持ちはわかるどうしても冷めた感想にならざるおえない。
それにしても煉瓦やコンクリートを鉄筋で補強した建物はそう簡単に破壊されないんだが駅の隣のビルなど大砲の直撃だろうか大穴が空いていた。
「……え?」
「どうした増田。」
「いや、人がな……」
振り返えって見ると瓦礫の隅に子供達が膝を抱えて座り込んでいた、心痛む現実だが今のA市ではそんな光景珍しくはない、そんななかでしゃがんでいる子供達に声をかけている一人の凛とした少女の行動に目に止まった。
いやまて違うぞ訂正だ!正しくは少女の付けている胸元のネックレスに目が止まったのだ。
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木の環堀り、木彫りのお土産では結構定番な一本の木から継ぎ目なくチェーンのように木の環を繋いだ形で掘リ出す非常に手間のかかる工芸品だ細かい細工を施したり細く長くチェーンを繋いだりした物は高級品としてよくお土産屋の店頭に飾ってある。
「なんだお前そう言う趣味があったのか、引くわー。」
「やはりそうきたか……違うあの子の付けてるネックレスだ!」
「ん?良くある木彫りのお土産じゃないか、たしか魔除けだか幸運の……まあアフリカの縁起物ってヤツだろ。」
「良く見てみろ先端の部分、小さな金属の輪が付いてるだろ。」
「ああ付いてるな、それがどうかしたのか?」
「木環細工は一本の木から掘り出す継ぎ目の無い細工でそれに価値があるんだ繋ぎ目のない木輪に繋ぎ目のない金輪が繋いであるなんて有り得ない。」
「金輪の方に細工が施してあるんだろ、不可能な事を可能としているデザインだろうかオシャレっていうのか高級品なのかもだな。」
「焼け出された女の子が高級品もってたから目が止まったって訳か、なーんだつまんねてっきりロリな趣味なのかと。」
「違ーよ!その使われてる技術がちょっと気になったんだよ!」
……嘘だ、俺は単純にその子が輝いて眩しく見えたのだ。
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胸元見てる時点でアウトだろ(`・ω・´)