休日のおやつ①
おしるこ缶、190g
おしるこって缶ってリットルじゃなく、グラム単位なんだなとか、くだらないことを考えながら電柱に止まり、泣きわめいてるセミを睨みつける。
いや、睨みつけるべきなのはセミではなく、ボタンと中身が食い違っている自販機だろう。俺は冷たいコーヒーを買った筈なのに、取り出し口から出てきたのは甘くて熱いおしるこだ。
おかげで幼なじみの由乃にも、「何でコーヒー頼んだのに、おしるこ二本も買ってきてるのよ」なんて怒られる始末。
「……もういっそのことこのおしるこ、冷たくして飲んでやろうか」
冷たいおしるこってどうなんだろう。
といっても夏真っ盛りの、冷蔵庫も氷もない、このプールの隣の公園で、冷ます方法なんてないんだけれど。
「おしるこ、美味しそうに飲んでるわね」
自分の分だけの缶コーヒーを持って帰ってきた由乃が、嫌味ったらしく言う。
「おぉとも。温かくておいしいぞ? 自販機の『あたたか〜い』もなめたもんじゃないな」
一本目こそは美味しいかも、だなんて思っていたけれど、2本目になるとそのくどい甘さに嫌気がさしてきた。
「プール入ってる間は冷たい冷たい喚いてたんだから、温まってちょうどいいんじゃないの?」
「はぁ……おっしゃる通りです」
昔から由乃には口では勝てない。
今日の朝だって、急に電話をかけてきたと思ったら一方的に言いたいことを言ってられてしまったし。
「だいたい台風が来てるのにプールとか。何考えてるんだか」
「私は毎年プール開きにプールに行ってるの。一だって知ってるでしょ?」
良く分からないプライドである。
「そうですか……」
そう言って、おしるこを口に含み空を仰ぐ。
昨日は目が痛くなるくらいに晴れていたのに、今日は分厚くて灰色な雲が、空を支配していた。風はまだ全然ないけど、日が暮れる前には風が吹き初めて、バケツをひっくり返したような雨が降るとテレビで言っていた。
「ほら行くよカズ。私は雨に濡れたくないの」
「自分でプール行くって言ったくせによく言うよな……」
「何か言った?」
「いーえ。何でもないです」
俺に拒否権なんてないのだ。昔から
でも不思議と不快なわけでもない。むしろ、居心地がいいくらいだ。
今日は雨が降るし、俺の家で二人でゲームでもするとしよう。
俺も、雨には濡れたくないから。
お、おしるこは……ちゃんと飲みました。ごちそうさまです
〜遠子先輩の感想〜
食べれないけどもご馳走様心葉くん、今日のお話もとても良かったわよ。そうねぇ食べたら一くんの仕方なく付き合ってる感じを出しているけども実は楽しいっていうのを隠してるようすはおしるこのように甘くて由乃ちゃんの引っぱりつつも少し不安を感じてるのは小豆のほんのりとした苦さを出していたわよ
メモ
ホントはおしるこの台風に巻き込まれてプールに落ちる話にしようと思ったんですけどね。




