とけい
部長命令で15分で作ったものをベースにしているので、短乱文ですがどうか読んでみてください。
秋の高い空のした、鮮やかに色づいた銀杏並木。やまぶき色の落ち葉が足元に山を作っている。
ふとした気まぐれで、時計屋さんに入ってみた。
「いらっしゃい。ゆっくり見ていってね。」
暖かい言葉で出迎えたのは老紳士。店の雰囲気、壁のちょっとはげかかった塗装などからも、老舗だと伺える。
店の奥にあったのは大きな置時計。とても古くて、もう動いていない。アンティークのようだ。
おじいさんと古時計。あまりにも歌の通りだから、ほんの少し、口元がゆるむ。
なんだか気分がいいから、老紳士との会話もとても弾んだ。
特別なことでもないけれど、ちょっと幸せな気分。
気がつくと、窓から見える空は日が暮れている。夕日のオレンジ、薄紫。でも東の方はまだ青いまま。窓の四角い枠に囲まれて、一枚の絵画のように見えてくる。
「そろそろ帰ります」でもなんだか居心地がよくて、そのまま帰るのは惜しい気もした。
だからだろうか、懐中時計を買ってしまった。ちょっと高いけど、綺麗な金色の輝き、手にした時の確かな重みが気に入ったから。
「また来ます」そう言って店を出たけれど、もうあの店と、あの老紳士に会うことはない。
あの古時計が刻んでいたのと同じ、時間というものが、彼らを遠いところにやってしまった。
悲しいけれど、だからこそ、大切にしようと思える。
ちょっと幸せな気分になれたこと、窓から見えた空の絵画、そしてこの懐中時計を―――。
初投稿で、思いついたものをすぐ書いてしまったのであまり完成度は高くありません。
しかも小説というより詩に近い感じ・・・・これから頑張ります><
鎌女の部誌、空色の『懐中時計』へのオマージュのつもりで書きました。
by霜月