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最終話 現在②

 あれからもう一年ぐらい経ったんだな、とそんなことをミカは思う。

 考えてみれば不思議な二人組だった。自分の元いた世界のことを否定しなかったり、聖蒼の剣のことを知っているだけでなく所持しているらしかったり。

 しかもエリュシオンで体験したことをあんなに真剣に聞いてくれるとは。


「結局、証明なんてできない、というのもひとつの答えなんだよね……」


 どうやら結論が出たらしく、太っちょの男――ヨザックがそんなことを呟いていた。あの二人のものに比べると、なんとも情けない結論。


「それを言うな、ヨザック。まあ、俺も同感だが」


 そうぼやくケインの声を聞きながら、ミカは壁にかかっている時計を見上げた。


(さて、もう閉店の時間ね)


 二人には悪いが、そろそろ出てってもらう時間だ。


「ジン、閉店の時間だから」


 こそっと小声で黒髪の青年に言う。

 当然だが、ジンはまだ世界間移動の魔術を完成させていない。というか、彼は本気で組み立てられると思っているのだろうか、そんな人智を超えたような魔術を。


 そもそも、以前イリスフィールが言っていたことではないが、あそこで死んでしまうよりは、ここで生活しているほうがずっとマシなのだ。

 確かに親や学園の友人、アパートの住人とは二度と会うことができないかもしれない。けれど、この世界には新しい家族と思えるようなスタッフたちがいる。毎日顔を合わせる常連客がいる。

 そして、ジンがいる。


 いや、とミカは心の中で前言を撤回した。

 マシ、などというものではない。ここでの生活は幸福に満ちている。地球との生活とどちらが大切かなんて比べることはできないけれど、確かな幸せがここにはあるのだ。

 なら、それでいいとミカは思う。


 胸に湧きあがるそんな思いを心ゆくまで満喫し。

 そして、いつまでたっても席を立とうとしないケインとヨザックを、ミカは『お客様は神様です。でもその前に同じひとりの人間でもあります』という店の信条に則って叩きだしにかかったのだった――。

いかがでしたでしょうか?

自分としてはけっこうな自信作だったりするのですが。

構成力不足で読みにくくなっていなければ幸いです。


……と、これでおしまい、みたいな言い方をしていますが、実はそうじゃなかったり。

ええ、まだエピローグがあるのです。

某亀仙人風に言いますと『もうちょっとだけ続くんじゃよ』って感じでしょうか。


視点は移って、イリスフィール。

楽しみにしていただければ幸いです。

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