予告的なもの
キーンコーンカーンコーン…キーンコーンカーンコーン……
学校中に午前中の授業終了のチャイムが鳴り響いた。
俺、○○--○○○○--は授業で使った教科書、ノート、筆箱をカバンに片付けてた。
今から約45分後に午後の授業が始まる。だが、それまでは昼休みだ。
みんなそれぞれカバン、弁当等を持って教室を出て行ったり、席を移動し始める。
そんな中、3人の男子が俺の目の前、右側、斜め右前の席に座ってきた。
「よっ、○○! 早速勝負しようぜ!!」
この□□は俺のクラスメートで友人だ。
「おいおい、□□。まずは飯を食おうな?」
俺が弁当を出す前にいきなり勝負を仕掛けてきた。
右肩にはカバンをぶら下げ、左手にトランプを持ち、こちらに突き出している。
「また□□が○○に勝負申し込んでるよ……」
「んじゃ、俺らも恒例行事でどっちが勝つか賭けますかな~」
右側、斜め右前のヤツが苦笑いしながらこちらを見ていた。
コイツらは違うクラスから来ていて、友人の△△と××。
大体いつもこのメンツで飯を食ったり、バカやったりしている。
「今日は俺が勝つ!! いっつもほとんど変わらない数なんだ、俺が勝てる可能性はあるだろ!?」
「確かに□□と○○との勝負はほとんど僅差だもんな~」
××が腕を組ながらそう呟く。
そう、□□と俺はほとんど僅差での勝負になっている。相手が6ならこっちは8、相手がKならこっちはJのように、わずかな差だけの勝負。
「だろ!? だから今日は3本勝負だ! もちろんポーカーで、ベットはいつも通りの10円、50円、100円だッ!」
「……こいつ、俺がまだOKしてないのに話を進めるんだけど」
そう、いつも俺らが賭け勝負をしてるのはポーカー等の簡単なゲーム。
今回は、ポーカー勝負。
最初の5枚でベット、コールをする。その後に、そこで初めていらないカードを捨て、捨てた枚数分だけカードを引く。そして見せ合う前にさらに賭け金を上げるか、降りるかを選択する。
そして、お互いに賭けたら手持ちのカードを見せ合う。勝敗はルールにある組の強さで決まる。相手よりランクが上の組を作っていた方の勝ちだ。勝った方は負けた方が賭けた分を貰う。
また、途中で降りた方は、最初にベット、またはコールした分のチップ--金--を相手に渡す。いたってシンプルなゲームだ。
「なんだよ○○。俺に勝てないからってブチブチ言うなよ~」
□□がニヤニヤしながら俺に向かって言ってくる。
「お前は小学生か……わかったよ。お前どうせ俺がやるまでその変顔するつもりだろ?」
「変顔してねぇよッ!! 生まれつきこの顔で16年間生活してきたわッ!! お前、絶対俺が勝からな!?」
「だったら、勝った方が負けた方に一回だけ言いなりになるってのはどうよ?」
「いいな、そのルール! よっしゃ、なら絶対俺が勝……じゃねぇよッ!! 勝った方が不利じゃねぇか! 何、そのルール!? おかしすぎるだろ!!」
「チッ! 気づいたか……」
「気づくに決まってんだろ!! お前、俺を何だと思ってんの!?」
「猿」
「うーん、チンパンジーかな……いや、それだとチンパンジーに失礼かな……」
「バカだな、お前ら。あれは、どう見たって粗大ゴ……おっと失礼」
□□の問いに△△、××が話題に便乗してきた。
てか、お前ら意外と鬼だね! 俺以上の悪口を半分真顔で言ってるんだけど!?
すると、□□が△△達からの思わぬ便乗(半ば本気の感想)に大きな声で反応していた。
「お前ら俺をそんな風に思って今まで接してたの!? 俺今ここに新たなS達を垣間見たんだけど!? 俺の今受けた心の傷、お前らどうすんの!? 俺、お前らが思ってる以上に繊細な『glass-heart』持ち合わせてるんだよ!?」
□□が、マシンガンのように俺達に向かって異議を唱えてきた。
てか、無駄にガラス・ハートを巻き舌で喋んじゃねーよ。イライラするから。ちょっと上手いってのがまたムカつくんだけど。
ふと、時計を見ると会話で時間が削られていた。
無駄話をしている間に午後の授業まで後30分くらいしか残っていなかった。
「おい、□□。やるなら早くやろうぜ。飯をゆっくり食う時間が無くなっちまう」
「わかったよ、お前絶対負かしてやるからな!! さっきの追加ルール適応な! 負けた方が勝った方に一回だけ言いなりになるって言うヤツ」
「面倒くさいな~。わかったが、そのルールをするなら賭け金の方は無しにしろよ」
「いいぜ、そのくらい! 後、言いなりでは現金の明け渡し、500円以上の奢り請求は無しにしてやるよ。せめてもの情けでな!」
もう勝った気でいる□□は余裕の表情で段取りを決めていく。
「なら、僕たちもそろそろ賭けをしようか」
「だな、俺は今日は○○に賭けようかな」
「なら僕は□□の方に賭けるよ」
△△達も、どちらに賭けるか決まったようだ。
とりあえず、いつも通りの勝負なら気楽だが、今回のポーカーは面白い事になった。
□□は依然と余裕の表情で箱に入ったトランプをいじっている。
(まぁ、あの様子なら□□はどうせ何か策があるんだろ……別に何だっていいが、何かをしたらすぐに解るしな。正直いうと、アイツの手札もほとんど分かる方法もこちらも持ってるしな……)
「よし、じゃあ□□。勝負しようか」
「おう! どんな恥ずかしい事をやらしてやろうかな、くくくっ」
意外とゲスだな……
俺はこの時、もっと周囲に耳を傾けておくべきだったんだ……
ましてや、見られていることにさえ気づきもしなかった。
この時から俺の平凡な人生の道は大きく変わってしまったのかもしれない……..
なんか意見あったら言ってねー(・ω・)ノ